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神々の塔

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第十四話 白波五人男その十一

「ヒロインはそうで表題の人もな」
「青砥さんか」
「この人も最後の最後にや」 
 極楽寺山門の場でだ。
「ようやく出る」
「それだけか」
「そや、凄いやろ」
「色々とな」
「それでもう五人男ってな」
 こちらの名前の方がというのだ。
「言われてるんや」
「ヒロインも本来の表題も無視して」
「それでや」 
 そのうえでというのだ。
「そうなってるんや」
「成程な」
「日本の歌舞伎も色々な作品あるけどな」 
「一概に数えきれん程やな」
「そうやが」
 それがというのだ。
「その中でもここまでヒロインの影が薄い作品はな」
「ないか」
「僕は他に知らん」
 こうメルヴィルに話した。
「歌舞伎の作品全部知ってる訳やないが」
「それでもか」
「ああ、他の媒体ではあるが」
「学ランの忍者の漫画とやな」
「学ランの塾の漫画位や」
 この二作品位だというのだ。
「忍者漫画はまだ前半にな」
「ヒロイン出てたか」
「二人な、どっちも魅力あったしな」
「よかったんやな」
「ああ、後半聖剣の展開になって」
「ヒロイン出て来なくなってもか」
「女の子出ることは出てたし」
 このこと自体はあったというのだ。
「塾の漫画の方はもうそれがウリのな」
「作品やってんな」
「強烈なキャラと誰も復活する展開で笑うことも出来る」
「ギャグ漫画でもあったんやな」
「そうとも言えたしな」
 だからだというのだ。
「まあよかったけどな」
「ヒロイン不在でも」
「五人男はほんまな」
「ヒロインの影が滅茶苦茶薄いか」
「稀有な作品でもあるんや」
「そやってんな」
「ああ、そうした意味でも凄い作品や」
 こうした話もしながらだった。
 一行は五人男との戦の後も先に進んでいった、塔はまだまだ続いていた。


第十四話   完


                 2023・2・15 
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