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仮面ライダーファイズ 小さな星の話

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第二章

「待つのです」
「こいつがオルフェノクだって知らないのかなぁ」
 草加は止めた彼に対して言う。彼も睨みながら。
「まさかとは思うけれど」
「彼女はオルフェノクではありません」
 青年は言った。
「嘘つけ」
「いえ、本当です」
 しかし彼はそれでも言う。
「それがわかっているから私も彼女と共にいるのです」
「草加君私をオルフェノクだと思ってたんだね」
「じゃあ何だっていうんだ」
 草加はまだ彼女を睨みつけていた。
「化け物なんだろうが」
「それが違うの」
 スマートレディは草加を見て言う。
「その証拠になるかどうかわからないけれどプレゼントもあるし」
「プレゼントだと」
「そうよ。はい、これ」
 彼にあるケースを差し出してきた。それは彼が非常によく知るものであった。
「それでか」
「そうです。そしてもう灰になることもありません」
「どういうことかな、それは」
 今度は青年を見据えた。
「確かこのまま変身していくと灰になるっていうことだったけど」
「それもまた貴方の運命なのです」
「全てが運命なんだな、本当に」
 普段のシニカルさを見せてきた。
「何もかもが」
「そうよ。君ライダーだから」
「わかったさ。じゃあ精々戦ってやるさ」
 スマートレディからケースをひったくって述べた。
「オルフェノクを倒してやるさ」
 そしてサイドカーに乗り何処かへ向かう。行く場所は彼にとっては決まっていた。
 青年とスマートレディは遠くなっていく彼の姿を見送っていた。彼の姿が消えてからスマートレディが言ってきた。
「後はあの二人ですけれど」
「はい」
 青年はその言葉に応える。
「彼は相当苦しみますよ」
「それはわかっています」
 青年はそれに頷く。
「しかしそれもまた運命なのです。彼も」
「彼も大変なんですね、やっぱり」
 スマートレディはその言葉を聞いて悲しげな顔を見せる。
「彼等もまた運命の中にいるのです。人の戦いの一つを終わらせる者達として」
「最後の最後まで戦わないといけないんですね」
「彼が諦めるまで」
 青年はそれをはっきりと言った。
「続くのです」
「じゃあ私達も休めないんですね」
 スマートレディはそれを聞いて右腕を頬に当てる。左手を右ひじに添えて呟く。
「残念」
「残念ですか。それで」
「だって。ずっと楽して暮らせると思っていたから」
「残念ですがそうはいかないのです」
「やっぱり」
「しかし退屈も嫌なのではなかったですか?貴女は」
 彼は笑みを浮かべて問う。
「そうではなかったですか?」
「そうですね。やっぱり退屈するのが一番」
 スマートレディもそれを認める。
「嫌だったりします」
「では行きますか」
 青年は微笑んで声をかける。
「彼のところへ」
「はい」
 二人は海岸から姿を消した。そのまま別の場所へと向かった。
 
 かつて最後の戦いのあった戦場跡で。木場勇治は一人立っていた。彼はまだ何が起こったのかわかっていなかった。
「俺が何故・・・・・・生きているんだ」
 最後の戦いのことを思い出す。彼はあの時オルフェノクの王と共に死んだ筈なのであった。しかし彼は今生きていた。そのことを把握しきれていなかったのだ。
 
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