昔はとんでもない大女だった

　　　　　　　　　　　　　　　　昔はとんでもない大女だった
　神戸に本社がある八条ツーリストのその本社で働いている中原真希子は一七〇ある、黒髪をストレートで伸ばしていてやや面長の顔できりっとした切れ長の大きな目と大き目の赤い唇を持っていて脚は長くスタイルは程よい感じだ、その彼女には一つの悩みがあった。
「昔からいつもでかいでかいって言われるのよね」
「それ俺に言うか？」
　交際相手で大学時代からの付き合いである寺の跡継ぎの山田弘樹が応えた、見れば背は一九〇あり手足は真希子以上に長い。面長の顔で強い光を放つ小さな目と引き締まった唇に真ん中で分けた黒髪を持っている。
「俺一九〇あるぞ」
「それでプロレスラーかとか言われてきたのよね」
「別に一七〇でもな」
　真希子のその背の話をした。
「いいだろ」
「女の人では大きいでしょ」
「それでも巨人とか言われないだろ」
「そこまではね」
「そうだろ、じゃあいいだろ」
「あんたのことを考えたら」
「ああ、俺なんか頭ぶつけること多いからな」
　日常生活でというのだ。
「ここまで大きいとな」
「そのことを考えたら」
「一七〇位だといいさ」
「女の人で大きくても」
「そうだよ」
　こう真紀子に言い真紀子もそんなものかと思った、そんな中でガイドの仕事で京都に行くことになり。
　新選組関係の場所を巡ることになるので仕事前に新選組のことを調べていると。
「土方歳三さんは一七五で当時滅茶苦茶大きかったんですね」
「そうね、芹沢鴨さんも一七三でね」
　先輩は職場の中で共に勉強する真紀子に話した。
「当時はかなりね」
「大きかったんですね」
「ほら、鬼滅とかるろうにとか読んでたら」
　先輩はこうした漫画の話もした。
「鬼滅は大正でも昔で」
「今とは体格が違いますか」
「昔と今じゃ食べてるものが違ったりするから」
　即ち栄養摂取が違うからだというのだ。
「それでね」
「体格も違いますか」
「昔の日本人は小さかったのよ」　
　今よりもというのだ。
「伊東博文さんだって一五五とか一五七位よ」
「私よりずっと小さいじゃないですか」
　真紀子は自分のことからこう返した。
「というか今じゃ女の子位ですね」
「普通か少し小さい位ね」
「それ位ですね、私幕末に行ったら」
　しみじみとした顔になってだ、真紀子は言った。その前にはパソコンがありそれで新選組のことを検索して学んでいるのだ。隣の席の先輩もそうしている。