恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十九話 群雄、戦を終わらせるのことその五
そうしてだ。こう神に告げたのだった。
「しかしだ。俺を利用した貴様には死んでもらう」
「それ故にですか」
「ではいいな」
その剣呑な目をオロチに向けたままでの言葉だった。
「俺のこの炎、受けるのだな」
「くっ、このままでは」
右の拳は草薙に捉えられたままだった。離れることはできない。
そしてそこに八神が来てだ。彼は。
「楽には死ねんぞ!」
こう叫びだ。青から赤に変わった炎をだ。
それを一旦ゲーニッツの足下に出してだ。そこからだ。
もう一度炎を出してそこにぶつけて。紅蓮の炎の柱を出した。
ゲーニッツの動きがその炎の中で完全に止まった。そこに。
草薙はその左手をゲーニッツの拳から放しそこからだ。
「喰らいやがれ!」
大蛇薙ぎを放った。炎に包まれたゲーニッツは大きく吹き飛ばされる。
そしてそこに神楽が来てだ。
「貴方の力、封じます!」
光と共にだ。乱舞してだ。
己の渾身の気をだ。ゲーニッツに込めてだ。打ち込んだのだった。
三人の攻撃を次々に受けたゲーニッツはだ。完全にだ。
姿を消した。しかし声だけが残りだ。
三人にだ。こう言ってきたのだった。
「無念です」
「消されたことがだというのね」
「はい。この世界の過ちを正そうとしたというのに」
「貴方は最後の最後までわからなかったわね」
神楽は少し残念そうにだ。ゲーニッツと一体化しているオロチに返した。
「人のことも。世界のことも」
「人はこの世を害するものです」
まだこう言うゲーニッツだった。
「そしてだからこそ私は彼等を。貴方達を」
「その貴方に言っておくわ」
毅然としてだ。神楽はゲーニッツに告げた。声だけが残っている彼に。
「人は過ちを犯しても何時かは」
「何時かはですか」
「この世界をよりよくしていくわ。必ずね」
「信じられませんね」
「最初から信じてもらうつもりはないわ」
神楽はオロチの否定の言葉にも毅然として返す。
「けれどそれでも」
「人はですか」
「ええ、貴方の思う様にはならないわ」
こう言い切って見せたのだった。
「何があろうともね」
「どうでしょうか。しかし私は最早」
「倒させてもらったわ、完全に」
だからこそだというのだ。
「もう。この世に出ることはできないわね」
「はい、私は完全に滅びます」
声もだ。やがては消えるというのだ。
「これでお別れになります」
「なら。最後に言っておくわ」
神楽は空、ゲーニッツの声がするその方を見上げて彼に告げた。
「さようなら」
「お別れの言葉ですか」
「ええ、貴方と。それに」
「それに?」
「姉さんと。私達の因果に」
そういったもの全てにだ。神楽は別れを告げたのだった。
ゲーニッツは別れの言葉を言わなかった。言おうとしたのかそれとも最初から言うつもりはなかったのか。だがそのどちらにしてもなのだった。
彼は消えた。完全にだ。その声さえもだ。
それを見届けてからだ。草薙は言った。
「これで俺達の因果は完全に終わったんだな」
「ええ、家としてね」
「じゃあこれで自由か」
「血脈の因果はね」
それはだと述べる神楽だった。だが。
八神がだ。その草薙に言ってきたのだった。
「これで心おきなくだな」
「そうだな。戦えるな」
「貴様を倒すのは俺だ」
また草薙にこう告げるのだった。その八神はだ。
草薙の後ろ、少し離れた場所にいた。そしてだ。身体を草薙の背から見て横にしていた。
そこからだ。こう彼に告げたのである。
「俺以外の何者でもない」
「そうだな。そして手前を倒すのもな」
「貴様だな」
「元の世界に戻ればな」
「首を洗って待っていろ」
八神は告げた。
「そしてだ。俺以外の奴には倒されるな」
「へっ、妙な関係だな」
二人の関係についてだ。こうも言う草薙だった。
「だがな。その関係もな」
「受け入れているというのだな」
「絶対にケリはつけるぜ」
即ちそれはだった。
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