十回目で
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第四章
「船で水漏れがあったんだ」
「それでなの」
「修理をしていてね」
「遅れたのね」
「そうだったんだ、けれどね」
それでもと言うのだった。
「こうしてだよ」
「戻って来てくれたわね」
「うん、ではね」
「ええ、戦いが終わってね」
「貴方が帰って来たから」
「結婚しよう」
あの時の約束を果たそうというのだ。
「そうしよう」
「ええ、十年かかったけれど」
「その十年を埋めるまでにね」
それ程にというのだ。
「幸せになろう」
「そうなりましょう、ただ」
ここでピュリスはアカマスにアテナとのことを話した、そのうえで彼に対してあらためて話したのだった。
「そうしたことがあったから」
「アテナ様にだね」
「感謝してね」
心からというのだ。
「捧げましょう」
「そうだね、多くのものをね」
「それには及びません」
二人がアテナに感謝し贈りものの話をしているとだった。
ここで当のアテナが出て来て言ってきた。
「贈りものはもう貰いました」
「といいますと」
「それは」
「貴方達の幸せです」
再会したそれだというのだ。
「それを今見ましたので」
「それでいいのですか」
「アテナ様は」
「人の幸せを見る」
アテナは微笑んで話した。
「それこそが神の喜びですから」
「いいのですか」
「もうそれで」
「私は充分です」
「そうなのですね」
「それでは」
「これからは幸せになるのです」
二人にというのだ。
「宜しいですね」
「わかりました、必ずです」
「私達は永遠に幸せになります」
「そうするのです、十年にも渡った戦いが終わり」
そうしてというのだ。
「ようやく一緒になれたのですから」
「長い間待って」
「そうしてですね」
「十回も港に行って」
ピュリスの行いのことも話した。
「相手を待ち慕う」
「その気持ちがですか」
「私は見られたので」
ピュリス本人に話した。
「満足です、もう何もいりません」
「そう言われますが」
「お礼はしなくてはなりません」
二人で女神に話した。
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