ドリトル先生と桜島
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第一幕その九
「大久保さんも黒田さんも松方さんもだから」
「それはどうしてかというと」
老馬は言いました。
「薩摩藩のそうした事情があったからだね」
「お米があまり採れなくて実際の石高は少なくてね」
チーチーは先生のお話をまとめてそのうえで言いました。
「おまけにお侍が多過ぎて俸禄が少なくて」
「しかも参勤交代の苦労もあるね」
「これ凄かったんだよね、江戸時代」
オシツオサレツはこちらのお話をしました。
「だったらお金がないのもね」
「当然だね」
「だからあまりよくない方法でお金を手に入れてもいたよ」
先生は皆に薩摩藩のこうした事情もお話しました。
「密貿易をしたりお砂糖を無理に作らせて売ったり」
「ううん、何か闇深いね」
「そうだね、薩摩藩って」
「密貿易とかして」
「お砂糖も無理になんて」
「そうだったんだ、それで薩摩藩は幕府によく思われていなくて」
この事情もお話するのでした。
「色々普請とかも言われてね」
「それでまたお金使って」
「余計に大変だったの」
「これまでお話したことに加えて」
「お殿様が贅沢もしたりしたしね」
問題はさらにありました。
「借金もしてね」
「密貿易とかでも足りなくて」
「それでもなんだ」
「普請もあって」
「お殿様の贅沢もあって」
「それが凄い額になってね」
借金がというのです。
「五百万両にもなったよ」
「五百万両っかなりだよね」
「江戸時代って千両で凄かったから」
「千両箱とかいうしね」
「それだとね」
「人間一人一年生きられるのに十両だよ」
先生はお話しました。
「そう言われていたよ」
「それで五百万って」
「とんでもないね」
「五十万の人が一年暮らせる位って」
「一つの藩の借金としてはね」
「とんでもなくてね」
それだけの額でというのです。
「証文焼いて二百五十年かけて返すって言ったんだ」
「その五百万両を?」
「二百五十年かけて」
「それで返すことにしたの」
「一年二万両ずつね」
先生は一年辺りの額のお話もしました。
「そうしたんだ」
「強引な踏み倒しだよね」
「どうにもね」
「そんなことまでしたんだね」
「薩摩藩って」
「その歴史はね、ただ西郷さんはね」
またこの人のお話をしました。
「凄い人だね」
「そうだよね」
「恰好いいよね」
「頭がよくて器も大きくて」
「そして人格者でね」
「ああした人がいてくれたからね」
先生は西郷さんのことは皆に笑顔でお話しました。
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