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神々の塔

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第十五話 道教の神々その五

「邪教は確かにあるが」
「カルトとか」
「しかしな」
「一方的にそう決め付けると」
 綾乃は眉を曇らせて話した。
「碌でもない騒動の元や」
「宗教は心やさかいな」
「その問題は大事や」
「宗教で間違えると」
 それこそというのだ。
「取り返しのつかんことになるわ」
「どれかだけ認めるとかな」
「それはイデオロギーも同じや」
「共産主義とかね」
「宗教を否定しても」
 それでもというのだ。
「その代わりにイデオロギーを掲げても」
「同じやね」
「イデオロギーも心やからな」
 人間のそれであるというのだ。
「そうした意味で宗教とや」
「同じや」
 シェリルも言った。
「それやとな」
「そやね、そこは」
「宗教を否定してもな」
「結局イデオロギーがあるし」
 綾乃はシェリルにも話した。
「同じやね」
「心をどないするか」
「政にしても」
「重要や」
「若し特定の宗教とかを国教みたいな位置に置いたら」
「国はそれでまとまるが」
「他の宗教とかイデオロギーはどうなるか」
 こう言うのだった。
「そうなるさかい」
「そやからな」
「今そうしたことしたら」
「かえってや」
「大変なことになるわ」
「昔の国やとな」
 シェリルは古代国家の話をした。
「国家に一体感を持たせてな」
「まとまるけどな」
「けどな」
「それよりもやね」
「統治を進められる官僚システムを整えて」
「軍の統率もやね」
「しっかりさせて」
 そうしてというのだ。
「それからな」
「そうしたものに基づいて統治する」
「それがな」
「今は相応しいわ」
「そやろ」
「うち等もそう考えて」
 綾乃は自分達のことを話した。
「それでや」
「官僚システムも整えたわ」
「太宰君が中心になって」
「そうしてな」
「今も治めてるわ」
「特定の宗教やイデオロギーを掲げてな」
「それで国家をまとめるより」
 むしろというのだ。
「ほんまやね」
「統治の仕組みを整える」
「そうした方がええわ」
「ローマ帝国でもや」
 芥川が言ってきた。
「末期にキリスト教を国教にしてな」
「他の宗教を厳禁にしてな」
「弾圧してな」
 こう綾乃に話した。 
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