ハッピークローバー
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第七十九話 夏の終わりでその十
「お互いじゃない」
「それはそうだけれどこういうのってな」
「男の子があの」
「やっぱりリードするものだろ」
「一緒にやっていけばいいんじゃないの?」
かな恵は自分の考えで答えた。
「別に」
「そういう訳にはいかないんだよ」
鳴海はバツの悪そうな顔で答えた。
「やっぱりな」
「男の子だから?」
「男は女の子を護ってな」
そうしてというのだ。
「そうした時だってな」
「リードするものなの」
「そうだろ」
「よく漫画でない?」
かな恵はこだわりを見せる鳴海に何でもないといった声で言った、携帯の向こうなので鳴海にはわからないが顔もそうなっていた。
「教えてあげるって」
「ってどんな漫画だよ」
「鳴海っちも知ってるでしょ」
「ああ、そういう漫画かよ」
鳴海もここでわかった。
「確かにあるけれどな」
「そういうのでね」
「ねえよ」
これが返答だった。
「というか俺はかな恵だけだからな」
「浮気はしないから」
「誰に誘われてもな」
「しないのね」
「そうだよ」
「じゃあ私も知らないけれど」
「知らないのに教えてあげるってないだろ」
鳴海は即座に突っ込みを入れた。
「知らないのにな」
「そうだけれどね」
「けれどかながリードするのかよ」
「それかお互いにでね」
「いいっていうのかよ」
「そんな男だからとか言ったら」
かな恵は今度はこう言った。
「お前それでも男かとかね」
「そんなこと言う奴いるよな」
「学校の先生でね」
「公立だと関西本当にあれな先生多いっていうしな」
小学校から私立の学校に通っている彼等にはわからないことだ、私立も経営陣の思想によるが公立の学校では日教組という極左労働組合の影響で問題の多い教師が結構な割合で存在していて関西はどの府県も多いのだ。
「暴力振るってもクビにならなくてな」
「そんな暴言言うとかもね」
「あるっていうね」
「そんな先生と同じじゃない?」
「そうか?」
「そう思ったけれど」
「いや、俺は別に男女差別しないからな」
鳴海は眉を顰めさせてそこは断った。
「それはかなも知ってるだろ」
「幼馴染みで今は交際してるしね」
「だったらな」
「知ってるよ」
はっきりとした返事だった。
「私もね」
「だろ?男の人も女の人もな」
「一緒よね」
「身体の仕組みは違ってもな」
「同じ人間だからね」
「そんなこと言う奴が教師したら駄目だろ」
男女差別を行う様なというのだ。
「さっさとクビにしろよ」
「そんな先生はね」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「まともな先生をな」
「入れないとね」
「生徒が可哀想だろ」
「その先生の生活なんてね」
「屑教師なんて野垂れ死んだらいいだろ」
鳴海ははっきりと言い切った。
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