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秘術師の救済

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第二章

「そちらはあります」
「最大の問題は解決されていますか」
「ですが他にです」
「困ったことがですか」
「ありまして」
「それは何でしょうか」
「式を挙げる時に」
 結婚式、これをというのだ。
「実は催しを考えていたんですが」
「そうなのですか」
「それで友人にコメディアンがいまして」
 それでというのだ。
「彼に頼んでいたんですが」
「わかりました、その方がですね」
「今日彼から連絡がありまして」
「来られなくなったのですね」
「交通事故に遭って入院して」
「それは大変ですね」
「命に別状はなかったですが」
 それでもというのだ。
「入院しましたんで」
「式にはですか」
「出られなくなりました」
 そうなったといいうのだ。
「これが」
「それは大変ですね」
「催しをどうするか」
 難しい顔で言うのだった。
「困っています、このままでは」
「催しがない状況で、ですね」
「式を行うことになります」
「折角考えたのに」
「それがです」
 どうにもというのだ。
「残念で」
「一生に一度の式ですからね」
 ハーミットは述べた。
「特に貴方の場合は」
「はい、カトリックですから」
 店員はそれでと答えた。
「離婚はです」
「出来ない、出来ても」
「非常に難しいです」
「そうですね」
「それに彼女を心から愛していまして」
「お相手の方もですね」
「相思相愛です」
 まさにという返事だった。
「ですから一生添い遂げます」
「ですから式もまた」
「一生に一度です」
 まさにというのだ。
「そうしたものですから」
「催しもですね」
「妻も参列者の皆さんがです」
「喜んで頂ける様な」
「そうしたものを考えて」
「ご友人にもですね」
「来てもらう筈が」 
 それがというのだ。
「そうした事情になりまして」
「わかりました、ではです」
 ハーミットはここまで聞いて微笑んで述べた。
「及ばずながら」
「お力を貸して頂けますか」
「人を楽しませるのが秘術師です」
 店員に謙虚な笑顔で述べた。 
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