ハッピークローバー
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第八十四話 映画を観てその九
「どうも」
「俺もそう思う、ロシアだと奇麗な風景でな」
「そこでなのね」
「怖い、ホラー映画も国それぞれだな」
「聞いてみるとそうね」
「今日観たのもそうだしな」
フィンランドのそれもというのだ。
「色々国の違い文化の違いがな」
「わかるのね」
「ああ、日本のホラー映画にしてもな」
「日本だと兎に角幽霊が多いわね」
富美子はあらためて思った。
「妖怪はね」
「実は少ないな」
「ユーモラスで愛嬌があって」
「出ても憎めないな」
「怖くないわ、けれど幽霊は」
「本当に怖いな」
「怨霊だけあって」
それ故にというのだ。
「滅茶苦茶ね」
「怖いな」
「私達から見るとそうよね」
「俺も怖いと思うけれどな」
越智は富美子と共に百貨店の中を歩きつつ話した。
「他の国の人達から見るとな」
「怖くないのね」
「どんな幽霊もな」
「自分には来ないし」
「それでだ」
「本当に国によって違うわね、私から見たら」92
富美子は自分の考えも話した。
「悪魔とかはね」
「怖くないな」
「というか悪魔が悪者か」
キリスト教の彼等がというのだ。
「わからないし、むしろ人間にね」
「悪い奴がいるな」
「それこそアニメとかゲームとか特撮だと」
創作の世界ならというのだ。
「物凄く邪悪な奴がね」
「出て来るな」
「吐き気を催すっていうか」
そこまでのというのだ。
「洒落にならない位悪い奴がね」
「出て来たりするな」
「そうだからね」
「悪魔は怖くないな」
「一番怖いのは」
それはというと。
「人間よ」
「俺もだ、人間が身体をなくしたものがな」
「幽霊よね」
「そうだ」
「要するに人間ね、幽霊って」
「その通りだ」
越智の返事は一言だった。
「生霊でも死霊でもな」
「人間が身体から出たものね」
「それで魂だけになったものだ」
「人間の本体は魂ってことね」
「魂があるとな」
それならというのだ。
「人間だ、人間は身体はな」
「人間の条件じゃないのね」
「魂こそがだ」
「人間で」
「人間と幽霊の違いはな」
「身体があるなしね」
「その違いだ」
こう富美子に話した。
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