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仮面ライダーファイズ 小さな星の話

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第三十六章

「そのまま人を信じてまた裏切られるのですね」
 そう言い残して灰になった。木場はその彼を見て呟く。
「それでもいい」
 彼は言う。
「もう裏切られても怖くない。それもまた人間なんだってわかったから」
 彼はわかったのだ。人もオルフェノクも同じだと。だから今こうして村上を倒したのだ。人として。
 乾は地に降りたレオと激しい接近戦を繰り広げていた。レオは地上でもかなりの強さを誇り乾を押している程であった。
「何だかんだでライダーだけはあるってことかよ」
「俺ハ他ノ奴等トハ違ウ」
 彼は言う。
「ココデ御前ヲ倒シテファイズノベルトモ」
「それは無理だな」
 乾は彼に言葉を返す。
「何ッ!?」
「御前の腕じゃな、俺は倒せないんだよ」
「何だと」
「御前程度の奴はまだ一杯いた。確かに強いけれどな」
「ソウダ、俺ハライオンダ」
 自身のオルフェノクの姿を述べた。
「全テノ獣ノ王ダ。ソノ俺ニ適ウノハ」
「俺だって狼だ」
 乾は彼に今度はこう言い返した。
「それにな。やっぱり経験なんだよ」
 ファイズエッジを引き抜いて構えてきた。
「来いよ。そろそろ決着つけようぜ」
「望ムトコロダ」
 レオもそれに応える。
「ナラバ」
 両手のトンファーをそのままに突き進む。それで乾を叩き潰すつもりだ。
 だが乾は落ち着いている。冷静に彼の動きを見ていた。
「乗ってきたな。じゃあ」
 エッジを低くする。そして。
 トンファーをかわしエッジをレオの腹に切りつける。そのまま抜けた。
「ハァッ!」
 レオの身体にファイズの紋章が浮かんだ。それと同時に青白い炎が浮かんだ。
「こういうことなんだよ」
 乾は立ったまま動きを止めているレオに対して述べた。顔も彼に向けている。
「わかったか」
「今ノガ御前ノ経験ナノカ」
「そういうことだ。あえて教えてやったんだ」
 ベルトを落とし人の姿に戻ったレオにそう述べる。
「授業料はいらねえからな」
「俺ノ負ケカ」
 レオは乾の言葉の中で呟いた。
「百獣ノ王ノコノ俺ガ」
 それが最後の言葉だった。灰になり崩れ落ちたのであった。
「とはいっても結構辛かったな」
 乾は身体中に痛みが走るのを感じながら述べた。
「やっぱりライオンだけはあるってことかよ」
「乾君」
「木場、御前も来ていたのか」
「ああ、このベルトと一緒でね」
 彼はオーガになったままだった。その威圧的なシルエットで乾の前にやって来ていた。
「村上峡児は何とか倒したけれど」
「辛かったか」
「いや・・・・・・くっ」
「木場、無理はするな」
 自分のことを置いておいて言う。
「いいな」
「済まない」
「とはいっても。まだ戦える奴はいるか」
「俺は何とか」
 三原は痩せ我慢をして言ってきた。
「大丈夫だ」
「あまりそうは見えないがな」
「いや、いける」
「おめえ等は無理かな」
 海堂と長田を見て乾は言った。見れば彼等は片膝をついて肩で息をしていた。
「木場と一緒にここに残れ」
「馬鹿言ってるんじゃねえぜ」
 海堂は人の姿に戻っていた。その姿で乾に対して言う。
「俺だってなあ、ここまで来て・・・・・・うっ」
 左肩を押さえる。顔が苦悶で蹲る。
「海堂さん・・・・・・うっ」
 長田は腹を。二人の傷はそれぞれかなり深かった。
「木場、二人を頼む」
 乾は木場に対して声をかけた。
「こっちにもライオトルーパーが流れてくるかも知れないからな」
「わかったよ」
「ああ。草加」
 最後に草加に声をかけた。彼もかなりのダメージを受けているようだった。足元がおぼつかなかった。
 
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