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清掃業は大事に

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第一章

                清掃業は大事に
 八条ホビー神戸本社で働いている小倉愛花色黒で大きなはっきりした目とノルウェー人の母の血を受け付いた銀髪を長く伸ばした一七〇近い長身で見事なスタイルの彼女は高校からの同級生でクラスメイトだったこともあり大学も同じだった坂本一雄に社内でばったり出会って言った。
「あら、奇遇ね」
「そうだな、久し振りだな」
 坂本は笑顔で応えた、彼は作業服姿で手にはモップがある。
「元気そうだな」
「この通りね、しかしあんた八条清掃に就職したのは聞いてたけど」
「今度はこっちに転勤になったんだよ」
 坂本は笑って答えた、一七七位の背でがっしりした体格で優しい顔立ちで四角い顔である。表情も穏やかだ。
「だからな」
「これから宜しくね」
「こちらこそな」
 二人で笑顔で話した、そして。
 二人は会うと挨拶をする様になって、この日二人はたまたま昼食の店が同じでカウンターで隣同士になってうどんを食べたが。
 ここでだ、坂本は愛花に尋ねた。
「俺清掃業だけれどな」
「それがどうしたのよ」
 愛花はきつねうどんを食べつつ尋ねた。
「一体」
「いや、結構汚いってな」
 清掃業はとだ、坂本は鴨なんばうどんを食べつつ話した。
「言われるからな」
「汚いってお掃除しないと汚くなるでしょ」 
 愛花はこう返した。
「汚いって言っても」
「そうだけれどな」
「お掃除すると汚れるからよね」
「わかってるな、それでな」
「そう言う人いるのね」
「そうだからな」
「汚れたらお洗濯してお風呂に入ればいいでしょ」
 愛花の返事はこうだった。
「奇麗にすればね」
「それで終わりか」
「そうよ、だからね」
 それでというのだ。
「何でもないわよ」
「そうか」
「というか高校まで毎日自分達でお掃除してたでしょ」
 愛花は今度は学生時代の話をした。
「それならね」
「何でもないか」
「そうよ」
 こう言うのだった。
「汚いとか言って差別する方がおかしいわよ」
「小倉っちはそう考えてるか」
「昔からね、というか坂本ちゃんね」
 愛花は自分の横にいる坂本に尋ねた。
「何で八条清掃入ったのよ」
「残業なくて給料もいいからな」
 それでとだ、坂本は答えた。
「だからな」
「それじゃあいい職場じゃない」
「実際ホワイトだよ」
「だったらいいじゃない、本当に汚いっていうのは」 
 それはというと。
「ヤクザ屋さんとか巨人でしょ」
「巨人昨日すげえ負け方したな」
「三十三対零でね」
「カープにボロ負けしたな」
「十二連敗でね」 
 そこまで負けてというのだ。
「いい負け方したわね」
「今年も最下位だな、巨人」
「絶対にね、それで巨人のしてきたことが」
「本当に汚いか」
「あんな汚いチームないから」 
 読売ジャイアンツの邪悪に満ちた不潔と言っていい歴史を見ればというのだ、戦後日本のモラルの崩壊を署長する様な。 
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