仮面ライダーファイズ 小さな星の話
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第三十一章
「今度は命は幾つなんだ?」
「安心しろ、一つだ」
「それ聞いて安心したぜ」
三原の相手になるのは澤田だった。
「木村は帰ってきたぞ」
「そうか」
澤田はそれを聞いても表情を変えない。
「それはよかったな」
「やっぱり御前はもう流星塾から離れたんだな」
「当たり前だ。今の俺はオルフェノクだ」
それが澤田の言葉だった。
「そして御前がデルタになった。それで充分だな」
「そうだな」
三原もその言葉に頷く。
「それじゃあここで最後にする。いいな」
「ああ、お互いな。流星塾も何もない」
澤田はそう言って身構えてきた。二人の視線が衝突する。
「前にも言ったな」
草加は北崎の前にいた。
「俺自身の仇を取らせてもらうってな」
「飽きない人だなあ」
北崎はそれを聞いても態度を変えない。相変わらず何処かけだるそうな感じである。それが今の草加とは対象的であった。
「何が楽しくてそうしてるかわからないけれど」
「御前にわかってもらうつもりはない」
草加は彼にそう返す。
「だから覚悟はいいな」
「いいよ。僕も暇だしね」
北崎は逃げる気は毛頭なかった。もっとも彼にしてはこれも遊びでしかない。それは態度でよくわかることだった。それが北崎という男である。
「じゃあ遊んであげるよ」
「御前だけは・・・・・・殺す!」
「ファイズ」
レオは乾を見据えていた。
「御前ノ相手ハ俺ニ決マッテイルヨウダナ」
「決まっていたらどうなんだ?」
乾は彼にそう返す。
「御前は俺に倒される。それだけだろうが」
「ソレハ俺ノ台詞ダ」
相変わらず癖の強い日本語で応える。
「楽シマセテモラウゾ」
「いいわね、これが最後の遊びよ」
影山が妖しい笑みを浮かべて仲間達に言う。
「それじゃあ」
彼等も変身した。レオはサイガになる。村上だけは相手がいないので人の姿のまま後ろに下がる。乾達とラッキーグローバーの最後の戦いがはじまった。
ラッキーグローバーは固まっている。澤田が右に、ジェイが中央、そして影山が左にいる。しかし北崎は少し離れていた。
「僕は単独行動かな」
「あら、自信あるのね」
「あるよ」
そう影山に返す。
「だってさ。久し振りに遊べるから」6
「そうね。確かに久し振りね」
影山もその言葉に笑みを浮かべる。彼女も楽しんでいた。
「この前は少し遊んだだけだったしね」
「そういうこと。何か生き返ってる人もいるし」
「貴方もね。生き返っているなら」
「俺達もだ」
「そういうことだな」
ジェイと澤田も頷く。見れば影山以外は全員生き返っているのだ。だが動き自体は生きていた頃と何ら変わることはなかった。むしろ素早くなっていた。
「何だこいつ等」
海堂はジェイの動きを見て声をあげる。攻撃をかわすので手が一杯だ。
「攻撃受けたらこのまま吹き飛ばされそうだぞ、おい」
「確かにロブスターオルフェノクも」
「ふふふ、わかってるわね」
影山は長田のその言葉に笑ってきた。剣を前に翳して笑っていた。
「そうよ。私達は王の力を受けているのよ。それのせいよ」
「それでか。この力は」
三原はそれを聞いて言った。彼も澤田の伸縮する攻撃を前に防戦一方であった。
だが彼等はまだましだった。草加は変身したうえでその凶暴さを露わにする北崎の猛攻の前に為す術もなかった。
「くっ・・・・・・」
攻撃を受けて後ろに吹き飛ばされる、ベルトは外れはしなかったがダメージはかなりのものだった。何とか起き上がった彼を見て北崎が述べる。
「あれ?前と同じ?」
「やっぱりこいつは一筋縄じゃいかないか」
草加は立ち上がる。だが既にダメージはかなり受けていた。
「草加、そいつは一人じゃ無理だ」
三原が彼に声をかける。
「だから今は何とか凌げ」
「じゃあ御前等がその目の前の相手に何かできるのかな」
草加は三原に対して言う。
「澤田、かなり強くなってるだろ」
「ああ、しかし」
「乾もあれだ」
見れば空を飛ぶレオの上からの攻撃に彼も為す術もない。掴み上げられて上から叩き落されそうになるところを何とか受身していた。彼も今の相手だけで手が一杯だった。
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