ハッピークローバー
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第八十二話 阪神圧勝その十二
一華は家に帰ると父に満足した顔で言った。
「阪神勝ったし達川君も一緒で」
「よかったか」
「最高だったわ」
「何もなかったんだな」
父は笑顔の娘に問うた。
「そうなんだな」
「無事かどうかね」
「そうなんだな」
「ええ、何もなかったわ」
実際にとだ、一華は答えた。
「本当にね」
「それならいい、やっぱりな」
「安全第一ね」
「そうだ、一華が無事ならな」
暖かい笑顔での言葉だった。
「お父さんはそれでいい」
「そうなのね」
「バイクに乗ってるモヒカンなんていたらな」
「核戦争後みたいに」
「気が気じゃないからな」
「幾ら何でもそんな人達はね」
「いなかったな」
やはり笑顔で言うのだった。
「そうだな」
「流石にいないわよ」
「それならいい、じゃあ早くご飯食べるんだ」
「それでシャワー浴びて」
「寝るんだぞ」
「そうするわね」
「あんた大分汗かいたでしょ」
母も言って来た。
「そうでしょ」
「匂う?まさか」
「匂わないけれど」
女の子らしく体臭を気にする娘にこう返した。
「まだまだ暑いし甲子園に行ったのよ」
「あそこ暑いから」
「絶対に汗かなりかいてるから」
それでというのだ。
「シャワー浴びなさい」
「それで汗を落として」
「身体も洗ってね」
そうもしてというのだ。
「奇麗にね」
「して寝ろっていうのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「お風呂でもいいわよ」
「お風呂ね」
「お風呂の方が匂い落ちるのよ」
体臭、それがというのだ。
「ただ洗い落とすだけのシャワーよりもね」
「お湯に浸かったら」
「そのお湯で匂いが滲み出てね」
「匂いが落ちるのね」
「それで垢や汚れも」
こうしたものもというのだ。
「お湯に滲み出てよ」
「そうなって」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「シャワーより落ちるのよ」
「垢や汚れも」
「だから本当にね」
「匂いや汚れをどうにかしたいなら」
「シャワーよりもね」
「お風呂ね」
「夏でもよ」
この季節でもというのだ。
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