ドリトル先生と桜島
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第四幕その二
「それで火山灰をいつも出してね」
「鹿児島をそれで覆ってね」
「土地を痩せさせて」
「困ったことにしてきたけれど」
「けれど桜島がないとね」
そうでないと、というのです。
「鹿児島はどうなんだろうね」
「鹿児島県じゃない?」
「それこそ」
「桜島がないと」
「やっぱりこの県の象徴なんだよ」
桜島はというのです。
「何といっても」
「そうだよね」
「それこそ薩摩藩が出来る以前から」
「大昔からよね」
「桜島はこの場所の象徴で」
「ないことは考えられないんだね」
「そうだと思うよ、どれだけ噴火しても」
そうして火山灰を降らしてもというのです。
「鹿児島県の象徴だよ」
「そうだよね」
「鹿児島県は温泉も多いけれど」
「その温泉をもたらしてくれているのも桜島だし」
「桜島なくして鹿児島県はない」
「そう言っていいね」
「今そのことをあらためて思ったよ」
月明かりに照らされる桜島を見てというのです。
「本当にね」
「全くだね」
「それが桜島だね」
「それでその桜島の火山灰からだね」
「地質調査をしてるね」
「先生も」
「そうしているよ、そしてこの桜島をね」
先生はさらに言いました。
「西郷さんも大久保さんもね」
「見ていたんだね」
「それもずっと」
「そうなんだね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「かつてはね」
「そうして育っていって」
「大志を抱いて」
「そしてだね」
「討幕を果たして」
「維新も成し遂げたね」
「そうしたんだ」
このこともお話しました。
「あの人達はね」
「そう思うとね」
「桜島は歴史の証人でもあるね」
「鹿児島にいる人達を見守ってきた」
「そうしたものでもあるんだね」
「そうだよ、西郷さんは流刑にも逢ってね」
幕末の時にです。
「大久保さんはその都度西郷さんを助けようと動いたけれど」
「そうしたこともだね」
「桜島は見てきたんだね」
「ずっと」
「何も言わないでね、そしてね」
ここで、でした。先生は。
悲しいお顔になってです、こうも言いました。
「西郷さんが征韓論で政府を去って」
「そうしてだね」
「そしてだね」
「この鹿児島に戻って」
「士族の人達の叛乱に巻き込まれて」
「それで止むを得ず総大将になって」
「西南戦争を起こしたけれど」
皆も悲しいお顔で言います。
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