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博士の挑戦状

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第三十五話

              第三十五話  挑戦状の話 
 小田切君は仕事に入ると何やら危険な香りのする薬を調合している博士に尋ねた。
「今度は劇薬ですか」
「うむ、一滴で百人は殺せるな」
「そんなのを造っておられますか」
「そうじゃ、それでじゃ」
 博士は薬を調合しつつ小田切君に話した。
「今田先生と今日子先生への挑戦状じゃが」
「カーミラさんにも送りましたよね」
「うむ、覚えておったか」
「書いて記録してますんで」
 小田切君は覚えている理由を述べた。
「僕も覚えてます」
「そうであったな」
「はい、それで挑戦状ですね」
「そろそろ返事が来るか」
「そういえばそんな頃ですか」
 小田切君はこのことも思い出した。
「お返事来る頃ですね」
「うむ、それが来たらな」
 それならと言うのだった。
「ちょっとな」
「決闘ですか」
「それを楽しむ」
「そうされますか」
「うむ、まあそれまではな」
「劇薬を調合されて」
「その辺りの食べもの屋さんで悪戯する悪ガキを捕まえてじゃ」
 そうしてというのだ。
「一滴口に入れてやる」
「そうして殺すんですか」
「そうすれば二十四時間苦しみ抜いて死ぬ」
 博士はあっさりと答えた。
「そうなる」
「そうですか」
「全身に激痛が走り穴という穴から血を噴き出してじゃ」
 そうなってというのだ。
「毛は全て抜けてな」
「恐ろしい死に方を迎えるんですね」
「そうなる」
「その劇薬をですか」
「回転寿司屋さんで悪さをしようとする連中をじゃ」
「殺しますか」
「小悪党は嫌いじゃなからな」 
 博士のこの考えは変わらない。
「そうする」
「そうなんですね」
「うむ、そうしてくる」
「そうですか」
「まあ十人は殺すかもな」
 殺人を何とも思わない博士だった。
 そんな話をしつつ今は薬を調合した、そしてその薬を実際にそうした輩共に対して平然と使って殺したのだった。


第三十五話   完


                   2023・2・10 
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