老馬が得た幸せ
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第一章
老馬が得た幸せ
ニューヨーク州バイロンの動物保護施設非営利の団体で名前をモーキンバードファームサンクチュアリというその施設にだ。
一匹の馬が来た、その馬を見て。
スタッフの一人ユカコ=マツイ若いアジア系の女性で小柄で黒い髪の毛をショートにしている彼女は施設の創設者のフローレンス=ジョネル恰幅のいい白人の白髪と緑の目を持つ彼女に悲しそうな顔で言った。
「お話を聞きましたが」
「あの娘のことね」
「はい、ギジェットの」
そのサフォークパンチ種で茶色で白い部分もある毛で長い鬣を持っている彼女を見つつジョネルに話した。
「聞きましたが」
「あの娘はもう二十九歳でね」
「馬でそれはかなり高齢ですね」
「けれどその間十七年はね」
今はトラックの中にいる彼女を見つつ話した。
「ずっとよ」
「厩舎の中に閉じ込められて」
「飼い主の人にご飯だけ与えられて」
「ずっとその中にいたんですね」
「暗いね」
「酷いことですね」
「ええ、けれどね」
それでもというのだった。
「これからはね」
「私達が幸せにしますね」
「これからどれだけ生きられるかわからないけれど」
馬としては高齢であるギジェットはというのだ。
「けれどね」
「それでもですね」
「精一杯ね」
「幸せになってもらいますね」
「そうなる様にしてもらいましょう」
こうした話をしてだった。
マツダもジョネルも他のスタッフ達もだ。
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