新オズのリンキティンク
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第五幕その十一
「それではな」
「わかるやろ」
「驚くのも無理はない」
「ほんまはじめて食べたさかいな」
「それまでところてんはか」
「蜜のもんしか食ってへんかったからな」
だからだというのです。
「酢のもん食うてや」
「腐っておるとか」
「ほんま思ったわ」
「あの、ところてんはです」
ナターシャも言ってきました。
「蜜ですよね」
「そうそう、黒蜜」
「やっぱりそれよ」
「お酢のも売ってるけれど」
「そっちだよね」
五人でお話します。
「何といっても」
「甘くて美味しくて」
「それで食べやすくて」
「ところてんっていうと」
「やっぱり黒蜜よ」
「そう言うのが関西や」
藤田さんは五人にも笑顔でお話します。
「ほんまな、けどな」
「それでもですか」
「日本の他の地域では、ですか」
「お酢ですか」
「それで食べるんですね」
「ところてんは」
「そや、それが食文化の違いや」
それになるというのです。
「わしもそれがわかったわ」
「ううむ、日本も地域で何かと違うのじゃな」
リンキティンク王もしみじみと思いました。
「そうなのじゃな」
「そうですね、オズの国もです」
王子も言ってきました。
「地域によってです」
「何かと違うしのう」
「そのことを考えますと」
まさにというのです。
「外の世界の日本もです」
「地域ごとに違ってもな」
「当然ですね」
「全くじゃ」
「ええ、しかしです」
王子は先生とお話してでした。
藤田さんにお顔を向けてです、笑ってこう言いました。
「しかし先程のところてんを召し上がられて」
「腐ってるってのはやな」
「面白いですね」
笑って言うのでした。
「とても」
「そう思われると勝ちや」
藤田さんも笑って応えます。
「まさにな」
「そうなんですね」
「お笑いやってるとな」
「自分のお話したことで面白いと思われる」
「笑ってもらうとな」
そうなると、というのです。
「それこそがや」
「勝ちですね」
「そや、誰に勝ったかっていうとな」
「誰にでしょうか」
「そこはわからんけどな」
このことも笑って言うのでした。
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