巨人は負けないと駄目

「わからないわよ」
「阪神はほぼないけれどね」
「助っ人投手位よね」
「巨人はそればかりだからね」
「お金積んでね」　
　巨人の十八番である。
「他のチームから選手を掠め取ることしかないのよね」
「そのことばかり考えてるよ」
「補強って言ってね」
　尚育成は全く考えていない、巨人のチーム編成は他チームの選手を強奪することで成り立っているのだ。
「それでよ」
「カープは集中的な被害に遭ってるね」
「だからね」　　
　兄に目を怒らせたまま語った。
「私としてはね」
「ああ、僕もだから」
「お兄ちゃんも嫌いよね、巨人」
「敵だからね」
　阪神ファンから見てだ。
「もうね」
「嫌いじゃない筈ないわね」
「この世で一番嫌いだよ」
　それこそというのだ。
「本当にね」
「私もよ」
　千佳も同意であった。
「本当にね」
「巨人がこの世で一番嫌いだね」
「何よりもね」
　千佳はさらに言った。
「嫌いよ」
「そうだね」
「嫌いも嫌いで」
　それでというのだ。
「心からね」
「最下位になって欲しいね」
「阪神に連敗したけれど」
「もっとだね」
「負けて負けて負けまくって」
　そうしてというのだ。
「最下位にね」
「なって欲しいね」
「巨人が弱いなら」
「そして最下位ならね」
「最高よ、だからね」
「これからもだね」
「負けて欲しいわ」
　こう兄に言った、そうして。
　またサラダを食べてだ、兄に言った。
「阪神だけじゃなくてね」
「カープもだね」
「もう巨人には全力で向かって」
　おぞましいまでの悪に満ちたこのチームにというのだ。
「そしてよ」
「成敗して」
「最下位に叩き落としてやるわ」
「期待してるよ、ただね」
　兄はここでこんなことを言った。
「僕達暫くは」
「その巨人と試合出来ないわね」
「交流戦はじまるから」
　それでというのだ。
「これからね」
「暫くはね」
「巨人と試合出来ないよ」
「パリーグとの試合が続くわね」
「それは巨人も同じだから」
　それ故にというのだ。
「ここはね」
「パリーグのチームに期待ね」
「うん、パリーグの六球団には頑張ってもらって」
　そうしてというのだ。