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星河の覇皇

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第八十四部第二章 交渉の用意その三十

「私は必要とあれば首都機能の移転もだ」
「お考えですか」
「首都を一つだけとも考えていない」
「複数置きますか」
「幾つかの副都を置くこともな」
 こうしたこともというのだ。
「考えている」
「そうなのですか」
「今のエウロパと新天地双方の統治が難しいなら」
 その場合はというと。
「その間、即ち暗黒宙域の中央にもだ」
「そこにですか」
「スペースコロニーを複数設けてな」
「そのコロニ―群を首都とする」
「人口惑星でもいい」
 その首都はというのだ。
「とかくだ」
「首都の移転もですか」
「考えている」
 それもというのだ。
「私はな」
「そうなのですか」
「そしてだ」
 ギルフォードはさらに話した。
「エウロパを一つにしたままだ」
「治めることをですか」
「考えている」
 こうモンサルヴァートに話した。
「私はな」
「そうなのですね」
「そうだ、そうして国力を養い」
「国を豊かにしますか」
「あらゆる分野でな、しかし思うことは」
 それはというと。
「我々が相当に強くなってもだ」
「大きくなろうとも」
「連合は元々巨大であり」
「大きくなり続けている国ですね」
「ヨルムンガルドは世界を囲んだところで成長が止まった様だが」
 北欧神話における巨大な蛇だ、アスガルドの道化た神ロキの血を引いているので神といえばそれになる。
「しかしだ」
「連合については」
「今だにだ」
「大きくなり続けていますね」
「それこそ世界を何重にも撒く様なな」
「そこまでの大きさになっていますね」
「そのヨルムンガルドより遥かに巨大な存在に勝とうと思えば」 
 それこそというのだ。
「我々としてはな」
「幾ら発展しても」
「それで慢心なぞだ」
 到底というのだ。
「してはならない」
「それが現実ですね」
「その通りだ、軍にしてもだ」
 再びモンサルヴァートが統括しているその組織の話をした。
「幾ら発展してもだ」
「新兵器を手に入れようとも」
「慢心は出来ない」
「決して」
「今エウロパ軍は十億だが」
「連合軍は百三十億です」
「そして技術的にもな」
 こちらのことでもというのだ。
「我々より遥かに進んでいる」
「三百年程は」
「こちらが火縄銃とすると」 
 三百年と聞いてだ、ギルフォードは銃に例えて話した。 
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