星河の覇皇
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第八十四部第二章 交渉の用意その十五
「軍の管轄だが」
「その予算もですね」
「出す、しかもだ」
ただ出すだけでなくとだ、ギルフォードはモンサルヴァートに心の中にこの言葉を入れつつ話した。
「やはりだ」
「国債を発行してでもですか」
「そちらの予算を確保する」
「国債の発行を躊躇しないといいますか」
「ここまでの国債の発行は例がない」
ギルフォードは自ら言った。
「エウロパの歴史上な」
「かつてないですね」
「そうだ、だが」
「それでもですか」
「私も不要な国債は発行しない、例えばだ」
ギルフォードはこうも言った。
「ギャンブルや浪費で散財する愚か者の借金だが」
「その借金をさらに散財に使いますね」
「そしてやがてはだ」
「借金で首が回りなくなりますね」
「こうした愚か者は常にいる」
「何処でもですね」
「こうした愚か者に周りは金を貸させてはいけない」
そもそもというのだ。
「そこから散財してだ」
「より多くの借金をもうけるだけなので」
「こうした輩は禁治産者にしてだ」
その様にしてとだ、ギルフォードは話した。
「借金なぞさせない様にする」
「そうすべきですね」
「それしかない、だがな」
「国家としてはですか」
「私はそもそも負けるギャンブルはしない」
ギルフォードはここで自分のことも話した。
「確実な勝利以外はだ」
「手にされないですか」
「勝利の為にはあらゆる手段を講じるが」
それでもというのだ。
「しかしだ」
「負けるならですか」
「しない、ギャンブルも勝つ為に行うものであり」
「迂闊にはするものではない」
「迂闊に手を出して頭に血が上れば」
「敗れますね」
「そこから散財する、しかし」
ギルフォードは自分のことをさらに話した。
「私は違う、私は散財もしない」
「その政策も」
「確かに国債を多く発行しているが」
「それは国家の政策のものであり」
「必ず帰る」
「そういうものですね」
「国家財政が行き詰まり借金を行っても」
今度は国家のそれの話をした。
「これも駄目だ」
「財政の行き詰まりを借金で解決は出来ない」
「それは家庭の散財と形状は違うが」
「同じ様に、ですか」
「やはり借金が借金を産んでだ」
「国債が過多となり」
「首が回らなくなる」
その借金でというのだ。
「そうなってしまう」
「そうなりますか」
「だが私は違う」
確信を以て言い切った、このことを。
「国が豊かになり守る」
「その為の国債ですね」
「この場合はすべきだ」
国債の発行をというのだ。
「是非な」
「だから軍事費についてもですか」
「私は国債を発行してだ」
そのうえでというのだ。
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