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姥か火

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第二章

「まあ一応は」
「一応よね」
「定説ではです」
「死んでるわね」
「そうなんですよね、まあ本当にです」
 楓はグレースと共に夜の大阪城公園を一緒に歩きつつ話した、木々が左右にあり右手に堀と石垣が見える。
「このお城はです」
「戦いがあった場所で」
「大勢の人が死んでいることは事実ですね」
「だから大阪でもね」
「そうしたものが出るとなると」
 それならというのだ。
「もうです」
「一番出そうね」
「そうした場所ですね」
「そうよね」
「それで何が出るんですかね」
 楓はあらためて言った。
「一体」
「出るって聞いただけでね」
 グレースは楓の言葉に彼女の左から返した、見ればグレースはグレーのズボンに白いティーシャツというラフな格好で楓はピンクのブラウスに黒いひらひらとしたミニスカートでファッションは正反対である。
「何が出るかまでは」
「お聞きになってないですか」
「幽霊か妖怪かもね」
 その違いもというのだ。
「聞いていないわ」
「そうですか」
「だから今からね」
「幽霊化妖怪かもですね」
「見ましょう」
「実際に出るなら」
「そうしましょう」
 こう楓に言うのだった。
「一緒にね」
「まあ別に落ち武者の幽霊が襲い掛かってとかないですね」
「大坂でそんなの出たら大騒ぎでしょ」
 グレースは真顔で言った。
「それこそ」
「やっぱりそうなりますね」
「日本って落ち武者の幽霊も出るわね」
「そうしたところもありますね」
 楓も否定しなかった。
「首がないとか」
「そうしたお話どの国にもあるわね」
「それで日本にもです」
「そうした幽霊も出るわね」
「はい、ただ大阪で出たら」
 自分達が今住んで働いている日本第二の街ではというのだ。
「本当にです」
「大騒ぎね」
「そうなりますね」
 絶対にというのだ。
「やっぱり」
「そうよね」
「だから落ち武者はないと思います」
「襲い掛かる様な」
「そんなのじゃなくて」
 それでというのだ。
「まあ平和な」
「八条学園に出て来るみたいな」
「そんな幽霊か妖怪でしょうか」
「そうね、それじゃあね」
「今から確かめましょう」
「まず出るかどうかね」
 こんな話をしてだった。
 二人で大阪城の正門の方に歩いていった、すると。
 正門に行く道の右手の堀の上に青白い火があった、その火はぼうっと漂い左右にふらふらと動いていた。 
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