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神々の塔

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第十九話 悪魔の正義その七

「そう呼べる位の悪党になるとな」
「ほんまの悪やな」
「自分の為だけにどんな汚いこともして」
「他人を利用して踏み躙るな」
「そんな奴こそな」
「ほんまの悪やろ」
「そやな」
 リーのその言葉に頷いて述べた。
「そう言われるとな」
「そや、悪とはな」
「そうした連中やな」
「悪魔は悪やない、ただな」
「ただ?」
「この世界ラグクラフトの邪神も存在してるが」
 リーは彼等の話もした。
「別にな」
「世界を滅ぼそうとはしてへんな」
「実は最初世界を滅ぼすのはあの神々やと思ってた」 
 ラグクラフトの神々だというのだ、この神話の邪悪な神々は本能的かつ原始的な悪意を持っていてそれに基づき動くのだ。
「あの作家の作品を読むとな」
「まさに悪意で以てな」
「世界を滅ぼそうとしてる」
「混沌として秩序のない」
「そうした思考と行動でな」
 知能は高い、だが秩序や文明とは全く無縁の存在であるのだ。
「ただひたすらや」
「暴れてな」
「そしてや」 
 そのうえでというのだ。
「破壊する」
「そうした神々やな」
「そやからな」
「この世界の危機をもたらす存在やとやな」
「考えていたが」
 リーとしてはだ。
「しかしこの世界でのラグクラフトの神々は」
「確かに邪神で悪意で動いてる」
 芥川が答えた。
「それは事実や」
「そやな」
「しかしな」
 それでいてとだ、芥川はリーに話した。
「この世界の中だけでな」
「そこで悪意に基づいて動いてるだけで」
「世界を滅ぼすつもりはない」
「むしろ混沌を司っていて」
 この世界に存在しているだ。
「そのうえで世界の崩壊を望んでない」
「自分達の司るもんを護る為に」
 混沌の中にあるものをというのだ。
「動いていてな」
「この塔にも来てる」
「そうやな、僕等はまだ戦ってへんが」
 芥川は真剣な顔で述べた。
「そうしてる」
「それを見るとな」
 まさにというのだ。
「ラグクラフトの神々もな」
「世界は滅ぼさん」
「危機に陥れる存在やない」
「間違いなくな」
「異質な神々や」
 リーは彼等をこうも表現した。
「キリスト教の悪魔には秩序がある」
「天界とは別のな」
「サタンを頂点としてな」
「多くの魔神達がおってな」
「それぞれ魔界を統治してる」
「魔界の法に基づいて」
 そして秩序を形成しているのだ、実はキリスト教の悪魔達は混沌とは正反対の存在であるのは失楽園でも書かれている。 
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