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ハッピークローバー

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第七十九話 夏の終わりでその五

 かな恵にだ、こう言ったのだった。
「明日の夜でもさ」
「夜なの」
「どっちかの家行ってさ」
 こうかな恵に言うのだった。
「飲まないか?」
「お酒?」
「お酒でもジュースでも飲んで」
 そしてというのだ。
「スナック菓子だのカップ麺だの食ってな」
「お喋りするの」
「そうしないか?最近そういうのしてなかったし」
「そうね」 
 かな恵は鳴海の話を聞いて言った。
「それじゃあね」
「明日の夜でもな」
「アルバイトとか部活終わって」
「そしてな」
 その後でというのだ。
「やろうな」
「それじゃあね」
「ああ、明日の夜な」
「どっちのお部屋でしようかしら」
「かな恵の部屋でいいか?」
 鳴海はまた自分から言った。
「それでいいか?」
「私のお部屋なの」
「あれだよ」 
 少し気まずそうになってだ、鳴海は話した。
「音の部屋に入るなんてな」
「何があるかわからない?」
「自分から行ったとか思われるだろ」
「誰か見たら」
「そう思うだろ」
「だからなの」
「ああ、かな恵の部屋でな」
「けれどそれだと一緒でしょ」
 かな恵はそれならと返した。
「私のお部屋に行ってもね」
「そう思われるか?」
「思われるでしょ」
 普通にという返事だった。
「やっぱりね」
「そう思われるか」
「鳴海っちも鳴海っちでね」
「女の子の部屋に行ってか」
「二人で何してたかって」
「思われるか」
「それで言われるよ」
 見られればというのだ。
「その時はね」
「俺はいいよ」
 これが鳴海の返事だった。
「別にさ」
「言われても」
「ああ、変なことしてないってな」
 強い声で言うのだった。
「はっきりとな」
「言えるからなの」
「そんなのするかよ」
 ここでも強い声で言った。
「そんなのまだ早いからな」
「私達高校生だから」
「そんなの二十歳からでいいだろ」
 鳴海はここでは自分がそう決めていることから言い切った。
「それからでもな」
「鳴海っちってそうしたところ真面目よね」
「酒はいいんだよ」
 こちらはというのだ。
「八条学園のある八条町の条例でな」
「いいし」
「この団地でもな」
「基本そのルールだしね」
「いいんだよ、ただ煙草とな」
「そうしたことはよね」
「二十歳からだよ、俺煙草は二十歳過ぎても吸わないけどな」 
 また自分の考えを述べた。
「身体に悪いしな」
「私も吸わないわよ、身体に悪いし」
「そうだよな、兎に角な」
「そうしたことはよね」
「二十歳からでな」 
 その年齢になってからのことでというのだ。 
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