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第七十五話 合宿最後の日その一

                第七十五話  合宿最後の日
 合宿も遂に打ち上げとなった、どの部活も練習を終えると風呂に入りそうして毎晩夕食を摂っていたホテルの大宴会場でだった。
 引率側の代表だった校長先生が笑顔でこれまでの合宿のことを労った、その後はこれまでの夕食の時と同じくだった。
 飲んで食べてだったが今夜は特にだった。
「豪勢な感じするわね」
「お寿司もあるからね」
「お刺身もいいけれどね」
「お寿司もいいわよね」
「それでお寿司もあるとね」
「余計に豪華に思えるわね」
「いや、これが本当のお寿司だって」
 茶色の長い波がかった髪の毛に青い目の女の子が言ってきた。
「日本に来て感動したわ」
「そんなに?」
 その娘にかな恵が問うた、皆浴衣姿で二人も同じである。
「よかったの、日本のお寿司」
「ロンドンのお寿司ってお握りよ」
「ああ、そういえばね」
「でしょ、ネットでも話題になったでしょ」
「これがイギリスのお寿司ってね」
 かな恵は鮪の握りを食べつつ応えた、見れば寿司がとんでもない量で用意されている。鮪だけでなくハマチや鮭、海老、コハダ、秋刀魚、鰯、玉子、鰻、烏賊、蛸と色々ある。
「悪い意味でね」
「あと何かチーズケーキみたいな形の」
「それも私見たわ」
「そっちも凄かったでしょ」
「ああ、こうなんだってね」
「何しろ我が国ときたら食べものはね」
「駄目なのね」
「大都会のロンドンでもそうでね」
 言わずと知れたイギリスの首都であるこの街でもというのだ。
「私のお国ウェールズなんてブリテンの端っこだから」
「イギリスの本土って言われてる島の」
「そう、ブリテン島のね」
「それでなのね」
「もうお寿司っていっても」
 こうかな恵に話した。
「とてもよ」
「こんなのじゃないのね」
「そうよ、だからね」
「日本に来て」
「これが本当のお寿司だって家族でね」
 自分だけでなくというのだ。
「回転寿司屋さんで驚いたわ」
「八条寿司?」
「そう、八条グループの回転寿司のチェーン店で」
 それでというのだ。
「大阪の都島で食べてね」
「本物だって思ってなのね」
「感激したのよ」
 そうだったというのだ。
「本当にね」
「外見が違って」 
 かな恵は平目を食べつつ言った。
「味もよ」
「美味しかったの」
「ちゃんとお酢もお砂糖も使ってて」
 ご飯即ちシャリにというのだ。
「握ってるから。ネタだってしっかり切ってるし」
「イギリスのはまた違うのはネットの画像通りね」
「ええ、天麩羅の握りも」
 その娘は天握り、海老のそれを食べつつ話した。
「お握りだったしね」
「天むす美味しいけれどね」
「天むすをお寿司って言われてわかりましたって言う日本人いないでしょ」
「それはね」
 かな恵もそれはと答えた。 
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