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ドリトル先生と桜島

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第五幕その十一

「やっぱりね」
「努力しないとね」
「それが楽しんでいてもね」
「努力だね」
「そう思うよ、あと努力は辛いものじゃないよ」
 決してというのです。
「モーツァルトさんはまた特別かもだけれど」
「あの人はね」
「作曲していないと苦しいって」
「流石にね」
「また違うね」
「それはもう呼吸や食事の様な」
 モーツァルトさんにとって作曲はというのです。
「そんなものだったからね」
「そうなっているからこそ天才?」
 ガブガブは言いました。
「まさに」
「そう思っていいかもね」
 トートーはガブガブの言葉に頷きました。
「本当の天才は」
「その何かをしていないと苦しくて」
 老馬も言いました。
「やり続けるって」
「好きこそものの上手と言うけれど」
 ポリネシアはこの言葉を出しました。
「もうそれをしていないと苦しいなんて」
「それこそだね」  
 ジップは言いました。
「好き以上だよ」
「生活習慣だね」
「その域ね」 
 チープサイドの家族はお話しました。
「モーツァルトさんにとっての作曲は」
「そこまでだったね」
「起きて息をして飲んで食べる」
 チーチーは思いました。
「そして作曲がモーツァルトさんにとってはその中にあったんだね」
「もうお仕事とか好きとかじゃなくてそこまでなら」
 ダブダブも思いました。
「そこまでなるわね」
「元々才能があってね」
「毎日そうした感じでやってたらね」
 オシツオサレツも二つの頭で考えます。
「そこまでになるね」
「あれだけの天才にね」
「天才は何故天才か」
 先生は言いました。
「才能だけじゃないんだよ」
「むしろ才能は人より少しで」
「そこから努力で発揮される」
「何もしないで天才ではいられない」
「そうだね」
「その通りだよ、努力をしている様には見えなくて」
 作品を見る限りというのです。
「皇帝やエリート警察官僚や美形兄弟になってね」
「凡人を薙ぎ倒す」
「敵はおおむね無能で」
「そんな風の作品だと」
「しかもその主人公達の性格に問題が多過ぎるから」
 このこともあってというのです。
「本当によね」
「面白くないんだね」
「というか不快なんだね」
「読んでいて」
「先生としても」
「そうだったよ、だからもう二度とね」 
 それこそというのです。
「その人の作品は読まない様にしているよ」
「その方がいいね」
「面白くないどころか不快なら」
「しかも読んでも得られないみたいだし」
「そうした作品だとね」
「もうね」
「だからそうしているよ。努力なくして何もなしで」
 そしてというのです。 
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