八条学園騒動記
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第六百九十六話 肉だから合うその十
「私もね」
「ルーシーもなんだ」
「そう聞いてるわ」
「あの四国の中ではなんだ」
「私達のかつての宗主国のね」
「その中ではだね」
「アイルランドがね」
この国はというのだ。
「一番ね」
「御料理がまずいんだ」
「イングランドが有名で」
「スコットランドもウェールズもで」
「その中でもね」
とりわけというのだ。
「アイルランドはね」
「お料理がまずいんだね」
「実際聞かないでしょ」
ルーシーは兄に問うた。
「アイルランド料理って」
「ビールはね」
「あれはお酒でしょ」
「そうだね」
「お酒のおつまみはね」
これはというと。
「アイルランドで何かあるか」
「聞かないね」
ベンもそれはと答えた。
「確かに」
「お兄ちゃんもそうよね」
「ビール飲みまくる国と聞いたけれど」
それでもというのだ。
「おつまみすらね」
「聞かないでしょ」
「ジャガイモばかり食べてるんだよね」
アイルランドはというのだ。
「確か」
「ああ、それでよね」
ケイトがジャガイモと聞いて言ってきた。
「あそこ十九世紀ね」
「ジャガイモが採れなくなって」
「飢饉になったのよね」
「それで食べものがなくなってね」
「麦は採れたけれど」
この作物はというのだ。
「けれどね」
「それでもだったね」
「麦は貴族が取り立てて」
「イギリスのね」
「実に貴族らしくね」
「何の容赦もなくね」
「そうしてね」
それでというのだ。
「アイルランドでは食べものがなくて」
「物凄い餓死者出て」
「移民の人が沢山出て」
「人工半分になったのよね」
「そうそう」
まさにというのだ。
「これがね」
「最悪よね」
クララはそのジャガイモ飢饉について嫌そうに言った。
「もう」
「そうだよね」
ベンもそれはと頷いた。
「普通そうなったら」
「連合だとね」
「即座にね」
「政府自体が動くよ」
「他の食べもの食べてもらって」
「ジャガイモが駄目なら」
それならというのだ。
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