星河の覇皇
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第八十三部第五章 謎の兵器の正体その十二
「潜水艦もです」
「見破り」
「そしてですか」
「あの様には敗れなかった」
「ティムール軍も」
「そうなっていました」
こう話すのだった。
「オムダーマン軍も勝利はです」
「得られなかったですか」
「潜水艦も見破られ」
「あの様な攻撃が出来ず」
「勝利は得られませんでしたか」
「潜水艦の攻撃は奇襲です」
それだとだ、八条は看破した。
「奇襲は成功すると大きいですが」
「敵にかなりの打撃を与えられる」
「左様ですね」
「そうなりますね」
「どうしても」
「はい、ですが」
それがというのだ。
「失敗しますと」
「その時は、ですね」
「打撃を受けるのは仕掛ける方ですね」
「奇襲を」
「奇襲は破られると倍の打撃を受けます」
仕掛けたその方がというのだ。
「そうなります」
「そう考えるとですね」
「若しシャイターン主席が戦場におられたなら」
「潜水艦戦術は通じず」
「オムダーマン軍も勝利は得られず」
「戦局も違っていましたか」
「この五日の間にです」
この僅かな期間にというのだ。
「戦局は一変しましたね」
「はい、まさに」
「オムダーマン軍は二度の戦争に勝ち」
「ティムール軍に大きな打撃を与え」
「まあ大きく前進しました」
「ティムール領深くにも入っています」
「そうもなっています」
将官達も口々に答える。
「それは潜水艦を上手に使えたからですが」
「それをさせたのはシャイターン主席の不在ですね」
「そのことが大きいですね」
「おそらくアッディーン大統領は機会を伺っておられました」
潜水艦を使うそれをというのだ。
「ですが」
「シャイターン主席がおられると」
「どうしてもですね」
「使えない」
「見破られるので」
「そうでした、ですが」
それがというのだ。
「シャイターン主席が不在となり」
「使用出来て」
「二度も勝利を得られたのですね」
「そうなったのですね」
「そうです、そしてかなりの距離を一気に踏破しました」
ティムール領のかなりの部分まで入ったというのだ。
「シャイターン主席の不在が戦局を動かしました」
「オムダーマンにとってよく、ティムールにとって悪く」
「そうなりましたね」
「まさに」
「明暗が分かれましたね」
「実に。ただ」
八条は少し表情を変えて今度はこう言った。
「問題は何故シャイターン主席が戦場から離れたか」
「そのことですね」
「ティムール側は何も言っていませんが」
「何故不在であるのか」
「その理由が問題ですね」
「おそらくですが」
八条の目が光った、そのうえでの言葉だった。
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