FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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天馬の漢気
前書き
100年クエスト予想と違った展開でした。
そんなに黄金の梟のとこ長くやる必要あるかと思いつつもまぁそれもまた良しと思ってます。
先程まで激しい戦いにより歓声に包まれていた会場。しかし今は全ての人が静まり返っている。その理由は言うまでもなく、信じられない出来事が目の前で起きたからだろう。
『ダウン!!妖精の尻尾のナツ選手がダウン!!まだカウントは減りきっておりません!!しかしナツ選手!!起き上がる気配が見られないぞ!?』
これには実況のチャパティさんも驚きを隠せない。しかしダメージを受けたのは相手も同じはず。この間に誰かが倒してくれれば・・・そう思いシルフェの方を見るが、それは彼もわかっていたようで近くにあった魔法陣の中に入って身の安全を確保していた。
「あんな状態なのに判断が早いですね」
「でもそうなると次のターゲットは・・・」
これによりシルフェとナツさんのタイマーは動かない状態。となると今一番カウントが0に近いのはこの変態娘になる。彼女の方へと視線を向けると、そこでは先程までとは異なる展開へとなっていた。
「きゃあああああ!!」
得意の返し魔法を使わないソフィア。いや、厳密に言えば使えないのだ。なぜなら接収したミラさんの動きが速すぎて、彼女の反応が追い付いていないのである。
「タンマタンマ!!待って待って!!」
「待たないわよ!!さっきまでのお返し!!」
どうやら相当ソフィアに身体をまさぐられていたようで怒りが限界に達した彼女は猛反撃に出ているらしい。彼女の室力をわかっている俺たちは可哀想な結末が待っているであろうソフィアに手を合わせている。
しかし、彼女の悪運はここで尽きることはなかった。
「セーフ!!」
「くっ・・・」
ミラさんの攻撃が入る直前、魔法陣の中へと逃げ込むことに成功したソフィア。その魔法陣の効果によりミラさんの攻撃は見えない壁に阻まれてしまった。
「次出る時はソフィアのターンだね!!」
ソフィアはよほどの高火力や不意をつかない限りは返し魔法によって跳ね返すことができる。ミラさんは運良くソフィアが魔法を使えない距離での連続攻撃を放つことができたが、こうなれば準備をされてしまうため先程までのようにはならないはず。
「ナツさんは・・・」
現在二人が魔法陣に身を潜めている状態。その間にナツさんが目覚めてくれればと彼の方を見るが、相当なダメージを受けてしまっているらしくピクリとも動かない。
「ナツ!!起きろ!!」
「しっかりしろ!!火竜!!」
グレイさんとガジルさんの怒声にも似た声が響き渡る。ただ、それは彼を心配しているもののようで怒声というのは間違っているかもしれない。
「あそこじゃ誰かが仕掛けたら巻き沿いを食らいますよ」
「でも競技中は私たちは中に入れません」
本当ならすぐにでも治療するべきなんだけど、制限時間がある競技であるためそれが終わるまでは中に入れない。しかし、戦いの意識を失い無防備な彼に何かが起こらないとは限らない。
「ナツ!!」
それはその場にいた全員がわかっていた。そして妖精の尻尾には一つだけ利点がある。それはもう一人、この競技に同じギルドの仲間が参加しているということ。
ミラさんがナツさんを助けるために飛び込む。他の人たちもこれを邪魔しようとすることはなかったんだけど、一人だけそれとは逆行する者がいた。
「きゃっ!!」
まだ魔法陣に入っていられる時間は残っていたはずだけど、シルフェはそれを放棄してナツさんの救助へとやってきたミラさんに攻撃を与える。これにはさすがの彼女も反応することができなかった。
「それは・・・」
「さすがにマナー違反だ」
しかしこれを黙って見ている他の参加者ではない。バッカスさんとローグさんがシルフェに向かって飛びかかるが、一度休憩を取ることができたからか彼の動きは元通りになっており回避されてしまう。
「このっ・・・」
「逃がすか」
ただ、それで簡単に逃がすような二人ではない。彼らはそのまま追撃しようと迫るが、ここで思わぬ事態に襲われる。
「「うわあああああああ!!」」
「な!?なんだ!?」
フラフラとしながら二人の攻撃を交わしていたシルフェ。それを追いかけていた二人に突然雷撃が落ちる。意味がわからずにいると、彼ら二人が落ちたところを見てその理由がわかった。
「ローグさんたち、いつの間にか魔法陣の上にいます!!」
「そっか、二人で魔法陣に入ったと認識されたのか」
二人同時に魔法陣に入ると電流が流れるとは聞いていたが、彼らは無意識にそれを犯してしまったことになったらしい。どの程度の電流なのかはわかってなかったけど、実力者である二人がすぐに起き上がれないところを見ると相当な威力であることはわかる。
「でもさっきミラさんは入れませんでしたよね?」
「たぶん・・・"攻撃"をしていたからじゃないですか?」
最初のルール説明の時に他の参加者の攻撃は一切受け付けないと言っていた。ただ、その後に二人で入るとダメとも言っていたことを考えると、恐らくあの魔法陣は攻撃だけを防いで人の侵入は制限がないんだ。それが例え中に誰かが入っていても、止めることはできないようになっている。
「でもそれを瞬時に理解したってこと?」
シルフェはまるでその事をわかっているかのような振る舞いだった。ルールを聞いていてもそこまですぐに思い付くとは思えないけど、それをすぐさま把握したってことなのかな?
「あいつの残り時間、30秒切ってくるよ」
「ナツさんもミラさんもダメージが大きいし・・・ん?」
ミラさんも不意打ちを受けたことでなかなか立ち上がることができずにいた。こうなるとあとは他の参加者たちがどうなるかを見守るしかないのかと思っていたところ、シルフェの前に一人の青年が立ちはだかる。
「俺がお相手しましょう」
平静を装っているがタクトさんの目からは怒りの感情が見て取れる。そんな彼を見ても、シルフェは一切焦っている様子は見られない。むしろ彼を待っていたような・・・そんな風にも見えてしまった。
レオンside
狩猟豹の頭のシルフェと向き合っているタクト。その表情は彼としては珍しく怒っているのが誰の目から見てもわかる。
「でも今対応するべきなのは、あいつではないんじゃないか?」
俺は全員の頭の上に表示されている数字へと目を向ける。確かにシルフェは脅威だが、ナツさんと戦っていたこともあり遅れている状態。むしろ今彼らが見なければならないのはまもなく安全地帯での30秒を終えるソフィアの方であるのだが、誰もその事に気付いていない。
「ポイントも大事だけど、今はあの人を追い払いたいんじゃないの?」
「いや、純粋に冷静さを欠いているだけだと思うぞ」
確かにミラさんへの攻撃はマナー違反にも感じるけど、明確な基準がない。それにこれはあくまで競技中の出来事を言われればそれまでなのだ。彼のやった行動には責められる謂れがない。
「でもタクトさんとシルフェさんの戦いは見てみたいであります!!」
大会とは違う異質な雰囲気になっているにも関わらず相変わらずの能天気ぶりを見せるサクラ。彼女らしい発言に俺とシェリアは苦笑いを見せたが、その際静かに何かを考えているリオンくんの姿が目に入る。
「何か気付いた?」
「リオン?」
「あいつ・・・どこかで見たことがあるな」
「「「え?」」」
リオンくんにそう言われ仮面の男に視線を向ける。でも、全く心当たりがない。それはシェリアもユウカさんみ同様だった。
「あの名前も偽名だろ。シルフェは"風の妖精"って意味があったはず」
「あれが妖精?」
妖精とは言い難い異彩を放っている男だけど、そんなこと言ったら妖精の尻尾はほぼ全員突っ込まれる対象になるので俺は何も言わないでおこう。ただ、リオンくんの気になっているのはそれだけではないようだ。
「あいつはまるでこの競技の得点を気にしていないように見える」
「え?でもナツを最初に倒したら上位に入りやすくない?」
「ナツとあそこまで争わなければもっとカウントを有利に進められてただろ?」
「あ!!そっか!!」
言われてみればその通りだ。彼はこの競技でもっとも脅威になる存在を倒した。だが、自分がそれによって今現在下位に甘んじる結果になっている。
「それにあいつは今一位になっているソフィアをまるで警戒していない。恐らくこのまま行けば、誰にも気付かれずにソフィアが逃げ切るだろう」
ソフィアはミラさんと戯れていたこともありロスがほとんどない。もうまもなくゲームに復帰すればそのままカウントを0にできるだろう。だが、それをあの男は気にしている様子はない。タクトたちも冷静さを失っており、その事に気が付いていないようではあるが・・・
「あいつの狙いは何か他にあるのかもしれないな」
「他って例えば?」
シェリアの問いに首を振るリオンくん。何が狙いで何を持って行動しているのか一切わからないシルフェ。俺たちはその行方を静かに見守るしかなかった。
シリルside
競技の時間はまだ余裕がある。ただ、全員の消化しなければならない時間は残り少ない。そんな状況で二人の男の戦いが始まろうとしていた。
「ミラさんは?」
「ナツさんを寝かせて戻ってきてるみたい」
闘技場の壁にナツさんをもたれかけさせて競技へと戻ってきているミラさん。彼女もこのまま行けば問題なく消化はできるだろけど、重要なのはその順位とそれまでの時間。
「ナツさんのあの様子だともうたぶん起き上がれないと思う」
「他の皆さんがタイムを消化してくれればすぐに治療できますけど・・・」
すでに臨戦態勢に入っているタクトさんとシルフェ。この二人の戦い次第では状況が一変しかねない。何事もなく終わってくれれば一番いいんだけど・・・
ダッ
そう願っていた俺たちだったけど、やはりそううまくはいかないようだ。シルフェは果敢にタクトさんへと向かっていく。だが、それは当然彼もわかっていたためすぐさま迎え撃つことができていた。
「音楽魔法・・・真夏の夜の夢!!」
タクトさんの手元が光ったかと思うと、迫っていたシルフェを炎が襲う。これは手痛い一撃になったと思われたが、シルフェは止まることなくタクトさんの腹部へと拳を突きつけた。
「ぐっ」
「消えろ」
そのまま突き立てた拳から風を巻き起こし、長身の青年をいとも容易く吹き飛ばした、かに見えた。
「それだけですか?」
「!!」
あろうことかタクトさんは彼のその手を握り吹き飛ばされるのを防いだ。そしてこれは同時にある事態を引き起こす。
ゴキッ
「!?」
敵を吹き飛ばすために放った一撃を相手が自身の腕を掴み耐えた。それはつまり全部のダメージを受けたタクトさんも本来より被害は大きいが、巻き込まれたシルフェも同様に被害を受けてしまう。
「この・・・」
利き手と思われる右肩が外れてしまったことにより反対の手で殴りかかるが、不慣れなのか動きが鈍く難なくタクトさんは回避すると、長身を屈めた彼はバネを使い彼の顎へと拳を打ち上げる。
「がっ!!」
その一撃により宙を舞ったシルフェは地面へと叩き付けられる。しかし、彼はすぐに身体を起こして立ち---
「なんだ?」
立ち上がろうとしたシルフェだったが、彼は膝をついたまま動こうとしない。ダメージが大きかったのかとも思ったけど、呼吸が乱れておりどこかおかしいのは誰が見てもわかる。
「これで・・・決める!!」
だがこれは相手からすれば好機。タクトさんは動けない彼へとその長い腕を広げて魔法を放つ。
「音楽魔法・・・翼!!」
シルフェの風を上回るほどの風を起こしながら加速した彼は、動くことのできない相手へと飛ぶように突進していった。
第三者side
目の前から迫ってくる相手に反応できていない男。そんな彼を見ていた仲間たちの表情は冷静だった。いや、冷徹と言った方が正確なのかもしれない。
「やっぱりキツいのね、あれは」
「仕方ない。そのリスクは事前に説明があったからな」
二人の女性は息を乱している男を見ながらそんな会話をしているが、仲間のピンチにも関わらず二人は笑っているようにすら見える。それは余裕があるというよりも、嘲笑っている要素の方が強いと感じた。
「大丈夫なのか?あいつは」
見守っている狩猟豹の頭の中で一人だけ不安そうな顔をしている青年。そんな彼に後ろにいた長身の男は笑いも焦りも見せずに答えた。
「ダメだろうな、恐らく」
その一言に全員が言葉を発せなくなる。だが、男はすぐに言葉を紡いだ。
「だがあいつは役割を果たした。それに、ターゲットが向こうから来てるんだ。ここでカウンターを仕掛けられれば、それで十分」
小刻みに震えているように見えるシルフェの身体。そんな彼だったが、顔は向かってくる敵へとしっかりと向けられていた。
「刺し違えてでも奴を仕留めてくれればいい。あとは俺たちがなんとでもしてやる」
「くっ・・・」
その言葉に納得できないながらも何もできない自身を悔い、顔を伏せる青年。次に顔を上げた彼は仲間ではなく、一人の女性の方へと視線を向けていた。
「エルザ・・・」
シリルside
「これは決まる」
「うん」
タクトさんの一撃は確実に決まる。それは見ていた全ての人が理解していた。
「たぶんそれでタクトさんも抜けだね」
「本当はシルフェさんも抜けてくれれば競技が終わらせられるんですけど・・・」
二人の戦いの間に何食わぬ顔でソフィアが一位抜け、続いてローグさんとバッカスさんも戦いに入るタイミングを見ながらも割って入れず時間が来て抜けている。ここでタクトさんが抜けても4位なためポイント的にはあれだけど、彼の活躍は多くの人の網膜に焼き付いたはず。
「やっぱりタクトくんは脅威ですね」
「一夜さんがいないのが救いですね」
一夜さんが次の世代へのためにとこの大魔闘演武に出ていないのがありがたい。タクトさんと一夜さんが揃っていると、それだけで青い天馬は厄介な存在になる。
『青い天馬のタクト選手!!狩猟豹の頭のシルフェ選手へと迫る!!』
もう目と鼻の先へと迫っていたタクトさん。誰もが彼の勝利を確信していたその時、俺はシルフェの表情の変化に気づいた。
「なんで笑って・・・」
追い詰められた絶対絶命の状況。それなのにシルフェは敗戦を覚悟したものではなく、まだ何か秘策があるかのような表情を見せている。
「魔風壁」
タクトさんの攻撃が届く直前、シルフェは何かを呟いた。その瞬間、二人の間に巨大な風の壁が出来上がったかと思うと・・・
「うわあああああああ!!」
それは長身の青年を巻き込み、彼は地面へと叩き付けられてしまう。
「これで・・・」
タクトさんが倒れたのを見ていたシルフェは立ち上がると何をするでもなくその場に立ち尽くす。そして自身のタイマーが0になると同時に、その場に倒れ込んだ。
「俺の役目は終了だ」
倒れている彼は意識を失っているにも関わらず、その表情は緩んでいる。あまりにも壮絶な戦いを終えた闘技場はざわついていた。
『ただいまタイマーを消化した狩猟豹の頭のシルフェ選手は4位、続いてフェアリーガールズのミラ選手が5位、少し遅れ蛇姫の鱗のトビー選手が抜けて6位までが確定しました!!あとはタクト選手とナツ選手ですが・・・』
倒れた二人は意識を取り戻すことができずただ競技時間だけが過ぎている状態。それも、まだ10分以上も競技の時間が残っているため俺たちも運営も何も手の施しようがないのだ。
「これ・・・どうなるんですか?」
「わからない・・・この場合のルールは説明がなかったし・・・」
ウェンディとルーシィさんはこの状況にそんなことを話しているが、恐らくこれは運営も想定していなかったのか、裏の方が騒がしい。恐らくここからどうするのかを話し合っている状態なのだろう。
「棄権してもらうしか・・・」
「でも、それを決めるのは私たちじゃない」
ナツさんは同じギルドの一員だけど今は別のチームということになっている。つまり彼が棄権するかどうかを決めるのはエルザさんたちなんだけど、普段冷静なはずの彼女たちも困惑しているのかそのことに気付けていない様子。
「こうなったら早く競技が終わるのを待つしか・・・」
一秒でも早く治療をしなければならないという焦り。ただ、今現在俺たちは闘技場に入ることができない。手を握り合わせ早く時間が過ぎてくれるのを待っていると、突然会場が歓声に包まれ、顔を上げる。
「え・・・」
何が起こったのかと顔を上げると、闘技場の中で先ほどまで倒れていたスーツの青年が立ち上がっているのだ。
『・・・』
『おい』
『はっ!!タクト選手!!たった今タイマーを消化しました!!これにより青い天馬が7位、妖精の尻尾が8位にて一日目競技パート・生存終了となります!!』
「「「「「ナツ(さん)!!」」」」」
「「「「「タクト!!」」」」」
競技が終わったことにより闘技場に張られていた魔力の壁がなくなり中へと入れるようになる。それを確認するとすぐさま俺たちと青い天馬のメンバーは闘技場へと駆け降りる。
「ナツ!!」
「しっかりしろ!!」
「動かさないで!!」
「私たちが治療します!!」
ボロボロになっているナツさんへと治癒の魔法をかける俺とウェンディ。その最中、タクトさんの方には王国の衛生兵が駆け付けていた。
「タクト!!」
「大丈夫か!?」
立ったまま微動だにしない彼へと声をかけるレンさんとヒビキさん。顔を覗き込んだ彼らはその表情を見て絶句した。
「気を失ったまま・・・」
タクトさんは意識を失ったままその場に立っていたのだ。生気を失った瞳をしている彼はただ立ち上がらなければならないという意志だけで今の状態を保っている。
「メェーン・・・やってくれたな」
鋭い眼光で狩猟豹の頭のシルフェの方へと視線を向ける一夜さん。だが、彼は今の男の状態を見て何も言えなくなっていた。
「ご苦労だったな」
肩が外れたことにより力なくぶら下がっているだけの右腕。意識を失い、背の高い男に担がれその場から連れ去られる彼のその腕が歩みによる震動で揺れている。
「一夜さん」
「これは魔闘の大会・・・こういうことも起こりうるだろう」
担架に乗せられて運ばれていく二人の青年。彼らをそのような状態にした敵も同様になっており悪意を向けることはできない。ただ、それでも一夜さんの表情はいつものようなイケメンを装ったものとは異なっていた。
「タクト、君の無念は私が晴らそう」
運び出される仲間の姿を見ながら、彼は覚悟を決めた表情をしていた。
第三者side
初戦から慌ただしい展開へとなっている大魔闘演武。その様子を無表情で見ていた黒髪の女性に対し、彼女の後ろから現れた水色の髪の青年は不思議なものを見る目で問いかけた。
「これは何がしたいの?お前は」
指をさしながら問いかける青年。それに対し女性は目を細めながら答える。
「あなたも以前やったでしょ?それと同じことよ」
「だったらこんな大会やるんじゃねぇよ」
「ダメよ。これがなきゃ、最後のピースが埋まらない」
「最後のピース?」
静かに頷く女性だったが、青年は何のことを言っているのかわからず首をかしげる。そんな彼の姿を見ても彼女の表情は変わることはなかった。
「人間の修復機能は素晴らしいのよ、それを私は信じてる」
いまだに何のことを言っているのかわからなかった青年だが、相手は答えてくれそうもないので諦めてその場から姿を消してしまう。残された女性はその場から動くことなく、魔法の世界の住民たちの祭りを眺めていた。
後書き
いかがだったでしょうか。
ナツに続いてタクトも大ダメージを受けてのスタートとなった今大会。
次はバトルパートの説明になるかな?バトルまで行けたら最高ですが・・・
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