好色な神でさえも
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第一章
好色な神でさえも
ゼウスが非常に好色な神であることは誰もが知っている、それこそ女神も人間もニンフもであり美少女も人妻も誰でもだ。
挙句は美少年ですらだ、その様な好色極まる神であるが。
ギリシアの神ではないが親しく友人として付き合っているキュベレーという女神のその話を聞いてだ、彼は眉を顰めさせた。
そうしてだ、その話を自分にした兄弟であるポセイドンとハーデスに言った。
「それは駄目だ、絶対に」
「むう、そなたですらそう思うか」
「やはりそうだな」
ポセイドンとハーデスは三人で卓を囲みつつ述べた、それぞれの世界を治める主神達として顔を見合わせて酒に馳走を楽しむ場で話して言うのだった。
「流石に親子はないな」
「血はつながっておらずとも」
「キュベレーは義理の息子のアッティスを愛してしまっている」
「最初は孤児だったのを拾って養子としたが」
「アカマツの木の下でな」
「それがあの通りだ」
二柱でゼウスに話す。
「アッティスはとても整った外見になった」
「わし等が見ても惚れ惚れする位にな」
「それでだ」
「キュベレーも参ってしまったのだ」
「その為だ」
「アッティスは今困っておる」
「わしも自分の娘や息子には迫らんぞ」
兎角そうした話が尽きないゼウスもこう言った。
「流石にな」
「そうであるな」
「お主ですらな」
「わし等もだがな」
「それは流石によくない」
「左様、これは何としても止めねばならん」
ゼウスは兄弟神達に強い声で述べた。
「キュベレーを止めねばな」
「しかしだ」
ポセイドンは決意を述べたゼウスにどうかという顔で言った。
「そう言ってもな」
「あのキュベレーだからだな」
「強いぞ、そして思い込んだらな」
そうなればというのだ。
「止まらぬぞ」
「そうした女神であるな」
「だからキュベレー自身に向かってもよくない」
ハーデスも言ってきた。
「ここはな」
「ならアッティスに力を貸そう」
ゼウスは兄弟達神達の言葉を受けてすぐに言った。
「ここはな」
「そうするか」
「この度はその様にするか」
「痴話喧嘩というかこうしたことは双方があってこそ成り立つものだ」
このことはゼウスが一番わかっていることである、何しろ常に浮気をしているからだ。それで妻であるヘラを怒らせてもいる。
「だからキュベレーが駄目ならな」
「アッティスか」
「あの者を助けるか」
「そうしてことを収めるとしよう」
こう言ってだった。
ゼウスはアッティスのところに赴いた、見れば黒いさらさらとした短めの奇麗な髪の毛に中性的な顔立ちに儚げな黒い目に華奢な感じの若い神だ、ゼウスはこれはまさにキュベレーの好みだと思いつつも彼に自分がここに来た理由を話した。
そしてだ、こう彼に言った。
「そなた結婚せよ」
「そうして身を固めよというのですね」
「左様、わしならば相手が結婚していてもな」
ゼウスは自分のことも話した。
「構わぬが」
「それはちょっと」
アッティスも聞いて思うことだった。
「よくないのでは」
「だがキュベレーは違う」
今アッティスが困っている相手はというのだ。
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