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新オズのリンキティンク

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第四幕その二

「だってここはオズの国だよ」
「夢のある人がですね」
「普通に集う国だからね」
 それ故にというのです。
「西鶴さんがおられてもね」
「普通なんですね」
「そうだよ」 
 こう言うのでした。
「他の人達と同じだよ」
「秀吉さんもですね」
「そういうことだよ」
「いや、この国はほんまええ国や」
 西鶴さんはこうも言いました。
「おもろいことばかりで飽きんわ」
「そうなのじゃな」
「この街を出ても」
 リンキティンク王にも言います。
「そうしてもな」
「面白いのじゃな」
「オズの国を旅しても」
 例えそうしてもというのです。
「もうおもろい物事ばかりで」
「楽しめておるか」
「そや、この国に来られてよかったわ」
「それは何よりじゃな」
「ほんまな。それでこれからやけどな」
 西鶴さんはさらに言ってきました。
「わては浄瑠璃観てや」
「そうしてか」
「それからまむし食うわ」
「ほう、まむしじゃな」
「それをや」
「それはいいのう」
「あれっ、まむしって」
 ナターシャはそう聞いて目を瞬かせて言いました。
「蛇の」
「おお、そう思うやろ」
 西鶴さんはそのナターシャに笑って応えました。
「ちょっと聞いたらな」
「はい、あの蛇ですよね」
「それがちゃうんや」
「といいますと」
「ここで言うまむしは鰻のことや」
「あのお魚ですか」
「大坂今で言う大阪では鰻は蛇と一緒で細長いからな」
 だからだというのです。
「まむしって言うたんや」
「そうでしたか」
「あと細長いのが縄そっくりでな」
 そうしてというのです。
「その先に口があるやろ」
「はい、頭があって」
「それでや」
 その為にというのです。
「口縄ともや」
「言いますか」
「そや」
 まさにというのです。
「この街でもそやねん」
「そうなんですね」
「それでわてはな」
「浄瑠璃の後で、ですか」
「まむしを食うわ」
「そうですか」
「鰻丼に蒲焼きに肝吸いにな」
 そういったものをというのです。
「食うわ」
「そうされますか」
「そや、楽しみや」
 実にというのです。
「これからな」
「そうですか」
「そやからやな」
 だからだというのです。
「楽しみや」
「鰻いえまむしの方も」
「ほんまにな、ほなまたな」
 笑顔でお別れしてでした。 
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