英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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第155話
~幻想機動要塞~
「少佐を守れ……!」
「我ら鉄道憲兵隊の意地を思い知れ……!」
戦闘が始まると鉄道憲兵隊員たちはそれぞれ攻撃態勢に入ってトワ達を攻撃しようとしたが
「フッ、遅い、遅い!」
「ぐあっ!?」
「ガッ!?」
ある者達はオリヴァルト皇子による目にも止まらぬ早撃ち――――――クイックドロウによって怯み
「こんなのはいかが?」
「しまった……!」
「う、動けない……!」
またある者達はシャロンの鋼糸を使った拘束技――――――カラミティクロスによって動きを封じ込められ
「滅せよ――――――迅雨!!」
「砕け散るがよい――――――魔洸刃!!」
「ガハッ!?これまで……か……」
「無念………」
そこにミュラー少佐とアルゼイド子爵による追撃が叩き込まれ、それぞれ戦闘不能になる程のダメージを受けた事で気絶した。
「リーヴェルト少佐……!?」
「くっ、”紅き翼”だと!?」
「少佐の加勢に向かうぞ!」
するとその時灰獅子隊と戦っていた鉄道憲兵隊の一部の憲兵達が自分達の背後でクレア少佐達と紅き翼の戦いが起こっている事に気づくとクレア少佐の援軍へと向かったが
「敵の援軍は我らが抑える!」
「その間にお前達が”氷の乙女”との決着をつけろ!」
「はい……!」
アルゼイド子爵、ミュラー少佐、シャロン、オリヴァルト皇子が阻んで援軍の相手を始め、アルゼイド子爵とミュラー少佐の言葉にトワは力強く答えた後仲間達と共にクレア少佐との戦闘を開始した。
「喰らいやがれっ!!」
「!エイミング――――――デバイス!!」
「チッ!?」
先制攻撃代わりにアッシュはクラフト―――――ランブルスマッシュでクレア少佐に上空からの奇襲をしたがクレア少佐は側面に跳躍して回避した後即座にアッシュにレーザーポインタをロックしての狙撃を行ってアッシュにダメージを与えた。
「凍てつきなさい――――ハァァァァァァ…………ッ!!」
「させないわよ――――――焔よ、行きなさい!!」
続けてクレア少佐は後方でそれぞれアーツの駆動を開始しているアリサとエマ、トワに妨害攻撃を叩き込んでアーツを中断させる為にクラフト―――――フリジットレインを発動したがセリーヌがクラフト―――――クリムゾンテイルによって発生した複数の火炎弾によってアリサ達の上空に発生しかけた氷塊は溶かされた事でクラフトは無効化された。
「行くよ――――――シュッ!」
「セイッ!これはオマケよっ!!」
「くっ!?逃がしません!!」
そこにフィーはクラフト―――――スカッドリッパー、サラはクラフト―――――電光石火でクレア少佐にそれぞれの奇襲攻撃を叩き込み、ダメージを受けたクレア少佐は反撃に追尾型のエネルギー弾を放つクラフト―――――αオンワンで二人に反撃をしようとしたが
「深淵の刃よ―――――切り裂け!!」
「いっけ~!」
セドリックがクラフト―――――アビスブレイドでサラを追尾するエネルギー弾を切り裂き、ミリアムはオーバルギアに搭載されているバルカン砲を連射してフィーを追尾するエネルギー弾を無力化した。
「喰らいやがれっ!!」
「喰らいつくせ!!」
「あぐっ!?」
そしてクロウとラウラがクレア少佐の左右からクラフト―――――”クリミナルエッジ”と”洸牙絶咬”を叩き込み、二人の強烈な攻撃を受けたクレア少佐は思わず怯み
「エニグマ駆動―――――クリムゾンレイ!!」
「エニグマ駆動―――――アヴァロンゲート!!」
「エニグマ駆動―――――ユグドラシエル!!」
「ああああああぁぁぁっ!?」
更にオーブメントの駆動を終えたアリサとエマ、トワが一斉に上位アーツを発動してクレア少佐に大ダメージを与えた。
「まだ……ですっ!妨害せよ――――――フリーズジェイル!!」
普通なら倒れて当然のダメージを受けてもなおクレア少佐は倒れず、ダメージから立ち直った後両目に何かの紋様を顕現させた後”力”を発動してアリサ達の動きを制限し
「目標を制圧します――――――ミラーデバイス、セットオン!!」
「?……――――――!させるかよっ!!」
「え……どうして僕とクロウさんだけ……っと、今はそんなことを気にしている時ではないな。霊力よ、我が剣に力を――――――解き放て―――カーディナルブラスト―――ッ!!」
続けてSクラフトを発動したが何故かクレア少佐の”力”の影響を受けていない事に気づいたクロウが双銃でクレア少佐が展開したミラーデバイスを撃ち落とした為、Sクラフトは不発に終わり、クロウ同様自分もクレア少佐の力が通じていない事に気づいたセドリックはクレア少佐目掛けて剣に注ぎ込んだ膨大な魔力を放った。
「!!な……っ!?オルディスで戦った彼女のように何故クロウさんと皇太子殿下にまで”巨イナル黄昏”による強制力が効かなくなったのですか……!?」
セドリックの反撃を回避した後自身の力が通じていない様子のクロウを見たクレア少佐は困惑し
「へっ、まさか”相克”対策の為に用意してもらった”コイツ”がこんな形で役に立ってくれるとはな。」
「あっ!あの腕輪って確か……!」
「エイドス様に用意して頂いた”巨イナル黄昏の呪いによる強制力を防ぐ力が込められている神器”……!」
「なるほどね。アタシ達の動きを制限しているこの”力”も”巨イナル黄昏の呪いによる強制力”によるものだから、”巨イナル黄昏の呪いによる強制力”の一つでもある”相克”対策のあの腕輪も効果を発揮しているようね。」
クロウは不敵な笑みを浮かべてエステル達を通じてエイドスからもらった”相克”対策の為の腕輪に視線を向け、クロウの言葉を聞いて察しがついたアリサは声を上げ、エマは真剣な表情で声を上げ、セリーヌは納得した様子で呟いた。
「俺が時間を稼ぐ!その間に皇太子殿下はトワ達の状態を回復してくれ!」
「わかりました!エニグマ駆動―――――」
クロウの指示に頷いたセドリックはオーブメントの駆動を開始し、クロウはクレア少佐に攻撃を仕掛けた。
「そこだっ!!」
「!もう一度!妨害せよ――――――フリーズジェイル!!」
クロウが双銃で放った掃射攻撃――――――クイックバーストを回避したクレア少佐は再び”力”を発動したが相克対策の為の空の女神の霊力によって形成されている腕輪を身に着けているクロウには効かなかった。
「無駄だっ!これは今までのお返しだ――――――オオオォォォッ!!」
「く……っ!?」
反撃にクロウは魔眼を発動させるクラフト―――――アイ・オブ・バロールを発動してクレア少佐の動きを封じ込め
「裁きを――――――喰らえっ!!」
続けて双銃に溜め込んだエネルギーを解き放つクラフト―――――ネメシスバレットをクレア少佐目掛けて放った。
「レディエーション・デバイス、バリア展開!!」
クレア少佐にクロウが放った収束したエネルギー弾が襲い掛かったその時クレア少佐が声を上げると、ステルス機能で姿を隠していた特殊な浮遊デバイスがクレア少佐の声に反応した後クレア少佐の周囲に導力エネルギーによる障壁を展開してクロウが放ったクラフトを防いだ。
「コンセントレートアタックスタート!」
クロウの攻撃を防いだクレア少佐は続けて自身の周囲に浮遊している特殊デバイスと共にクロウ目掛けて集中射撃を開始した。
「チッ……!」
クレア少佐の集中射撃に対してクロウは回避や防御行動に専念し始めた。
「―――――レキュリア!!」
「ありがと~、皇太子殿下~!よーし、ここから一気に決めるよ~!ファーちゃん、力を貸して!」
一方その頃セドリックが発動した状態異常回復アーツによってクレア少佐が発動した”力”によって動きが制限された状態をトワ達と共に回復してもらったミリアムはオーバルギアに搭載されている自動浮遊射撃機――――――ファンネルを展開した後クレア少佐目掛けて突撃した。するとファンネルはクレア少佐目掛けて導力エネルギーによる射撃を行い
「!迎撃を!」
ファンネルの攻撃を回避したクレア少佐は自身の周囲に浮遊しているデバイスに指示をし、ファンネルに対する迎撃を行わせた。
「とっしーん!!」
「甘い!勝機――――――モータルミラージュ!!」
「わっ!?」
オーバルギアごと突進してきたミリアムの攻撃を回避したクレア少佐はオーバルギアの死角に接近した後怒涛の銃撃を浴びせ
「そらっ!!」
「ハッ!!」
反撃を行った事による隙を狙って投擲したアッシュのダーツの矢も正確な射撃で次々と撃ち落とした。
「大地の恩恵を知りなさい――――――トラクタービーム!!」
「なっ!?――――――キャアッ!?」
その時エマが敵を空中に持ち上げ、落下させる特殊魔法――――――トラクタービームでクレア少佐を強制的に空中へと浮遊させた後地面に叩きつけてクレア少佐にダメージを与えると共に怯ませ
「蒼き獅子よ――――――獅吼滅龍閃!!」
「こいつで逝けや――――――デッドリーサイズ!!」
「緋き焔よ、我が剣に宿れ――――――タリスマンソード!!」
「あぐっ!?」
クレア少佐の怯んだ隙を逃さないかのようにラウラとアッシュが左右から、セドリックは正面からそれぞれ威力が高いクラフトをクレア少佐に叩き込んでクレア少佐に大ダメージを与えた。
「逃がさない――――――メルトレイン!!」
「ヤァァァァァ……ッ!!」
「排除する。」
「これでも喰らいなさい!!」
「いっけー!!」
そこにアリサによる上空から降り注ぐ矢の雨、サラとフィーによる左右から襲い掛かる銃弾の掃射攻撃、セリーヌによる正面から襲い掛かる霊力による9つの火炎弾、ミリアムによる背後から襲い掛かる数発のグレネード弾と逃げ場のない攻撃がクレア少佐を襲おうとしたその時
「妨害せよ――――――フリーズジェイル!!」
何とクレア少佐は自身の周囲のみに絞って”巨イナル黄昏の呪いによる強制力”を発動して自分へと襲い掛かる全方向からの攻撃を凍結させて無効化した。
「これで止まって――――――ホワイトノヴァ!!」
「!くっ……動きが……!」
するとその時トワが絶対零度の冷気が込められた弾丸で範囲内の対象を一時的に完全停止させるクラフト―――――ホワイトノヴァをクレア少佐の頭上目掛けて放った。すると絶対零度の冷気が込められた弾丸はクレア少佐の頭上で弾けた後冷気によってクレア少佐の動きは完全に停止した。
「こいつで決まりだ!受けてみよ、終焉の十字!デッドリー――――――クロス!!」
そしてSクラフトを発動したクロウがクレア少佐目掛けて双刃剣による十字型の紅き斬撃を放ち
「ここまで……ですか………」
クレア少佐は自分目掛けて襲い掛かる紅き斬撃を目にすると得物である軍用導力銃を握っていた利き手の力を抜いて得物を地面に落とし、そして襲い掛かる紅き斬撃をその身に受けて吹き飛ばされた。
「……………ぁ………」
「へへっ……やったか……」
地面に膝をついた様子のクレア少佐を見たミリアムは呆け、アッシュは自分達の勝利に確信して口元に笑みを浮かべた。するとクレア少佐を中心に纏っていた鉄道憲兵隊の黒い瘴気が消滅した。
「ふふ……幾ら戦争によって高まった力を得られなかったとはいえ、要塞の力との一体化………リィンさん達はともかく、子爵閣下達達人クラスの協力者を欠いた紅き翼の勝率はよくて2割でしたのに……」
「内戦もそうだが、この戦争を乗り越えた事で私達が成長している証拠さ。」
「そうね。――――――もちろんあたしだってね?」
「念押ししなくてもいいから。」
苦笑しながら呟いたクレア少佐の指摘に対して答えたアンゼリカの言葉に続くようにウインクをして答えたサラにフィーは呆れた表情で指摘した。
「フフ………皆さんでしたら最後まで辿り着けるでしょうね。………あとはどうか、よろしくお願いします――――――」
そしてクレア少佐が自殺用の小銃を懐から取り出して銃口を自身のこめかみに当てようとし、それを見たトワ達が血相を変えたその時
「零の型―――――双影。」
「………ぁ…………」
何と突如シズナが現れて大太刀による一瞬の早業でクレア少佐の自殺用の小銃を真っ二つにし、自殺を阻止されたクレア少佐は呆けた声を出した。
「シ、シズナさん……!?」
「アンタ、後方でリィン達と共に控えていたのに、一体いつの間に………」
「フウ……やはり読み通りだったな。――――――ありがとう、シズナ。」
「この程度、礼には及ばないから気にする必要はないかな。」
「リィン……!」
「なるほどな……ベルフェゴールの”転位”で近づくと共に、ベルフェゴールの魔術かアーツの”ホロウスフィア”で姿を隠して様子を伺っていたのかよ。」
シズナの登場に仲間達と共に驚いたエマは驚きの表情で声を上げ、セリーヌは困惑の表情でシズナを見つめるとベルフェゴールと共にリィンがその場で姿を現してシズナに感謝の言葉を述べ、リィン達が突如現れた理由を察したクロウは苦笑しながらリィン達を見つめた。
「貴女を含めた鉄道憲兵隊の方達にもハーケン平原での学院長達のような”覚悟”を決めたのでしょう。ですがそれでもその”覚悟”は捨てるべきです。貴方達はこれからも必要な人達なのですから。――――――連合との戦争に敗戦した事で衰退した事で一人でも多くの人々の協力による復興が必要なエレボニアに。」
「うんうん、レクターもエステル達を通じてクレアを助けてくれってボク達もそうだけどリィン達にも頼んできたし、ボクもクレアが死んで償うなんて絶対嫌だし!」
「………リィン……さん………ミリアムちゃんも…………そんなことを言われたら………従うしかないじゃないですか………」
リィンとミリアムの言葉に対してクレア少佐は辛そうな表情を浮かべて一筋の涙を流した後気を取り直し
「――――――鉄道憲兵隊総員、直ちに戦闘を中止し、武器を捨て、降伏しなさい!これは”命令”です!――――――ごめんなさい、私の我儘に付き合わせてしまって………リィンさん達や殿下達の仰る通り、私達はエレボニアの為にも生きて償うべきです……!」
「少佐………」
「ううっ………」
「敵軍の将による”降伏宣言”を確認!灰獅子隊総員、直ちに戦闘を中止しなさい!」
「イエス・マム!!」
最後の気力を振り絞って立ち上がってまだ戦闘を続行している鉄道憲兵隊の隊員達に投降の命令を出した後謝罪し、クレア少佐の命令と謝罪を聞いた隊員達は戦意を喪失してそれぞれの戦闘を中止し、それを確認したルシエルは鉄道憲兵隊と戦闘をしていた灰獅子隊の軍人達に戦闘中止の指示を出し、それらを確認したクレア少佐は地面に崩れ落ちた後気を失い、地面に倒れた。
その後気絶クレア少佐や降伏した鉄道憲兵隊員達の護送を灰獅子隊の軍人達の一部に任せたリィン達はトワ達紅き翼と共に要塞の攻略を再開して先を進み続けると今までの雰囲気とは異なる場所に出た。
~小庭園~
「ここは一体……」
「ちょっと雰囲気が違う場所に出て来たな……」
周囲を見回したセレーネは不思議そうな表情を浮かべ、クルトは周囲を警戒しながら仲間達と共に中央部へと向かった。
「敵の気配は無さそうね。」
「ええ、それにどことなく庭園っぽい雰囲気というか。」
周囲の気配を確認したエーデルガルトの言葉に頷いたリシテアは首を傾げて周囲を見回し
「ゲートが二つ……という事は……」
「恐らくはそれぞれのゲートの奥に”鉄血宰相”へと続く道を守る”守護者”達が待ち構えているのだろうな。」
「!その”守護者”って………」
「ま、残りの面子を考えたらわかりきった答えだな。」
「団長……」
「父様………」
それぞれ開いている二つのゲートを確認したアルティナは考え込み、レーヴェの推測を聞いたトワは血相を変え、クロウは疲れた表情で呟き、フィーとアリサはそれぞれ辛そうな表情で二つのゲートを順番に見回した。
「問題はどちらのゲートにどの勢力が待ち構えているかですわね――――――」
「それならわかるぜ。」
シャロンが考え込みながら呟くとシャロンの疑問に答えるかのようにリィン達の背後からセリスの声が聞こえ、声を聞いたリィン達が振り向くとリィン達が進んだ道のりを追っていたセリスとリオン、そしてエイドス達がリィン達に追いついた。
「エイドス様達も追いつかれたのですね……」
「ここに来るまでの敵の掃討はレン達にさせて、自分達は一切の消耗をせずレン達の後をついてくるなんて、言葉通りまさにいい御身分ねぇ。」
「ふふっ、何せ私は現代のゼムリア大陸にとっては正にその”いい御身分”ですので♪」
「まあまあ……元々エイドス様達の力が必要なのは決戦時なのですから。」
エイドス達の登場にプリネが目を丸くしている中呆れた表情でエイドス達に対する皮肉を口にしたレンに対していつもの調子で返したエイドスにその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中ツーヤは苦笑しながらレンを諫め
「それよりも、左右のゲートに待ち構えている勢力がわかるって話、本当なのかしら?」
「ええ。どうやらゲートの最奥――――――つまり、”守護者”達が待ち構えている場所は外部エリアになっているようでしてね。”メルカバ”からもそれぞれの”守護者”を確認できたので、既にそれぞれの勢力も乗船したメルカバがそれぞれの”守護者”達の元へ”メルカバ”で直接向かいました。」
「待てやコラ!つー事は既に残りの”裏の協力者”の連中を殺る戦いが始まっているのかよ!?」
サラの疑問に答えたリオンの答えを聞いたある事に気づいたアッシュは血相を変えて確認し
「ああ。右のゲートの守護者は”西風”の二人と”紅の戦鬼”で向かった連中はワジとクロスベルの”特務支援課”と”傭兵”のシュヴァルカ一行、そして遊撃士協会のブレイサーオブブレイサー達で、左のゲートの守護者は”黒の工房”で向かった連中はケビンとリース、”千の腕”、そして”嵐の剣神”一行だ。」
「”黒の工房”に対処するのはよりにもよってセリカ殿達とは………徹底しているな。」
「実力差を考えたら、恐らく私達が到着した頃にはセリカさん達の戦いは終わっている事は確実だろうね。」
「……ッ!」
「お嬢様……」
「すぐに二手に分かれてそれぞれのゲートの先を迅速で進むよ!」
「おおっ!!」
セリスの説明を聞いた紅き翼の面々がそれぞれ血相を変えている中ミュラー少佐とオリヴァルト皇子は複雑そうな表情で呟き、二人の会話を聞いて辛そうな表情を浮かべているアリサをシャロンは心配そうな表情で見つめ、トワは仲間達に号令をかけた後迅速にメンバーを二手に分けてそれぞれのゲートの先を進み始めた。
~少し前・左ゲート・最奥~
リィン達が小庭園に到着する少し前、屋外になっている左ゲート最奥地点の近くに離陸したメルカバの”伍号機”からセリカ達とケビンとリース、ルフィナが現れて最奥地点で待ち構えている”守護者”――――――”黒の工房”の”黒のアルベリヒ”と”銅のゲオルグ”に近づいて対峙した。
「き、貴様は……!」
「……”嵐の剣神”か。そちらが圧倒的優勢の状況でありながら、よりにもよって連合の使い手達の中でも”最強”と思われる人物を僕達の抹殺の為に投入するなんて、徹底しているね。」
「”黄昏”の為に遥か昔から力を蓄え、各国・組織の影で暗躍し続けたあんた達の事やから、クロイス家のお嬢さんの時のように肝心の”黄昏”時に想定外の出来事が続いた挙句追い詰められた状況に陥ったら何を仕出かすかわからんかったからな。念には念を入れさせてもらったって訳や。」
「エイドス様に”至宝”を託された一族でありながら、己の野望の為に”至宝”を利用して歪められし”至宝”に変えた挙句、その歪められし”至宝”の下僕へと堕ちたその罪、今こそその身と魂をもって償ってもらいます。」
「連合の手配によって転位による逃亡を封じられ、そして地上・空共に連合に包囲された貴方達の逃げ場はどこにもないわ。覚悟する事ね、外法!」
セリカを目にしたアルベリヒは顔色を悪くし、ゲオルグは苦々し気な表情でケビン達に指摘し、ゲオルグの指摘に対してケビンは冷酷な笑みを浮かべて答え、リースとルフィナは真剣な表情でアルベリヒ達に対する宣言をした。
「黙れ、黙れ、黙れ――――――ッ!女神の”犬”風情が絶対的な力の持ち主にして真の”神”を理解――――――」
そしてアルベリヒが怒りの表情で声を上げてケビン達を睨んで指摘しかけたその時
「黙るのは貴様の方だ――――――沙綾身妖舞!!」
「ぁ――――――」
「――――――!!??」
セリカが一部の自身の”使徒”達を除いたその場にいる全員が認識すらできないまさに神速の速さ”でアルベリヒに強襲、そして背後に控えているゾア=バロールごとアルベリヒに連続斬撃を叩き込んで一瞬でアルベリヒ達の背後へと駆け抜けるとゾア=バロールはバラバラになり、アルベリヒの四肢は大量の血を噴出しながら斬られて地面に落ち、四肢を失った胴体ごと地面に落ちたアルベリヒは自身の状態が一瞬理解できなかったのか呆けた声を出した。
「アルベリヒ!?」
「これで決めるわ――――――桜花無双撃!!」
「しまっ――――――うあっ!?」
アルベリヒの惨状を目にしたゲオルグが驚いたその時サティアがゲオルグに詰め寄って棒による連携攻撃を叩き込み、サティアが放ったクラフトをまともに受けてしまったゲオルグは大ダメージを受けた後吹っ飛ばされて壁に叩きつけられ
「まさか……”相克”の為の”闘争”すらさせてもらえず……無力化されるなんてね………ハハ………これも”報い”……なんだろう……ね………」
壁に叩きつけられたゲオルグは寂しげな笑みを浮かべながら気絶し、地面に倒れた。
「予想はできていたけど、私達が戦闘するまでもなく、セリカさん達が一瞬で制圧してしまったわね……」
「ふふっ、まさに言葉通り”瞬殺”でしたね。」
「……?二人とも……まだ死んでいないから……”瞬殺”……じゃ……ない……」
一瞬で二人を無力化したセリカとサティアを目にしたエオリアは苦笑し、静かな笑みを浮かべて呟いたリタにナベリウスは首を傾げながら指摘した。
「おのれ、おのれ、おのれ……!何故こんな想定外だらけによる”黄昏”になったのだ!?こうなったのも本来の計画よりも2年も早く”巨イナル黄昏”を始める事を決めたドライケルスが原因だ!」
「内戦後メンフィルがエレボニアとの開戦を決断しなければ、やはりオズボーン宰相は”本来の歴史通りの2年後”に”黄昏”を始めるつもりだったようね。」
「そもそもの話、内戦の際にメンフィルに対する国際問題を起こした時点で既に彼らの計画は破綻していたと思うのですが。」
「ま、あんた達が敵に回した相手が悪過ぎた事を理解できなかったのが、あんた達の敗因やろうな。――――――セリカさん、手間をかけさせてしまった申し訳ありませんけど、アルベリヒの”浄化”も頼んでもいいですか?恐らくですがアルベリヒには聖痕を上乗せしたとしても、俺では浄化できへんでしょうから。」
首と胴体だけになったアルベリヒは表情を歪めて叫び、アルベリヒの叫びを聞いて真剣な表情で呟いたルフィナにリースは静かな表情で指摘し、アルベリヒを見つめて淡々と答えたケビンはセリカに視線を向けてある事を依頼し
「元よりそのつもりだ。――――――エクリア。」
「はい。――――――みんな、セリカ様に私達の力を!」
「ええ!」
「はい!」
「は~い!」
「うむ!」
「わかったわ!」
ケビンの頼みに頷いたセリカはエクリアに視線を向け、視線を向けられたエクリアはマリーニャ、シュリ、サリア、レシェンテ、エオリアに号令をかけてマリーニャ達にセリカへの祈りを捧げた。すると祈りによってセリカの魔剣にエクリア達の魔力が込められ始め、セリカが魔剣を構えると魔剣には聖なる霊力による炎が宿った。
「な、なんだ……その”焔”は……!?」
「そういえば貴様は先程、”真の神の力”等とほざいていたようだが……”俺にとってはそんな事はどうでもいい。”」
(フ……冥途の土産に見せてやれだの、セリカ!真の力とはどういうものかを!)
セリカの魔剣に宿る聖なる炎――――――”聖なる裁きの炎”を目にしたアルベリヒが本能的に危険を感じている中セリカは静かな表情で呟き、ハイシェラが不敵な笑みを浮かべてセリカを煽ったその時セリカは聖なる炎を宿した魔剣を振るって首と胴体だけになっているアルベリヒを縦方向に真っ二つに斬り
「俺と俺の大切な者達の未来を阻む者は例え神であろうと殺すのみだ。――――――”神殺し”であるこの俺がな。」
「ガ……ア……”神殺し”……だと………!?――――――グギャアアアアアアア………ッ!!??バカ……な………”私が消える”……嫌だ……嫌だぁぁぁぁぁ――――――ッ!」
聖なる炎が宿った魔剣で真っ二つに斬られていながらもアルベリヒの首と胴体は真っ二つに分かれなかったが”魂が真っ二つに斬られて浄化された事”で断末魔をあげながらこの世から消滅し
「あり……が……とう………」
更に片方の魂―――――アルベリヒが消滅するとようやく自らの意思を取り戻す事ができたアルベリヒの本来の肉体の持ち主――――――フランツ・ラインフォルトはセリカに対する感謝の言葉を述べた後僅かに安堵の表情を浮かべながら絶命した。
「………”黒”が魂ごと滅された事によって”彼”は最後の最後に正気を取り戻すことができたみたいね。」
「うん………天の門よ、彼の御魂の為にその門を開け………………そして彼の御魂に安息が訪れますように……………」
「…………お疲れ様でした、セリカさん。――――――って、サティアさん、一体何を……?」
静かな表情で呟いたルフィナの言葉に複雑そうな表情で頷いたリースはその場で祈り、リースが祈るとその場にいる多くの者達もその場で黙祷し、黙祷を終えたケビンはセリカに労いの言葉をかけた後アルベリヒの遺体に近づいてその場で祈りを捧げているサティアの行動が気になり、サティアに訊ねた。
「……せめて、”家族との最後の別れ”くらいはさせてあげたいのよ。――――――これでいいわ。」
ケビンの質問にサティアが祈りながら答えて祈りを終えるとフランツ・ラインフォルトの遺体の周囲に神々しい霊力が漂い始めた。
「あの神々しい霊力は……”神気”………ですが、一体何の為に――――――!」
「なるほど……”そういう事”ですか。」
「……これ以上私達がここに留まるのは”無粋”でしょうし、まだやる事は残っているのだから行きましょう。――――――ここの守護者を倒した事で転位魔法陣も解放されたみたいだから、ここに向かっている”彼ら”とも鉢合わせになる事もないでしょうからちょうどよかったわね。」
サティアの行動の意図を察したリースは目を見開き、ケビンは静かな表情で呟き、ルフィナは転位魔法陣に視線を向けながら先に進む事を促した。そしてセリカ達は転位魔法陣を使ってどこかへと去って行った。
~同時刻・右ゲート・最奥~
セリカ達がアルベリヒ達と対峙したその頃、屋外になっている左ゲート最奥地点の近くに離陸したメルカバの”玖号機”からロイド達とエステル達、そしてジェダル達が現れて最奥地点で待ち構えている”守護者”――――――”西風の旅団”の”猟兵王”ルトガー・クラウゼルと”破壊獣”レオニダス、そして”赤い星座”の”紅き戦鬼”シャーリィ・オルランドに近づいて対峙した。
「―――――ハハ、まさかお前さん達が先に到着するとはな。」
「”西風の旅団”の団長、”猟兵王”ルトガー・クラウゼル………」
「猟兵王のオッサンが待ち受けている時点で破壊獣は予想できていたが、やっぱりお前もいたか、シャーリィ。」
「アハハ、当たり前じゃん、ランディ兄。それとリーシャも”嵐の剣神”達に伝えた通り、ランディ兄達と一緒に来てくれたんだね~。」
「……別に私は貴女の希望に応えて来た訳ではありません。私の守りたい人々の為にここにいる――――――それだけです。」
ロイド達と対峙したルトガーは苦笑し、対するロイドは真剣な表情でルトガーを見つめ、目を細めて呟いたランディの言葉に対して無邪気に笑って答えた後親し気な様子で話しかけるシャーリィに対してリーシャは静かな表情で答えた。
「それにしても要塞内を攻略せず、飛行艇で直接俺達の元へと乗り込むとは……考えたな。」
「フフ、”某女神”曰く『ダンジョン攻略は最初にまともに攻略せず裏技やショートカットで攻略する事を考えた方がいい』との事だからね。某女神の信者として、その助言に従ったまでさ。」
「その”某女神の信者”であるワジさんが言うと”某女神”の意味もなくなるのですが。」
レオニダスの指摘に対して静かな笑みを浮かべて答えたワジの言葉にロイド達とエステル達がそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中ティオがジト目でワジに指摘した。
「―――――それで?”猟兵”の貴方達が何故、自分達の状況が劣勢と理解していながらもなお、この場にいるのですか?幾ら金で雇われているとはいえ、猟兵である貴方達が沈む船に乗り続けている事が理解できないのですが。」
「それに貴方達の雇い主がやろうとしている事――――――”相克”の果てに何があるのか、貴方達も理解しているはずなのに、何故……」
「勿論”相克”に敗れた”不死者”がどうなるのかも知っているんだよね?なのにどうして今も”工房”の言いなりになり続けているの?」
「ハハ、痛い所を突くねぇ。――――――ま、流儀じゃねぇのは確かだ。別に宰相やアルベリヒって野郎に賛同や義理立てしてついていってるわけでもねぇ。幾ら雇われているからと言って、”負けるのが確実”とわかっている連中に手を貸し続ければ、俺達も宰相達共々抹殺されるだろうしな?」
「だったらどうして……!」
フェミリンスやヨシュア、ミントの指摘に対して苦笑しながら同意して答えたルトガーの言葉を聞いたエステルが真剣な表情で話の続きを促したその時
「”猟兵だから”、だろうな。」
「先輩……?」
ランディが疲れた表情で呟き、ランディの言葉に仲間達がそれぞれ戸惑っている中ノエルは不思議そうな表情でランディに視線を向けた。
「クク、さすがにお前さんはわかっているようだな、ランドルフ。雇い主の主義や思想、戦況は俺達には関係ねぇ――――――良い意味でも、悪い意味でもな。たかが一山いくらの端金に命を懸けて、代理戦争すら”引き受けられちまう。”そうして血沸き肉踊る戦場を求め続けて”生”と”死”を味わいつくして渡り歩く――――――そういう生き方しかできねぇんだよ。――――――俺達猟兵って生き物はな。」
「……ッ!」
「ルトガー達は”猟兵という生き方以外の道を選ぶことができないんだね”………」
「……なるほど。俺達の世界の”傭兵”にもそういう考えの奴はいるだろうし、俺も自分の”死”は”戦場”だと考えている。」
「ジェダル……」
不敵な笑みを浮かべたルトガーの言葉を聞いたエリィは息を呑み、キーアは複雑そうな表情で呟き、静かな表情で同意したジェダルをリリカは心配そうな表情で見つめた。
「で、でも!幾ら”猟兵”だからと言って他にも生き方があるんじゃないんですか!?ランディ先輩やⅦ組の担当教官のサラさんもそうですし、何よりも貴方達が大切にしていた娘――――――フィーさんも猟兵以外の生き方をしているじゃないですか!」
「――――――だからこそ、俺達は団長の1度目の死を機に全員フィーから離れ、”紫電”に預けた。」
「それってどういう事~?」
「……まさかとは思いますが………」
「フィーさんを”猟兵のような生き方以外の選択肢を与える為に、フィーさんを自ら突き放したのですか”……」
ユウナの反論に対して答えたレオニダスの話の意味が理解できなかったシャマーラが首を傾げている中、察しがついたエリナは信じられない表情を浮かべ、セティは複雑そうな表情で推測を口にした。
「ハハ、つくづくサラ嬢ちゃんに預けてよかったと思っているぜ。」
「……オッサン………」
「アハハ、ホント”妖精”を溺愛し過ぎだよね~、”西風”の人達は。」
セティの推測を肯定している様子のルトガーの言葉を聞いたランディは複雑そうな表情を浮かべ、シャーリィは呑気そうな様子で笑っていた。
「―――――貴方達がどうあっても退くつもりがないのならば、乗り越えさせてもらうまでだ。――――――特務支援課として!」
「同じく遊撃士として!全力であんた達を叩き潰してあげるわ!」
「傭兵として依頼を遂行する為……そして俺自身の”約束”を守る為に敵は誰であろうと制圧する――――――それだけだ。」
決意の表情を浮かべたロイドは自身の得物であるトンファーをルトガー達に向け、ロイドに続くようにエステルも決意の表情で棒を、ジェダルは静かな表情で呟いて大剣を構えると仲間達もそれぞれの武装を構えた。
「クク、それでいい――――――それじゃあさっそく始めるか!」
「団長への忠誠の為、先に逝ったゼノの為にも俺の”全て”を出しつくして貴様らを葬る!」
「アハハ、本当の意味での”最終決戦”……”碧の大樹”でリーシャ達とやり合った時よりワクワクしてきたよ!」
ロイド達の様子を見て満足げな笑みを浮かべたルトガーが武装を構えるとルトガーに続くようにレオニダスとシャーリィもそれぞれの武装を構え
「「オオオオオオオォォォォ――――――ッ!!」」
「ハアアアアァァァァァ――――――ッ!!」
更に三人はそれぞれの戦場の叫び(ウォークライ)を発動して全身に凄まじい闘気を纏った。
「戦場の叫び(ウォークライ)……!」
「!いや、”ウォークライ(それ)だけじゃない”……!」
全身に凄まじい闘気を纏ったルトガー達を目にしたリーシャは警戒の表情で声を上げ、ルトガー達を目にして何かに気づいたヨシュアが真剣な表情で声を上げるとルトガー達の足元から漆黒の瘴気が現れた。
「あの禍々しい力は一体………」
「へぇ?どうやらこの要塞自身と連動して要塞の力も纏っているみたいだね。」
「ええっ!?元々強いのに、そこに2重の強化状態が付与されるなんて反則だよ~!」
ルトガー達の足元から現れた黒い瘴気を目にしたユリーシャが厳しい表情を浮かべている中ルトガー達と黒い瘴気の関係を察して興味ありげな表情で答えたフルーレティの分析を聞いたフィアは驚いた後疲れた表情で呟き
「ハハ、こっちはたった3人で見ての通りゼクトールは戦えない状態だからこのくらいのアドバンテージは当たり前だぜ?だから、そっちも戦力を出し渋る必要なんてないぜ。」
「貴方達相手に戦力を出し渋るつもりなんて最初からないさ。――――――頼む、ルファ姉、ギレゼル!」
「お願い――――――メヒーシャ!!」
「お願いします――――――ラグタス、ラテンニール!!」
「出番だぜ――――――エルンスト!!」
「来て――――――パズモ、永恒、テトリ、ニル!!」
ルトガーの言葉に対して疲れた表情で答えたロイドは自身が契約している異種族――――――力天使ルファディエルと悪魔ギレゼルを召喚し、ロイドに続くようにエリィ、ティオ、ランディ、エステルもそれぞれが契約している異種族達を召喚した。
「ロイド、幾らこちらの人数が圧倒的とはいえ、相手は”個の力”が圧倒的な最高クラスの猟兵達よ。”個の力”が圧倒的な彼らの連携を防ぐ為にも、今までの戦いのように三組に分かれての各個撃破を狙いなさい!」
「わかった!――――――エステル、猟兵王の対処をフェミリンスさんに頼んでもいいか!?」
「いいわよ!という訳でよろしく、フェミリンス!」
「――――――いいでしょう。」
「当然俺も猟兵王の対処をする。――――――それがヴァイスハイト皇帝との”契約”の一つだからな。リリカ、お前は俺の援護だ。フルーレティとユリーシャ、フィアは猟兵王の取り巻きの二人の対処をするエステル達に加勢しろ。」
「はい、援護は任せて下さい、ジェダル!」
「ふふっ、さっさと終わらせてそっちを手伝ってあげるね。」
「了解しました!ご武運を、我が主!」
「わかった!気を付けてね、ジェダル、リリカ!」
ルファディエルの助言を受けたロイドはエステルにある頼みをし、ロイドの頼みに頷いたエステルはフェミリンスに指示をし、エステルの指示にフェミリンスが頷くとジェダルがフェミリンスと共にルトガーの相手をすることを申し出た後リリカ達にそれぞれ指示を出し、リリカ達はその指示にそれぞれ頷いた。
「ロイド、俺もオッサンの対処をするから悪ぃがシャーリィ達の対処を任せてもいいか?」
「ランディ先輩!?一体どうして……」
「……もしかして”赤の戦鬼”の時のような”けじめ”をつける為かしら?」
更にランディがルトガーの対処をすることを申し出るとユウナは驚き、察しがついたエリィは静かな表情でランディに確認した。
「別にそんなんじゃねぇよ。……本来オッサンと決着すべきだった”妖精”と同じかつての猟兵かつ団長の子供として、せめて”妖精”の代わりにオッサンに引導を渡してやるだけだ。」
「ランディ先輩……」
「……わかった。だけど、無茶だけはするなよ!?」
ランディの話を聞いたノエルが複雑そうな表情を浮かべている中ロイドはランディの判断に同意した後忠告し
「ハッ、フェミリンスの姐さんやオッサン相手にタイマンで互角以上にやり合ったジェダルもいるんだから、無茶をするつもりは最初からねぇよ!――――――オオオオオオオォォォォッ!行くぜ、エルンスト!」
「あいよっ!”戦鬼”の次は”王”を喰らう死闘だなんて、さすがはあたいが見込んだ”契約者”だよ、ランディ!」
ロイドの忠告に対して苦笑しながら答えたランディは戦場の叫び(ウォークライ)を発動して全身に凄まじい闘気を纏った後エルンストに声をかけ、声をかけられたエルンストは不敵な笑みを浮かべた。そしてロイド達はそれぞれ二手に分かれてシャーリィとレオニダスとの戦闘を開始し
「クク……正真正銘最後の大勝負か。お前らが相手なら文句ねぇ――――――一花咲かせてもらうぜ!」
「受けてたつぜ、オッサン!」
「――――――行くぞ!」
ランディ達と対峙したルトガーは不敵な笑みを浮かべ、ルトガーの言葉に対してランディとジェダルはそれぞれ答えた後仲間達と共にルトガーとの最終決戦を開始した――――――!
後書き
という訳で予想できていたと思いますがアルベリヒ達黒の工房組はセリカとサティアによって戦闘が発生する前に瞬殺されてしまいましたww次回の戦闘は恐らくルトガー戦だけ書いて、シャーリィとレオニダス戦は省略すると思います(ぇ)なお、ルトガー戦のBGMは碧の”Inevitable Struggle”、グラセスタの”あの日の誓いを胸に秘め”、閃4の”七の相克 -EXCELLION KRIEG-”、黎2の”Buster the Ghost of Garden”のどれかだと思って下さい。
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