イベリス
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第百四話 八月の終わりその八
「幾ら何でもね」
「あの大学はね」
「レベルが違うから」
「そうよね」
「早稲田とか慶応もね」
こうした大学もというのだ。
「無理よね」
「あんたの今の成績だと法政や立教や明治はね」
「行けるかしら」
「三年までその成績でいけばね」
そうすればというのだ。
「いけるわよ」
「そうなの」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「東京の大学もね」
「考えておくといいのね」
「東京から行ける大学なら」
母はさらに話した。
「神奈川とか千葉とか埼玉もね」
「行けるわね」
「国立大もね」
「国立だと学費安いし」
「公立はね」
「それもいいかしら。ただ私理系はね」
数学や理科はというのだ。
「あまりね」
「あんた文系よね」
「そっち寄りなのよね」
得意分野はというのだ、科目の。
「だからね」
「それでよね」
「東大さっき出たけれど」
「国立だと五教科でしょ」
入試の科目はというのだ。
「それじゃああんたにはね」
「不利よね」
「国公立に入ろうと思ったら」
そう考えると、というのだ。
「かなり必死によ」
「五教科だけあって」
「それでレベルも高いから」
偏差値もというのだ。
「だからよ」
「国立、公立もね」
「難しいわよ」
「やっぱりね」
「だから理系も出来ないと」
咲はそちらは文系よりよくないがというのだ。
「駄目よ」
「そうなるわね」
「それで咲は国立は」
「実は考えてないの」
母に即座に答えた。
「勿論東大もね」
「考えてないのね」
「国立だけじゃなくて市立とか」
「公立もよね」
「考えてないわ」
そうだというのだ。
「いけたらやっぱりね」
「学費は安いわね」
「それでやっぱり名門多いから」
公立の大学にはというのだ。
「こんなこと言ったらあれだけれど箔っていうか」
「それも付くわね」
「あまり思うことじゃなくても」
「確かに思わない方がいいわね」
母も否定しなかった。
「そうしたことは」
「やっぱりそうよね」
「けれどね、事実としてね」
「東大出って言われるしね」
「世の中ね」
「そうよね」
「だから行けたらってね」
その様にというのだ。
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