星河の覇皇
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第八十三部第五章 謎の兵器の正体その十六
「スルタン=カリフは」
「オスマン帝国の皇帝でしたね」
「その座にある方はお一人ですか」
「そうなのですか」
「皇帝は一つの文明に一人ですね」
八条は冷静に述べた。
「原則として」
「西欧と東欧でそれぞれいましたね」
「神聖ローマ皇帝とビザンツ皇帝」
「ビザンツ皇帝は後にロシア皇帝となりましたが」
「西ローマ皇帝と東ローマ皇帝でしたね」
「そうです、中華皇帝も一人でした」
この文明も然りというのだ。
「そして中南米もでしたね」
「インカ帝国ですね」
「インカ皇帝も然りでしたね」
「やはり一人だけでしたね」
「そして日本も然りです」
今もある日本の天皇陛下もというのだ。
「アフリカもそうですし」
「エチオピア皇帝ですか」
「一つの文明に皇帝は一人」
「それで、ですか」
「イスラムにも皇帝は一人」
「サハラの皇帝だけですか」
「シャイターン主席は野心家ですが」
このことは事実でもというのだ。
「弁えた方でもあられます」
「イスラムの原理原則ですか」
「文明のそれもですか」
「わかっておられる」
「そうした方でもあられますか」
「謀略も使われますが敬虔なムスリムでもあられます」
このこともまた事実だ、シャイターンは自身の絶対のアイデンティティをイスラムとして生きている。その為信仰心も確かなものなのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「若し敗れてサハラから出られ」
「連合に入られると」
「その時はですね」
「そうです、皇帝にはなられません」
このことは間違いないというのだ。
「そしておそらく中央政府にも興味はおありでないでしょう」
「中央政府にもですか」
「そちらにもですか」
「連合中央政府の国家元首は大統領です」
即ち共和制である。
「シャイターン主席は今は国家主席ですが」
「皇帝になることを目指されている」
「即ち君主にですね」
「連合中央政府が共和制であることは絶対です」
「そうです、三百以上の国が存在し」
連合の中にはというのだ。
「様々な文明、文化、宗教、民族、人種がありますね」
「連合の中には」
「非常に多くのものがありますね」
「職業や組織も様々です」
「全てがモザイクかつ多層的に重なり合っています」
「そうした国です」
「ですから」
連合はそうした国だからだというのだ。
「君主よりもです」
「共和制の方が望ましいですね」
「君主という象徴的な存在ではなく」
「大統領という統治出来る国家元首ですね」
「そちらの方がいいですね」
「そうです、そして中央政府が共和制ならば」
そうであるならばというのだ。
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