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ハッピークローバー

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第七十四話 自衛隊の後はその三

「けれどね」
「大鵬って言ってもね」
「私達その頃のお相撲知らないし」
「そう言われても」
「ピンと来ないわよ」
「それで最初の巨人よ」 
 一華はこれが問題とした。
「もうマスコミの宣伝とかでね」
「当時の子供は皆ファン」
「殆ど北朝鮮の洗脳みたいでね」
「巨人ファンばかりで」
「とんでもない状況だったのよね」
「学生運動やっても」
 革命だ何だと狂犬病の猿の様に喚いて暴れてもだ、狂犬病に感染している生きものは残念ながら殺処分するしかないが学生運動をしていた愚か者共は少なくとも生物学的に人間なのでそれは出来なかった。
「巨人大好き」
「そんな人多かったらしいわね」
「革命やっても巨人ファン」
「そんな人ばかりだったのよね」
「そんな状況で」
 戦後日本は長い間そうであった。
「皆いいことと悪いことの区別がつかなくなったのよ」
「巨人悪いことばかりしてるのに」
「そんな巨人が好きな人多いと」
「その本性知っても応援してるなら」
「自分達もことの善悪わからなくなるわね」
「そうしたことも考えたら」
 一華は口をへの字にして言った。
「巨人の正体を皆知ってね」
「応援しなくなって」
「お金がなくなって弱くなって」
「今みたいにずっとダントツ最下位ってね」
「いいことよ」
 今度は満面の笑みで語った。
「本当にね」
「その通りね」
「東京ドームいつもガラガラだし」
「三塁側ばかり人がいて」
「ビジターで三塁側人いないし」
「そんなのだとね」
「最高よ」
 一華は満面の笑みのままこうも言った。
「その頃とは逆に」
「カープが頑張ってるとね」
「それで強いとね」
「嬉しくなるわよね」
「阪神ファンとしても」
「そうだよ、努力は認められるものだよ」
 威勢のいい美人と言うより男前という感じの女が腕を組み言ってきた。
「何でもね」
「円地先輩もそう言われます」
「実際に思ってるからね」
 その女性バレー部の二年で体育科に所属している円地玲子は一華の問いに対して明るく笑って答えた。
「あたしもね」
「だからですか」
「結果はすぐに出なくても」
 それでもというのだ。
「努力はね」
「見るべきですか」
「結果が何時出るかなんてね」 
 それはというと。
「人にはわからないよ」
「そうなんですね」
「努力は確かにね」
「結果が出ますね」
「そうさ、けれど必死に努力しても」
 例えそうしてもというのだ。
「その時すぐに芽が出るか」
「そうとは限らないんですね」
「あたし馬鹿だけれどな」 
 玲子は笑ってこうも話した。 
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