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Ⅹ世、勉強会に参加する。
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ようこそボンゴレⅩ世。実力至上主義の教室へ 作:コーラを愛する弁当屋さん
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書いていたら長くなったので、2話に分けます!
なので後でもう1話投稿します!
Ⅹ世、勉強会に参加する。
「……どこに行ったんだろうな」
「う〜ん。女の子が行きそうなお店は回ったもんね」
桔梗ちゃんを探してショッピングモールを歩き回ること10分。
女の子が行きそうな店は勿論、他のお店もあらかた行ってみたけど桔梗ちゃんは見つからなかった。
「……もうマンションに帰ったのかもな」
「そうかもね。ん〜、じゃあさ、部屋に付いてる内線電話で桔梗ちゃんに繋げてもらおうか?」
「その手があったか。よし、じゃあそうし……」
「あれ? 綾小路君とツナ君だ!」
捜索を諦めてマンションに帰ろうとしたら、後ろから声をかけられた。振り向いてみると、なんと桔梗ちゃんが立っていた。
……王さんとは別行動なのかな?
俺達はトイレの前を通り過ぎる所だったので、ちょうど出てきた所だったのかもしれない。
……でも、10分以上トイレに篭ってたのかな?
「あ、よかった。桔梗ちゃんを探してたんだよ」
「……私を?」
俺達は桔梗ちゃんに勉強会の事について話した。
「なるほど〜。それで私に、須藤君達が勉強会に参加してくれるようにお願いして欲しいって事かな?」
「そうなんだよ。もしよかったら、お願い出来ないかな?」
「うん! もちろんいいよっ♪」
「本当!? ありがとう〜桔梗ちゃん」
「……」
桔梗ちゃんは俺達のお願いをすんなりと受け入れてくれた。
しかし、なぜか綾小路君は桔梗ちゃんに再度確認を取った。
「……いいのか? 無理に頼むつもりはないぞ?」
「え? うん、いいよ? だって赤点取っただけで退学なんてひどいもん!」
桔梗ちゃんは怒っているのを表現したいのか、ほっぺに空気を入れて膨らませている。
「私はDクラスの誰も欠けて欲しくないし、それにお友達のお願いを聞くのは当然だもん♪」
「……そうか。じゃあよろしく頼む」
「まかせて♪ じゃあ早速、お願いしてみるね〜」
桔梗ちゃんは学生証端末を手慣れた手つきで操作し始める。どうやら須藤君達にメールを送ってくれているようだ。
—— しばらくして ——
ピコン。ピコン。ピコン。
メールを送ってから3分も立たない内に、桔梗ちゃんの学生証端末から3回通知音が鳴った。
「あ、返事きたみたい♪」
桔梗ちゃんは届いたメールを確認すると、届いたメールを俺達にも見せてくれた。
from池君
もっちろん! 参加しますとも! 参加するに決まってるじゃん!
from山内君
俺も参加するよ! 俺って勉強大好きな一面もあったりするし?
from須藤君
……おう。参加するわ。
(……須藤君、女の子には優しいんだなぁ。池君と山内君は予想通りな返信だけど)
「よしっ! 3人とも参加してくれるって♪」
「よかった〜。ありがとう桔梗ちゃん!」
「ううん! 当然の事をしたまでだよ♪ ……あ、ツナ君。私からもお願いしたい事があるんだけど、聞いてくれる?」
「お願い? うん、もちろんだよ!」
「よかったぁ♪ ……じゃあさ、私もこの勉強会に参加させてくれない?」
『え?』
桔梗ちゃんからのお願いは、少し意外なものだった。
「でも、桔梗ちゃんは平田君の勉強会に参加するんじゃないの?」
「ううん、私も断ってるよ?」
「え? そうなの?」
「うんっ! 平田君以外の男子達が、ツナ君は誘わないって話をしてたからね。私はそんなの嫌だもんっ!」
「……そんな話になってたの?」
「うんっ!」
「……」
悪気のない桔梗ちゃんからの言葉に心が抉られる。そんな俺の肩に綾小路君が手を置いてきた。
「……どんまいだ。沢田」
「……綾小路君、フォロー苦手なの?」
あんまり嬉しくないけど、フォローしてもらえた事で少し元気が出た気がする。
それにしても、本当俺って嫌われてるんだなぁ……
と、とにかく、今は桔梗ちゃんのお願いを聞いてあげる事が先決だな!
「今から聞いてみるよ。ちょっと待ってね?」
自分の学生証端末を取り出し、昼休みに手に入れたばかりの堀北さんの連絡先をタップする。
プルルル、プルルル。プ……「はい」。
3コール目で堀北さんが応答してくれた。
「あ、もしもし堀北さん? Dクラスの沢田です」
「あら、沢田君だったの。で、何の用件かしら?」
……すごく淡白な返答だなぁ。まぁいいんだけども。
「実はね、桔梗ち……櫛田さんのおかげで、3人共勉強会に参加してくれる事に
なったよ」
「あらそう。わかったわ。その報告の為の電話?」
「いや、もう一つ用件があるんだ。あのね、櫛田さんも勉強会に参加したいんだって。3人を呼ぶのを手伝ってくれた訳だし、呼んでもいいよね?」
「嫌よ」
プツン。……ツ〜、ツ〜。
短い返事の後、速攻で通話を切られてしまった。
「……」
「……ツナ君?」
通話を切られて呆然としていると、桔梗ちゃんが心配そうに話しかけてきた。
「あ、ごめん。なんか電波が悪かったみたい。かけ直すね?」
プルルル、プルルル。プ……「嫌」
プツン。……ツ〜、ツ〜。
「……」
今度は出た瞬間に拒否されて、またもすぐに切られてしまった。
「……綾小路君」
「……わかった」
バトンタッチで、今度は綾小路君から電話をかけてもらった。
プルルル、プルルル。プ……「はい」。
またも3コール目で堀北さんは応答してくれた。
「……もしもし、堀北か? Dクラスの綾小路だ」
「嫌」
プツン。……ツ〜、ツ〜。
「……」
「……」
今度は綾小路君が名乗っただけで断られてしまった……
「……どうする?」
「……一応メールでも頼んでみようか」
そう言って、メールを作成しようとした瞬間。ピコンというメールの受信音が、俺と綾小路君の学生証端末から聞こえてきた。
「……まさか?」
「……」
届いたメールを確認すると、やはり送信者は堀北さんだった。本文無しのメールで、件名の欄に『NO』とだけ書かれている。
「……まだ送ってないぞ」
「なんで分かったんだろ……」
今度は2人で茫然としていると、桔梗ちゃんが困ったような笑顔で話しかけてきた。
「あはは……ダメだった、みたいだねぇ」
「……ご、ごめん」
「……すまん」
「あ、ううん! 2人は気にしなくていいよ!」
俺達をフォローしてくれた桔梗ちゃんは、それから少し考え込む様子を見せた。
「ん〜。……よしっ! ねぇツナ君! 後の事、私に任せてくれないかなぁ?」
「え? どういう事?」
「私が自分でなんとかするよ! 勉強会に入れてもらえるようにねっ!」
「……お、俺はいいけど。いいの?」
「うんっ♪ 私に考えがあるから! ……あ、そうだ! 2人とはまだ連絡先を交換してなかったよね? せっかくだし、今交換しない?」
桔梗ちゃんは、学生証端末を俺達の前に差し出した。
「あ、うん、もちろん!」
「……俺も構わないぞ」
「うんっ♪ 気軽に連絡してねっ!」
そして、俺達は連絡先を交換しあった。よく考えれば綾小路君とも交換してなかったのでちょうどいいタイミングだったな。
「あれ? 桔梗ちゃん、その手どうしたの?」
「え?」
連絡先を交換した際に、桔梗ちゃんの右手が赤くなっていて、さらに少し傷が付いている事に気がついた。
「! ……あ〜これね? 実はさっき転んじゃったんだ〜。その時にこうなったんだと思う♪」
「そうなの? 一応、後で消毒はした方がいいよ」
「うんっ! ありがとうツナ君♪」
「……」
「……じゃあ、3日後の勉強会でもよろしくねっ♪」
「うん。本当にありがとう、桔梗ちゃん」
「……助かったよ、櫛田」
その後、俺達は一緒にマンションへと帰った。
よかった、これで無事に勉強会が開けるぞ!
……と、思っていた時期が俺にもありました。
—— 3日後の放課後、図書館 ——
「……無知無能つったか!」
「ええ。連立方程式も解けないで、これからどうやって生きていくのか。私だったら怖くてしょうがないわね」
最初こそおだやかに始まった勉強会……いや、そうでもないか。桔梗ちゃんが強引に勉強会に参加してきた事で、堀北さんの機嫌は最初から悪かったもんね。
しかし、桔梗ちゃんの作戦が、勉強会の場に無理やり入り込んで須藤君達からも桔梗ちゃんを参加させるように後押しさせるって事だったとは……正直驚きました。
すぐに怒る須藤君とクールに正論で煽る堀北さん。この2人は近づけたら危険な組み合わせだったかも。
「けっ! こんな問題解けなくてもな! 俺はバスケのプロになるから問題ねぇんだよ!」
「バスケのプロ? はっ、幼稚ね。そんな簡単にプロになれる世界だと思っているの? あなたみたいに物事を途中で投げ出してしまう人間に、プロになることなんて到底無理だと思うわよ?」
「っ! ふっざけんな!」
激昂した須藤君が堀北さんの胸ぐらを掴む。
「ちょっと! 須藤君、落ち着いてよ!」
「……ちっ!」
桔梗ちゃんに止められた須藤君は、大きく舌打ちをすると堀北さんから手を離した。
「わざわざ部活を休んで来たってのに、とんだ時間の無駄だったぜ! 俺は帰るからな!」
「……じゃあ俺も! 堀北さんは頭がいいんだろうけど、そんな上から来られると、ついて行けねぇよ」
「お〜れも!」
須藤君は、勉強道具を乱暴にカバンに詰め込んで立ち上がる。それに続き、池君と山内君までも勉強を辞めて立ち上がってしまった。
「……赤点で退学になってもかまわないなら、好きにするのね」
「へんっ! じゃあな!」
捨て台詞を吐き、須藤君達は図書館から出て行ってしまった……
しばらく俺達の間に沈黙が流れる。どうしようかと考えていると、桔梗ちゃんが堀北さんに話しかけた。
「……堀北さん。あんな感じじゃ、誰も一緒には勉強してくれないよ?」
「……確かに私は間違っていたわね」
あれ、後悔してるんだ? と、思ったけど、その後に堀北さんから出た言葉は全くの別物だった。
「不毛な事で、余計な事をしたと痛感したわ」
「? それってどういう意味?」
「足手まといは今の内に退学してもらった方がいい……という事よ」
「っ!」
堀北さんのその言葉に桔梗ちゃんの表情が暗くなる。
「そう……分かった。だったら私がどうにかする。して見せる! こんなに早く皆とお別れなんて嫌だし、見捨てたくないの!」
そう強気の表情で言った桔梗ちゃんに対し、堀北さんは冷たい視線を向ける。
「あなたが本気でそう言ってるのなら構わないけど……ねぇ。あなたの本当の目的は何?」
「え? ……なにそれ? どういう意味?」
「あなたは私の邪魔がしたくて、勉強会に参加したんじゃないの?」
「なんで? ……意味が分からないよ。堀北さんはなんで、なんでそんな風に敵を作る様な事を簡単に言えちゃうの? そんなの、私は悲しいよ……」
桔梗ちゃんは俯き加減に勉強道具をまとめ出し、そして立ち上がった。
「……じゃあ、3人共また明日ね?」
「……うん、また明日」
肩を落としながら図書館を去っていく桔梗ちゃんを見送ると、堀北さんは短いため息をついて勉強道具をまとめ出した。
「はぁ……勉強会は終わりね。ここに残る意味もないし、私も帰るわ」
「……あの、堀北さん」
「お疲れ様」
堀北さんに声をかけようとするも、堀北さんはそれを拒否するようにスタスタと図書館から出て行ってしまった。
「……」
「……」
残された俺と綾小路君。俺達はどちらからともなく、勉強道具の片付けを始めていた。
「……ごめんね綾小路君。せっかく手伝ってくれてたのに」
「……俺はいいよ。それより、須藤達の事はどうすんだ?」
「また明日、桔梗ちゃんに頼んで勉強会に参加しないか聞いてもらうよ。堀北さんとも話して、なんとか須藤君達と仲直りできるようにするつもり」
「そうか……また勉強会をする事になったら呼んでくれ、手伝うから」
「うん、ありがとう」
そう話して、俺達も図書館から出たのだった。
—— 1時間後、敷地内の道 ——
「はっ……はっ……」
今日も今日とて俺は、リボーン発案の『ツナ用肉体強化トレーニング』に励んでいる。しかし、今日はいつも違い、『小言丸』を服用して激スーパー死ぬ気モードに入った状態でトレーニングをしていた。
なぜ激スーパー死ぬ気モードでトレーニングをしているかというと、このトレーニングを教わった日、つまりリボーンによる最後の強制指導があった日に、リボーンから言われた事が理由だ。
—— 5月1日、夜 ——
トレーニングを終えて、マンションの自分の部屋に帰った後、リボーンがこんな話をしてきた。
「あ〜、きつかったぁ」
「おいツナ、今日やったトレーニングだが、時々は激スーパー死ぬ気モード状態でもやっておけよ」
「え? なんで?」
「激スーパー死ぬ気モードは、普通の超ハイパー死ぬ気モードの時と体の感覚がほぼ同じなんだ。だから超ハイパー死ぬ気モードで戦闘した時の感覚のままで動こうとすれば、リミッターが制限されている分、頭の中で思い浮かべた動きを体にトレースし続ければ、肉体の限界を超えて急に体を動かせなくなる可能性もあるからだ」
「……ふ〜ん。つまり、激スーパー死ぬ気モードの時の自分の活動限界をちゃんと把握しとけってことか?」
「そうだぞ」
—— 回想終わり ——
今日初めて激スーパー死ぬ気モード状態でトレーニングをしてみたが、確かに超ハイパー死ぬ気モード状態の時に比べると体の動きに微細な抵抗があるように感じる。
この違和感に気づかずに戦闘したら、それが致命的な隙になることもあり得る。気をつけないとダメだな。
敷地内一周のロードワークが終わり、筋トレに移ろうと広めの空き地に行こうとしたその時。
通っていた道の小脇にあるスペースから聞いた事のある声が聞こえてきた。
「本当にこの学校に来るとはな。……鈴音」
「……兄さん」
声のした方に顔を向けると、そこには堀北とマンションの同じ階に住んでいる生徒会長が立っていた。
(兄さん? 堀北は生徒会長の妹なのか?)
特に聞くつもりはなかったが、なぜかこの2人の会話を聞かなくてはいけない様な気がして、立ち止まって聞き耳を立てる事にした。
「わ、私は……もう昔みたいなダメな妹ではありません。兄さんに追いつこうと努力して、追いつく為にこの学校に来ました」
「ふん、その割に、配属されたのはDクラスではないか?」
「っ、すぐに、すぐにAクラスに上がってみせます! 私1人の力で!」
「……お前には無理だ。今だに己の弱点に気付いていないではないか。鈴音。お前の兄として、すぐに退学する事を勧めるぞ」
「! 無理ではありません! 必ずAクラスに上がりますから!」
「はぁ……聞き分けのない妹だ」
生徒会長はため息を吐くと、堀北の腕を掴んでひっぱり、建物の外壁に叩きつけた。
「くっ!……」
「……鈴音。お前には上を目指す力も、その資格もない。それを知れ……」
「っ!」
その時、生徒会長が拳を作り、堀北の腹に打ち込む素振りを見せる。
(あの型は空手か? とにかく、あれを打ち込ませるとまずい!)
俺は全速力で2人の元に走り、打ち込む寸前で生徒会長の腕を掴んで後ろ手に引っ張った。
「! お前は……沢田だったか?」
「! 沢田くん!?」
「やめろ生徒会長。話が聞こえてきたが、そいつは妹なんだろう? 堀北をすぐに離せ」
俺がそう言って生徒会長を抑えようとすると、堀北が今まで聞いた事がないほど弱々しい声で俺を止めてきた。
「やめて沢田君。私は、大丈夫だから。……兄さんを離して」
あまりに普段と違う様子だったので、俺は掴んでいた生徒会長の腕を離した。
「……ふんっ!」
「っ!」
俺が腕を離した途端、生徒会長は掴まれていた方の腕で裏拳を俺の顔面に向けて打ってきた。俺がそれを躱すと、今度は蹴りを顔面に向けて放って来る。
「ふんっ」
「!」
俺は生徒会長の蹴りを片手で受け止めて力の方向を下に逃した。
攻撃を二回も躱された生徒会長は、なぜか嬉しそうに笑った。
「中々いい動きだな。何か習っていたのか?」
「……中学が荒れてる学校だったんだ。おかげで攻撃を避けるのが得意になった」
「そうか……ならこれはどうだ?」
「!」
生徒会長は拳と蹴りの素早い連続攻撃を放ってきた。一つ一つを上手く躱しつつ、どうしようか考えていると、10回目の裏拳が腹に向けて繰り出された。
(対処出来ないレベルじゃない。雲雀の方が強そうだな)
俺が裏拳を躱す為に足を動かそうとした、その時。
「……!(足が!)」
「! ……」
急に足が硬直して、上手く動かせなくなってしまった。
頭の中でリボーンの言った事がリピートされる。
『肉体の限界を超えて、急に体を動かせなくなる可能性もあるからだ』
(くっ! トレーニングと連続攻撃を受けるのに体を酷使していたのか? このままでは腹に裏拳が決まってしまう!)
なんとか腕でガード出来ないかと試みるも、裏拳のスピードが早くてガードが追いつかない。
(これは、もう避けられないか)
生徒会長の裏拳を喰らうのを覚悟した、その時。何者かの手が生徒会長の裏拳を受け止めてしまった。
「! 綾小路君!?」
「! 綾小路……」
「……ほう?」
堀北が言った通り、生徒会長の裏拳を受け止めたのは綾小路だった。
「……俺の攻撃を受け止められる奴が、Dクラスに2人もいるとはな。……綾小路、と言ったか?」
「……そうだけど?」
綾小路が生徒会長の腕を離すと、生徒会長はメガネの位置を直し、話を続けた。
「綾小路……その名前の生徒の事は聞いている。入学試験で全教科50点を取ったそうだな。そしてこの前の小テストでも50点。100点満点中の50点……狙って揃えているのか?」
「なっ……」
「全教科、50点?」
俺と堀北は驚いて綾小路の顔を見る。しかし、綾小路はいつもの真顔を崩さない。
「……偶然って怖いですね」
「ふん。中々ユニークな男達だな。……鈴音」
「っ! はい……」
生徒会長は綾小路から堀北に目線を移した。堀北は緊張した声で答える。
「お前に友達がいたとはな。正直驚いた」
「! 彼らは……友達ではありません。ただの……クラスメイトです」
「ふん。相変わらず、孤高と孤独の意味を履き違えているようだな」
そう言うと、生徒会長はひらりと身を翻して俺達に背中を向けた。。
「鈴音。上に上がりたければ、死にものぐるいであがけ」
そう言い残し、生徒会長は小脇のスペースから出て行こうする……が、途中で立ち止まり、俺の立っている方へ向き直った。
「……沢田。今度また手合わせすることがあればその時は……肉体の状態を万全にしておいてもらおう」
「!」
「ふんっ、相手のコンディション不備で勝ったとしても、なんの意味もないからな」
言いたい事を言い終えたのか、生徒会長は今度こそ去って行った。
(……俺が動けなくなっていた事に、気づいていたのか)
堀北を助けられた事で安堵したのか、ここで激スーパー死ぬ気モード状態が解けてしまった……
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