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仮面ライダー剣 悲しみが終わる場所

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第五章

「まさか君は」
「木場さん」
 そこに若い女と男がやって来た。
「もう逃げたみたいね」
「なっ、俺の言った通りだろうが」
 軽い調子の男が軽い笑みを浮かべて述べる。
「ちょっと芝居するだけでいいってな」
「そうだね、海堂」
 若者は彼の言葉に笑顔で頷いていた。
「結花もいい演技だったよ」
「有り難う、木場さん」
 長田はあらためて木場に礼を述べていた。
「ところでこの人は」
「うん、やっぱりわかる?」
「ええ」
 長田も剣崎を見て頷く。海堂も彼を見ていた。
「俺達と同じか」
「そうだね。けれど何かが違う」 
 木場はまた言った。
「君は。一体誰なんだい?俺は木場勇治っていうんだけれど」
「木場勇治か」
「俺は海堂直也な」
「私は長田結花です」
 二人もそれぞれ名乗った。にこりと笑って。
「俺は剣崎」
 剣崎は三人の名乗りを受けて自分も名乗った。
「剣崎一真。それで俺は」
「俺達はオルフェノクなんだ」
「オルフェノク」
「そうさ。人の姿を取っているけれどね」
 木場は剣崎に述べる。
「それで君も。だよね」
「ああ。俺はアンデッドだ」
「アンデッド」
「詳しい話は」
「ええと」
 木場はここで辺りを見回す。殺風景な道でどう見ても話をするのには向いてはいない。そこで彼は提案してきた。
「ここじゃ何だから。俺の家に来ないかい?」
「君の家に」
「うん。そこでゆっくりと話をしよう」
「いいのか?それで」
「構わないさ。じゃあ今から」
「ああ」
 こうして剣崎は木場の家に向かうことになった。海堂と長田もそれについて行く。木場がかつて暮らしていたあの家だ。彼はそこの居間で海堂や長田と共に剣崎と話をはじめた。ソファーに座って向かい合っていた。
 木場を真ん中において海堂と長田が左右に座っていた。剣崎は一人で彼等と向かい合う形になっていた。その形で四人はそれぞれのこれまでについて話をした。剣崎は三人の話を聞いてから呟いた。
「そうだったのか、君達もまた」
「うん、君もね」
 木場が彼の言葉に応える。
「長い戦いがあったんだね」
「けれど君達は生きているんだ。人間の中で」
「そうなるまでには苦労したよ」
 彼はそう返した。
「今言ったけれど」
「そうだよな。その王との戦いもオーガの話も」
「君もだね」
 木場は剣崎に言った。
「今まで一人で戦ってきたんだ」
「俺一人が全てを捨てて皆が救われるならいいと思ったから」
 剣崎は俯いて述べる。
「だから俺は」
「いや、それは間違っている」
 木場はそれをすぐに否定した。首を横に振る。
「君はそれでよかったかも知れない。けれど」
「他の奴等はどうなるんだよ」
 海堂が剣崎に顔を向けて言ってきた。
「御前はそれでいいだろ。けれど残された奴等はたまらないぜ」
「・・・・・・・・・」
 剣崎はその言葉に俯いた。何も言えなかった。
「違うか?どんだけ辛いか」
「そうですよね」
 長田は木場と海堂の話を聞いて考えながら述べた。
「剣崎さんは確かに凄いと思います。それでも残された人達は貴方がいなくなって何もできなかったことでどれだけ辛かったか」
「君は確かに皆を救った。けれど皆は君を救えなかった」
 木場がここでまた言ってきた。
「その時はそうするしかなかっただろうけれど。今は」
「俺は・・・・・・どうすればいいんだ?」
 剣崎は彼等の話の前にどうしていいかわからなかくなった。思い詰めた顔になっているのが自分でもわかる。だが今は前に木場達がいた。彼等はその剣崎の声を聞いて彼に対して言うのであった。
 
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