【魔法少女リリカルなのは】魔導師を辞めた高町家の男
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第六話 私が主人公よ!!(嘘) byリンディ
前書き
今回は私の視点ね♪ byリンディ
リンディの可愛らしい一面が見れるよ! by隼人
リンディのえtへぶしっ!? by作者
夢の中の彼と優しい彼、始まります。
↑今回は真面目だな、おい。 by作者on隼人
広い綺麗な花畑の上に私は立っていた。
此処は何処だろうか?どうして私は此処にいるのだろうか?
そんな疑問が頭の中を流れて行く。
空を見上げると大きな青空と太陽に雲がある。どれも心が落ち着く感じがした。
周りを見渡せば、先程と同じで綺麗な白い花を咲かせた草木が並んでいた。
「此処って、楽園か何かかしら?」
とても心地よかった。
バサッと音を立てながら花の上に大の字で寝転がってみた。
気持ちいい。何もかも忘れてずっとこのままでいれそうな気がする。
目を閉じ、深い眠りに就こうとした。
「リンディ、リンディ」
男の声がした。懐かしい彼の声。
その声の主が誰かと思いだすとすぐに目を開けて、彼を見た。
管理局の提督が着る制服を身に纏いながら、私を見て微笑んでいる彼。
「……クライド……」
そう、そこには死んだはずのクライドが立っていた。
本当に此処は天国とかなのかもしれない。
彼を見てると、彼が私に背を向けて何処かに行こうとする。
「すまない。後は君に任せるよ」
そう言って、そんどん離れていく彼を私は走って追いかけた。
手を伸ばし、もう失いたくない。悲しませないで欲しい。
その一心で追いかけた。
でも、彼はこう言った。
「君にはやる事があるだろう?」
その言葉を聞いて立ち止まってしまう。
「クロノを頼む」
そう言って、彼の姿が見えなくなった。
私は手を伸ばし、もう一度彼と会おうと思って行動した。
しかし、彼が今までいた所を探っても、彼は戻ってこなかった。
まだ、話したい事がたくさんあったのに。
今までのクロノの話をしようと思ったのに……。
涙が目から零れていく。
なにも抵抗せずに地面へと涙を落としていく。
すると、私の頭が柔らかくとても暖かい何かが触れた。
何かを確かめようとすると、それは声を出して、私の名を呼んだ。
「リンディ、泣いてるのか?」
その声は、優しい声で私に訪ねてきた。
だけど、私は返事することなく、黙ってその声を聞いていた。
すると、何か良い匂いがしてきた。
何か、香ばしい匂いとリンゴの甘い匂い。その匂いを嗅いですぐに何なのかを判別した。
「アップルパイ?」
そう、声に出すと先程から聞こえてくる声がまた優しく笑っているかのように「そうだよ」と言った。
何年か前にあの人に食べさせて貰った時と何一つ変わらない匂いだった。
私は昔に食べたこのアップルパイを思い出しながら、あの人の事も思い出す。
私より上手く料理を作り、何より得意だったのはアップルパイを作る事。
初めてアップルパイを食べさせて貰った時に私はすぐに「貴方の作ったアップルパイ、私は大好き」と言った。
その時も、確か今と同じような悲しみを背負ってた時だった。
飼っていた猫が突然死んで、ずっと泣いていた時だった。
あの人は、猫の分と自分の分そして私の分を皿にアップルパイを乗せていた。
そして今も、クライドが居なくなって泣いている時にあの人はアップルパイを持ってやってきた。
「お前なら、出来る」
あの人、高町 隼人 の言葉が脳裏に響く。
クライドが言った、私に任せる事、クロノの事、全部私が彼の分もやっていくと決めた。
隼人の御蔭で私はまた力を付けた。
今までは、ただ悔しくて彼の事を追いかけたくて提督と言う役職をしている。
次元航行艦船アースラの艦長もこなしてきた。
でも、もう私は変わったんだ。
私は、クライドを追いかけるのではなく、彼のやろうとした事を引き継いで彼の気持ちをクロノに教えて行く。それが、私が今やることだと気付かされた。
「私、やるわ。ありがとう、隼人」
そう言うと、私の視界が真っ暗になった。
目を覚ますと、私はベットの上で起き上がる。
此処は何処だろうかと思いながら周りを見渡す。
特に何もない。あると言えば、壁に飾ってあるいろいろな写真が目に入った。
「この写真に写ってるのって全部、なのはちゃんと隼人……」
それがわかると胸が苦しくなった。
理由はわからない。でも、何かが気になる。
写真に写っている隼人の笑顔を見てると自分も微笑んでしまう。
でも、どうしてこんなにも胸が苦しいのかがわからなかった。
隼人に娘がいるって知った時も、幼稚園になのはちゃんを迎えに行った時にもずっと胸が苦しかった。
迷惑をかけないように無理に笑顔を作って我慢していた。
「どれも楽しそうな物ばかりね」
見ているこちらも楽しくなってきそうな程だった。
仲の良い親子の写真は何時見ても良いものだと思う。
「でも、後一人が写ってない」
そう、家族になら居ても可笑しくない。いや、いないと可笑しい筈の存在がどの写真にも写ってはいなかった。
母親の姿が見当たらない。
どの写真を見ても写っているのはなのはちゃんか隼人か二人一緒の写真くらいだった。
ずっとカメラマンでもやっているのだろうか?
いや、隼人なら絶対に嫌でも写真の中に入れそうな気がする。
そう言えば、家の中にも女性なんて居なかった。
居るとすれば店の客として来ている女性くらいだ。
「どこかにないのかしら?」
隼人の部屋の隅々まで探してみた。
クローゼットや机、服や上着のポケット等いろいろ調べてみたけど、母親が写った写真はどこからもでてこなかった。
もう少し調べてみよう。
そう思って、クローゼットを開ける。
隼人が何時も着てる服などがハンガーで綺麗に納められていた。
腕を伸ばし、奥まで調べてみる。
その時に隼人の服が顔にかかった。
「………すぅ…」
いつの間にか、匂いを嗅いでいる事に気付いた私はすぐに腕をクローゼットの中から出した。
胸が物凄く高鳴っている。心臓が破裂しそうなくらい激しく動いている。
顔が熱い。きっと、真っ赤になっているだろう。
ごくりっと息をのみ、もう一度クローゼットの中に腕を突っ込み、顔も一緒に入れる。
これは写真を探すための行動で、決して隼人の匂いを嗅ごうなんて思ってない!
「すぅ……はぁ……すぅぅ……」
こ、これは不可抗力ってやつで決して匂いを嗅いでいにゅわけにゃにゃい!!
もう、頭の中が可笑しくなってる。
何も考えれない、何かムズムズしてきた。
もう耐えられない!!
服を一気に数枚取り、その中に顔を埋めて隼人の匂いを嗅ぐ。
ガチャ
扉が開いた音がなった。
「………………………………………………わ、悪い。取り込み中だったか」
長い沈黙の後にそう言って、部屋の扉を閉める隼人。
もう、言い逃れはできない。
何故なら、数枚の隼人の服を持ってベットに座り、顔を埋めていたら………ね?
「人生オワタ…………時空管理局提督(笑)オワタ………」
死にたい、今すぐ死にたい………殺してください。今ならすぐに逝けそうです。
只今、リビングのテーブルの上に正座して超反省しております。
隼人はさっきの事は見ていないの一点張りで安堵すれば良いのか、落ち込めば良いのかわからない。
「まぁ、さっきの事は置いといて。悪かったな、酷い事言って」
あれ、何時酷い事言ったの?
頭の中を探って記憶を確かめていると、老けたなって言われた事を思い出して怒りそうになったが、それより悪い事をした私が怒る価値なんてない……。
「良いわ。別に気にしてないから」
「そっか、良かったぁ」
そう言って胸をなでおろす隼人。
そんなにも深く考えていたの?
なんか、自分がやった事が情けなくて、余計に死にたくなってきた。
「あ、そうだ。リンディ、腹減ってないか?」
そう言えば、今日は地球に来てから何も食べていなかった。
「えぇ、空いています」
「なら、ちょっとそこで待っててくれないか?食べて欲しい物を持って来るから」
「はい」
隼人はリビングを出て、階段を下に降りていった。
はぁ、とため息を吐き、どうすれば死ねるかを考える。
何かないかと思って周りを見る。
あるのは、ソファやテレビやらテーブルやらカーペットやらで死ねるような物はない。
壁に貼ってある一枚の紙に目がいった。
それは、なのはちゃんが描いたと思う、大好きなパパを絵で描いている紙だった。
かなり上手く描けており、これは凄いと声に出した。
こんな上手な絵を描いてもらったら嬉しいだろうなぁ、と心の中で思った。
「待たせたな、持って来たぞ」
しばらくすると、ケーキを入れる箱を手に持って隼人がリビングに帰ってきた。
箱をテーブルの上に置くと、隼人は自分用のコーヒーと私用のお茶に砂糖を入れたコップを持って来ると、箱を私の方に近づけさせた。
「開ければいいの?」
「うん」
嬉しそうな隼人の笑顔を見て、ドキッとなりつつ箱を恐る恐る開けてみた。
そこには、出来たての暖かいアップルパイが香ばしい匂いとリンゴの甘い匂いを発しながら食べて貰うのを待っているかのように存在していた。
先程見た夢を思い出し、涙が出てきた。
「お、おい?何で泣くんだよ?」
隼人の慌てた顔が目に入ってきた。ラッキー。
「覚えてくれてたんだ、私の大好物」
「え、えっと、うん」
恥ずかしそうに頭をポリポリと掻く隼人。
私はそれを見て、微笑んでしまう。
嬉しくて、勇気が出て、元気を貰えて、幸せをたくさんくれるこのアップルパイが私の大好物だ。
隼人が包丁で綺麗に食べやすいサイズに切って皿に盛り、私にホークと一緒に渡してくれた。
「いただきます」
「召し上がれ」
嬉しそうに笑顔で私の事を見ている隼人と目が合い、顔が熱くなった。
やだ、恥ずかしい。
そう思いながらも、アップルパイを一口食べた。
「美味しいよ、隼人」
そう言って、また涙が出てきた。
昔食べた時とまったく変わってない味が私の心を幸せいっぱいに満たしていく。
「俺が作ったアップルパイを美味しく食べてくれるリンディが一番綺麗だな」
隼人のその言葉を聞いた瞬間、胸が高鳴った。
そして、思った。
人生3度目の恋を私はした。
一度目の初恋は失敗。相手は隼人だったけれど、管理局の仕事で会う機会がなかった。
二度目はクライド。仕事ではいつも一緒で彼の優しさに惹かれて行って結婚した。でも……。
三度目はまた隼人。でも、今は仕事で会えない訳ではない。私がすぐに休暇を作って、地球のこの家に来たらいくらでも会える。
そう思うと、私はもう止まらなくなった。
「なぁ、写真撮らないか?」
隼人とのこれからの事を考えていたら隼人が良い質問をしてきた。
「良いわね、それ。撮りましょう♪」
「じゃあ、カメラ取って来るよ」
そう言って、またリビングを出て行く隼人の後ろ姿を見ていると……。
「行ってらっしゃい、あなた」
思わず、心の中ではなく声に出してしまった。
慌てて口を塞ぎ、隼人の方を見ていると、そのまま何処かの部屋に行ってしまった。
もし、今の声を聞かれてたら……もしかすると……。
そんな事をいつの間にか考えていた。
大事な事はまだたくさんあるのに。
それは、なのはちゃんのお母さん、つまり、隼人の奥さんはどうしているのかが知りたい。
でも、それが切っ掛けで嫌な思いをさせてしまうんじゃないかと不安でもある。
だけど!これだけは聞いておきたい。
「何度もすまない。持って来たよ」
「じゃあ、早速撮ろ♪」
カメラをテーブルの前に置き、テーブルの上には食べかけのアップルパイを並べて、隼人の椅子の隣に座り、隼人がカメラのタイマーを押すと急いで私の隣に座った。
隼人の顔を見てみると、嬉しそうに笑っている。
それが嬉しくて、隼人に私の身体を密着させた。
腕を組み、自分の顔も隼人の身体に密着させた。
隼人は一瞬、ビクッとなったがすぐに元に戻った。
すると、隼人も私の方へと身体を寄せてきた。
パシャッ
シャッター音が鳴り、写真が撮られる。
私と隼人のツーショット写真が。
「ねぇ、一つ聞いていい?」
「何だ?」
隼人に抱きついたままで話を始める。
一番聞きたかった事を聞く。
「ずっと気になってたんだけど、なのはちゃんのお母さんは?」
「…………」
黙ったまま、深く考え込むような瞳をした隼人。
私は待った。
「(悪い、その事については念話で話させてくれ)」※「()」は念話。
突然の念話に少々驚きながら、返事を返す。
「(良いわよ。もしかして、誰かに聞かれるとまずいの?)」
「(あぁ、すまない)」
そうして、私はなのはちゃんと隼人のお姉さんの事を知った。
なのはちゃんのご両親と兄妹はどこか遠くの国で誰かから逃げていて、何も関係していないなのはちゃんだけを、桃子さんの弟の隼人に引き渡した。
なのはちゃんはその事を知らずに今まで過ごしてきたらしい。
偶に、他の家族の母親を見るとき悲しそうな顔をするみたい。
それが、今の隼人の悩みであった。
「なら、私がママになってあげようか?」
私がそう言うと、隼人は飲んでいたコーヒーを盛大に吐いた。
咳をして、口を拭い、零したコーヒーを布巾で拭いてから口を開いた。
「あのなぁ、順序ってもんがあるだろ!?」
ごもっともで、何も言う事がないわ。
「それに、お前にはクロノ君がいるだろ?俺なんかより、クロノ君の事を考えてやれよ」
「クロノなら大丈夫よ。あの子なら一人でも大丈夫。だって、私の息子だもの」
「だからな?ちょっとお話をしyむぐっ!?」
私は、隼人の口を手で塞ぐ。
あ、口でやればよかった。
「私は本気よ」
それを言うと、隼人は固まった。
「暫くは仕事で一緒になるのは難しいけど、あなたがその気になってくれれば、私は何時だって良いのよ」
本当に好きな人の事なら、もうどうだっていい。
「隼人、私はあなたが好き。付き合ってくれない?結婚前提で……いや、確実で」
隼人は少しだけ考えると。
「わかった。でも、待ってくれ。なのはに話してみる」
「えぇ、それが一番よね」
「明日、なのはも入れて3人で話そう」
そう言って、私は残ったアップルパイを隼人と食べて、お風呂に入り、隼人のベットに入った。
隼人は、なのはちゃんが眠っている私が本来使う筈だった部屋で眠った。
本当に言っちゃった。
恥ずかしくて、怖くて、その夜は眠れなかった。
なのはちゃんに認めて貰えるかが不安だった。
もし、家族になれたら隼人と一緒に家族で幸せにしてあげたい。
あ、クロノには隼人がいたら喜んでくれるだろうな。
クロノは、ミッドの英雄と管理局のエースだった隼人を尊敬してて一度会ってみたいと前からずっと話してたから。
眠れない……。
後書き
リンディ可愛いよリンディ by作者
老けたな……。 by隼人(死亡フラグ)
作者は見た、黄色い羽を付けた悪魔が隼人を銀河の果てへと飛ばしたところを……。
彼は、素晴らしい戦死を遂げました。 byリンディ
俺は黙って敬礼した……。 by作者
お読みいただき、ありがとうございました。
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