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神々の塔

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第二十話 蛇の神々その五

「その馬腹やが」
「どうしたんや?」
「いや、あの獣は赤ちゃんの声で鳴くな」
「人のな」
「あれが耳から離れんわ」
 こう言うのだった。
「どうもな」
「それな」
 羅がここで応えた。
「我が国の人食いの妖怪、こっちの世界で言う獣とかモンスターの特徴や」
「そやったな」
「あいつだけやない」
 馬腹に限らないというのだ。
「中国で人食いの獣やモンスターはな」
「赤ちゃんの声で鳴くな」
「山の中におる種類はな」
「あの馬原も本来は山の中におるしな」
「そや、それでや」 
「ああした声で鳴いて」
「何かって思うな」
 芥川に顔を向けて話した。
「そやな」
「山の中で赤ちゃんの泣き声なんて聞いたらな」
 芥川もそれはと応えた。
「それこそな」
「しかしや」
「それで気になって行ったら」
「ああしたのが出て来てな」
 人食いの妖怪がというのだ。
「それでや」
「襲い掛かって来るな」
「それで食い殺される」
「そやな」
「そやからな」
 羅はさらに話した。
「中国の山の中で赤ちゃんの泣き声聞いたらな」
「逃げた方がええな」
「そこからすぐにな」
「間違ってもそっちに行ったらあかんな」
「行ったら餌になるだけや」
「そんな山の中に赤ちゃんがおるか」
 施も中国人として話した。
「それはな」
「捨て子でもな」
「そうした獣やモンスターは山の深くにおるんや」
「捨てるにしてもそんなとこまで行かん」
「そや、山に捨てても」
 例えそうしてもというのだ。
「深い場所まではな」
「行かへんな」
「それでや」
 そうしたことを考えると、というのだ。
「山の中で赤ちゃんの泣き声なんてな」
「普通はないな」
「こっちの世界でもな」
「そやからやな」
「起きた世界の中国でな」
 この国でというのだ。
「山の中におってそんな声聞いたらな」
「逃げるんやな」
「すぐにな」
「わかったわ、やばい話もあるな」
「いや、日本でもおるやろ」
 リーがここで言ってきた。
「そんな話を聞いたことがある」
「あったか?そんな話」
 芥川はリーの言葉に眉を顰めさせて問うた。
「日本に」
「ああ、山の奥深くに進んでな」
「そうしたらか」
「ここから先行くなっていう小さな鳥居か神棚があって」
 そしてというのだ。
「それでもそこから先に行くとな」
「そうしたらか」
「そこにな」
「そうした妖怪がおるか」
「山の神らしいが」
 そう言われているがというのだ。 
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