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バイオハザードRTA Ver.9.1 DLC第1弾追加新B.O.W.ルート『トロフィー:最高の失敗作』ルート

作者:ASHTAROTH
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おまけ1

 
前書き
(初めての)1人称視点なので初投稿です 

 
--誰が生んでくれと懇願した、誰が自分を作ってくれと頼んだ?
俺は人形でも兵器でもない、俺は、俺は・・・--

生まれた時から自分が普通ではないという自覚はなんとなくあった。異常に成長の速い体、常人とはかけ外れた大きな鉤爪を持つ腕、そして試験管の中での記憶。自分が兵器だと、結論付けて割り切れればどれだけ楽だったか、それならいっその事知能と自我が無ければよかったのに‥‥。

つまるところ俺が生まれた理由はただ一つ、命ある敵を殺すためだ。

"冗談じゃない"

それが自分の嘘偽りない回答だ、さすがに表立って口に出したことはないが…。
言語学習のために与えられた本の数々を、今日も今日とて読み耽りながら、無駄だとわかっていても、ふと思ってしまう。本を読むのは好きだ、少なくともこの間だけは自分が兵器であることを忘れられる…。そう考えながら今日も今日とて最小限に短くした鉤爪で用心深く、本のページを破らない様にめくっていく。知識を得て発見し感動することはいいことだと思う。少なくとも今まで生きてきた中でこれ程心躍ることはなかった(そもそも娯楽が読書しかないこともあるが)し、自分の不格好で壊すことしかできない手にいらだつこともない。
自分という存在は、人間社会へ擬態し溶け込んで任務を遂行する兵器であることを想定して生み出されたことは理解している。つまるところは暗殺や破壊工作、情報収集を命じられるという事だ。
・・・最もその目論見も俺のこの両手の所為でご破算となったようだが。どうも研究者の会話などを盗み聞いた所、元々は俺の手は人間とそんなに変わらない大きさで、多少鋭い爪が生えている程度のもので、それを生かして暗殺や情報収集を行わせるつもりだったらしい。最も腕や見てくれがこんなではどう見ても人には見えないので奴らの計画はご破算になってしまったのが数少ない救いだ。
とはいえ連中にとっては失敗作もいいところであるのは理解しているので、その内処分されるのだろうと半ば達観していたがいつまでたっても処分されなかった。
どうも盗み聞きした分には、自分は同じくT-ウイルスを投与したB.O.W.であるタイラントと違い、知能や俊敏性では自分の方が優れているから処分に悩んでいるようだ。まぁ最も量産化に関してはDNAサンプルの少なさや俺という前例から二の足を踏んでいるらしい。とりあえず今の所は連中の言う通りに、活性死者やB.O.W.を"壊した"りしながら毎日を言われるがままに過ごしていた。とはいえ不満もある。特に一番大きいものは自分のこの忌々しい両腕だ。無駄に大きく物を切り裂くことしかできない上に、満足に物もつかめないろくでもない人間離れした腕。この醜くく大きな腕は銃はおろか筆記用具や本ですら満足につかむことができないろくでもない腕だ。まるでお前は人間ではない、怪物だ、兵器として生きるしか道がないのだと言わんばかりで気にくわない。確かに俺は普通とはかけ離れた出自の怪物かもしれないが兵器じゃない。それだけは胸を張って声を大にして言いたい…。

9月28日から29日へ日付が移り替わろうとする深夜、無気力で無彩な生活に突然変化が訪れた。普段の静寂な様子と違い外が非常に騒がしい。扉にある格子の隙間から外の様子を伺うと研究員や武装した警備員が慌ただしく走り回っており、不気味な咀嚼音や銃声がそこかしこから聞こえてくる。銃声がすぐそばで鳴り響く。咄嗟にドアから離れて腕で自分の体をかばいながら様子をうかがっていると、扉が開かれ中に白衣を着た研究者が入ってきた。
眼鏡を光らせながらこちらに拳銃を突きつけながら

「お前の体内にある爆弾を起爆させられたく無かったら、俺を無事にこの研究所から出せ!!」

といってきた。最もそいつは俺が後ろから(すぐにこの腕で切り裂きたいのを我慢して)しばらくついて行くと、ゾンビ犬に押し倒された挙句に喉笛を嚙み切られて死んだが。
研究員が死んだのを確認してから手に持っていた拳銃を(自分にしては珍しく)素早く回収してからスイッチをゾンビ犬ごと切り裂いて、周囲を確認する。とはいえ何が起きたかについては大体予想がつく。バイオハザードの発生、それしかないだろう。このゾンビ犬を見る限りその特徴から前に本で読んだ-己の誕生にも関わっている-T-ウイルスの予期せぬ流出が原因だろう。何とも大変そうだが自分にはそれよりも大事な事があった。

「爆弾、カ…」

あの男の言い分が正しければ自分の体内には爆弾が埋め込まれているという事になる。兵器の制御やネメシスの様な万が一の事態になってはならないという考えだろう。
まぁ考えは理解できないでもないが、不愉快であることに変わりはないのでまずはこの爆弾を取り除くことを当座の目標にすることにした。とりあえず死体をあさって拳銃のマガジンとカードキーを手に入れ…手に………。
苦戦すること数十秒、研究者の白衣を切り裂きカードケースをボロボロにして爪をできる限り短くしてから何とか手に入れた。‥‥これはなくさない様に今着ている服のポケットに入れておくことにした。

それから施設内を適当にふらつきながら、さまよう活性死者をよけたりはたき飛ばしたりしながら駆け回る事数十分。
それらしい部屋を見つけたが、その部屋の赤い扉の前には目新しい相手がいた。そいつらは辛うじて人型ではあったが全身を発達した筋肉と鱗に覆った、自身と同じ巨大な両腕に生えた鉤爪が特徴的な姿が自らを人間ではないと無言のまま高らかに宣言していた。ハンターα、自分と同じくT-ウイルスを用いて生み出された兵器だ。自分と比べれば自我もなく知能も大したものではないだけいっその事羨ましい感じるが、2体揃って自分の姿を認めると同時にこちらに敵意むき出しで向かってきたのはまったくもっていただけない。

「邪魔!」


そのまま一気に駆け抜けてから2体のハンターαの頭部を掴み天井に目いっぱい叩き付けてから、落下するところ目掛けて爪を伸ばして頭目掛けて唐竹割りの容量で振り落とす。

「コレデ終ワリダ・・・」

案外あっけなく終わった。皮肉な事に研究者の言う通りに自分は失敗作ではあるがそれなりの性能はあったようだ。その後にハンターが扉の前にいた部屋に入る為にカードキーをポケットから取り出し‥‥取り‥‥。取ろうとしたが鉤爪が引っ掛かり服の生地が破れカードキーが床に落ちる、それをとろうとするがその都度爪に当たって別の方向に滑ってしまうためになかなか取れない。イラつきつつも苦心しながらなんとかつかみ取ってロックを解除する。幸か不幸かこの部屋は自分を含めたBOW専用のデータや装備に関してはここに保管していたようで、ちょうど自分にピッタリな武装だけでなく自分を含めたいくつかの生物兵器に関するデータが纏められていた。

ラインマー・マントイフェル、これが自分のオリジナルとなった人物の様だ。資料によると彼は元々アンブレラの系列会社であるドイツの製薬会社で中間管理職を務めていたのだが、社内での健康診断と偽ったT-ウイルス適性検査に引っ掛かった結果拉致されてしまい、途中で身の危険に勘づいて脱出を図ったが、その際に護衛の傭兵とのもみ合いになり、それが原因で引き起こされた交通事故により死亡。そして完全適合者であることを知ったアンブレラの人間が慌ててDNAサンプルを採取し、鮮度の観点から最優先で実験・製造対象となったのが自分であるようだ。
彼に関しては完全にアンブレラの野望に振り回された挙句に死んでしまうという哀れな末路をたどった人物だが、最後の最後で生き残るために力を振り絞ったのはすごい事だと思う。
最も自分には彼がなぜ死の間際にそれほど力を振るおうとしたのかわからないし、理解もできないが‥‥。所詮自分は兵器でしかないという事だろう。

少なからず気落ちしたが自身の目的である爆薬の除去方法や除去に必要な薬品2種の存在。明確な目標を立てることができたので少しばかり気分が軽くなった。
その後にもう見落としは無い事を確認してから部屋を出ると‥‥耳が無意識に何か"音"を聞き取った。普通の人間と比べると強力な聴覚はその"音"がリズム感や音程から歌であることを判別した。こんな状況下で聞こえる歌声など怪しさ満々だが少しばかり興味がわいたので、足先を向けてみることにした。仮にカセットテープから聞こえているのだとしたら暇つぶしの道具くらいにはなるだろう。そう考えながら歩くことしばらくして、目の前に『ロッカールーム』との記述がされた部屋が見えた。そこでふと自分の体に視線を落とす。
そこには下着の上にコートをまとっただけの自分の体だった。

(さすがにこれはまずい気がする・・・)

さっきから肌寒いし、何より自分の知る限りの常識ではこういった服装の者を変態と呼ぶのが世間であるという認識だ。そうと考えれば、話は早い。
ロッカールームに入ると、適当に空いているロッカーを探していく。どれも鍵がかかっていたが、運よく鍵のかかったままのロッカーを見つけたので、開けて中にあった服を着ることにする。服はそれぞれ色合いのダサい色合いのTシャツと灰色のカーゴパンツ、トレッキングブーツが入っており、鉤爪で袖口の辺りを少しばかり切り裂いたりしながらなんとか時間をかけて着用する。

服を着終わってから再度歌声の方向を目指して、活性死者やミュータントをよけながら進み続ける事数分、牢屋の様な部屋が並ぶ収容区画にたどり着いた。ここは確か、先程見た書類にアンブレラが世界中から拉致した人間の中で、この研究所に割り当てられた人間が実験の為に連れ出されるまでに収容されていたはずだ。その中の一つの歌声が聞こえてくる牢屋の扉の前までくるとポケットの中からカードキーを取り出そうと・・・取り出す・・・なかなか爪がポケットの中に入らず、なんとか苦戦し、苛立ちながらも二本だけ入れて取り出すことができたので扉を開けた。
中には短めの茶色のカーリーヘアに猫顔の少女がいた。彼女は俺が部屋に入り込んでもしばらく歌っており、歌い終わってからこちらに気づくと

「ありがとね、最後まで聞いてくれて」

と言い、軽く一礼した。とりあえず猫っぽかったので俺は彼女の顎の下を鉤爪の甲で軽くなでた。 
 

 
後書き
一応キリのいいとこまで書きました。最後に関してはとりあえずノリでです()
感想・評価よろしければお待ちしてます。 
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