イベリス

「咲ちゃんもね」
「大事なのは徳ね」
「それを積めば生きていて欲しいと言われて」
「死んでからもなのね」
「大事に思われるのよ」
「そういうことね」
「それで徳を積むっていうのはいいことをすることよ」
　そうすることだというのだ。
「人を助けたり正しい行いをして」
「そうしてなの」
「そう、真面目に生きていったら」
　そうすればというのだ。
「徳を積めるのよ」
「そうなのね」
「真面目に働くことも」
　このこともというのだ。
「徳を積むことよ、献血だってね」
「徳を積むことなの」
「献血したら輸血の時に使われるから」
　そうなるからだというのだ。
「いいことでね」
「徳を積むってことなのね」
「だからね」
　それでというのだ。
「咲ちゃんも」
「徳を積む、いいことをすることね」
「最底辺の所謂ドキュンなんてね」
「何の徳も積んでないわね」
「悪いことばかりしてるでしょ」
「それで忌み嫌われるわね」
「ああした連中の末路なんてね」
　それこそというのだ。
「更正しないとね」
「碌なものにならないわね」
「冗談抜きに死ねばいいと思われて」
　今話している様にというのだ。
「碌でもない死に方してね」
「喜ばれてよね」
「それで早く死ねばよかったとかね」
「言われるのね」
「この世に生まれたこと自体が間違いとかね」
　その様にもというのだ。
「言われるのよ」
「死んでからも」
「もっと言えば徳積まないで悪いことばかりして死んだら」
　愛は死後のことも話した。
「よく犬畜生って言うけれど」
「生きものに生まれたらましね」
「火の鳥って漫画でもあったわね」　
　手塚治虫の代表作の一つである、この巨匠の宗教観特に仏教に対するそれが非常によく出ている作品と言えるだろうか。
「最後善人だったのに腐り果てて」
「悪いことをして」
「それで死ぬけれど」
　それでもというのだ。
「二度と人間に生まれ変わらないのよ」
「悪いことをしたから」
「逆に悪人だったのが心を入れ替えて」
　そうしてというのだ。
「悟りを開いてね」
「いい人になったの」
「仙人というか悟り開いたから仏様みたいになって」
　そうした心の持ち主にというのだ。
「色々達観して以後のシリーズでもね」
「出て来るの」
「どうも転生した子孫の人とかがね」
「出て来るの」
「そうなるの、悪いことをすると」
「人間に生まれ変われなくなるのね」
「正直生きものならましで」
　人間でなくともというのだ。
「あまりにも浅ましいと餓鬼によ」
「ああ、餓鬼道ね」
「それに堕ちるか地獄によ」
「堕ちるのね」
「まだ地獄の方がましかもね」　
　堕ちるならというのだ。
「餓鬼になるよりも」
「何か高校入ってからそんなお話結構するけれど」
　咲は愛の話を受けて呟く様に言った。