イベリス

「お父さんの実家はね」
「ははは、毎年そうだな」
「こちらは焼肉だね」
「それぞれ違うな」
「そうよね」
「お寿司も焼肉もいいわよね」
　咲は笑って言った。
「じゃあ今日はね」
「ああ、法事の後はな」
「お寿司ね」
「それにお酒もな」
　こちらもというのだ。
「内緒だけれどな」
「飲むのね」
「ただ飲み過ぎにはな」
「注意ね」
「家で飲むんじゃないからな」
　それでというのだ。
「そこはな」
「こっそりね」
「本格的に飲むなら家に帰ってな」
「飲むことね」
「そうするんだ、宴会の時は軽くだ」
　そうして飲んでというのだ。
「飲んでもな」
「それでもね」
「少しにしておいてな」
「それからよね」
「飲むなら家だ」
　また咲に話した。
「そうするんだぞ」
「そうするわね」
「まあ自分の限度を知ることも大事だな」
　酒の適量をというのだ。
「それはおいおいわかっていくことだ」
「私結構飲む方かしら」
「そうだな」
　父も否定しなかった。
「お前もな」
「お父さんもお母さんもでね」
「うちの家は皆飲めるな」
「好きだしね」
「甘いものも好きでな」
　それと共にというのだ。
「そちらもな」
「そうよね」
「それでもな」
「自分の適量もなのね」
「どれだけ飲んだら我を忘れずに済むか」
　そしてというのだ。
「また二日酔いにならないのかもな」
「見極めることね」
「そうだ、その辺りもな」
「知っていくことね」
「飲んでな」
　その酒をというのだ。
「そうしたことも大事なんだ」
「そうなのね」
「それは本当に飲まないとわからないからな」
　咲に真面目な顔で話した。
「飲んでいけ、そして適量でな」
「止まることね」
「もう飲んだくれるとな」
「お酒に溺れたら駄目よ」
　母も注意してきた。
「そうなることはね」
「駄目なのね」
「そう、そうなったら身体も壊すから」
「お酒でよく聞くわね」
「実際よくあることよ」
　酒で身体を壊すことはというのだ。
「飲み過ぎでね」
「お酒に溺れて」
「そう、お酒は適量だったらお薬になって」
「過ぎたら毒になるのよね」
「童話じゃ鬼には毒になるお酒あるでしょ」
　酒呑童子の話で出て来る神変鬼毒酒のことである、源頼光達は鬼たちにこの酒を飲ませて退治している。