| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

仮面ライダーAP

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

北欧編 仮面ライダーRC&レジスタンスガールズ 第9話

 
前書き
◆今話の登場ヒロイン

◆エメラダ・リンネア
 オーファンズヘブン解放戦線に参加している少女兵の1人であり、青紫系の瞳とゆるふわな黒髪のロングヘア、褐色肌が特徴の美少女。争いごとを好まない心優しい女性だが、歳下の少女達を守るために敢えて銃を取っている。使用銃器は壊滅した警官隊の遺品である、炸裂弾や硫酸弾を装填した射程強化型のM79グレネードランチャー。年齢は19歳。
 スリーサイズはバスト99cm、ウエスト60cm、ヒップ96cm。カップサイズはH。
 ※原案はエイゼ先生。

 

 
「触手が無数に分裂して……!? んっ、はぁあぁあうっ!? そ、そこはっ……!」
「やぁ、あぁあっ……! こ、このっ、離せぇえっ……!」
「ひぃいっ!? こ、こらっ、僕の柔肌にそんな滑った触手をっ……おほぉおっ!?」

 戦闘服の内側に滑り込み、その衣服に隠された極上の柔肌を隅々まで舐め回そうとする無数の触手。その不規則で厭らしい動きに、ニッテ達は生理的嫌悪感を露わにして、必死に身をよじって抵抗する。無数の触手を操るプロトタイプγは、その抵抗すら楽しんでいるかのようだった。

 戦闘員達を一瞬で殺した時とは違い、今の触手はニッテ達を敢えていたぶるかのような挙動で、その扇情的なボディラインをなぞるように這い回っている。柔肌を直接、執拗になぞられる悍ましい恐怖が、彼女達を襲っていた。

「あ、あわわわぁあっ! た、大変だあぁあっ! お姉ちゃん達がぺろぺろされてるよぉっ!」

 ただ全員ではなかったらしく、あまりに小柄なため脅威にならないと思われたのか、アロマやリエリスのような幼女達は放置されている。
 リエリス達は大慌てでちょこまかと駆け回りながら、どうにかニッテ達を救出出来ないかと右往左往しているのだが、非力な彼女達ではナイフで触手を斬ることも出来ない。空中に持ち上げられているニッテ達の身体も不規則に揺さぶられているため、銃で攻撃しようとしても誤射の危険性が付き纏う。

「リエリス、早く逃げて! コイツに捕まったら……んぉほおっ!? ま、まさかそんなところっ……!? や、やめて、そこはダメぇ、絶対ダメだからぁあっ!」
「ニ、ニッテお姉ちゃんっ! ど、どどどどうしよ〜っ!」

 そうしている間にも、戦闘服の内側に滑り込んだ触手は粘液を塗り付けるかのように、ニッテ達の柔肌を隈なく這い回っている。とうとうその先端部は、彼女達のブラジャーやパンティにまで伸びようとしていた。下着の「裏地」にじっとりと染み込んだ特濃の匂いに、本体も触手も興味津々のようだ。

「はぁあうっ!? そ、そんなところにまでっ!? や、やめろっ……やめろぉおおっ!」
「いっ、やぁあ、あぁああっ……!」

 悍ましい触手に貞操まで狙われていることに気付き、処女(バージン)達の悲鳴がこの一帯に響き渡って行く。ねっとりと柔肌の上を這う触手はついに、下着の隙間にまで入り込もうとしていた。むっちりとした安産型の桃尻を、生殖能力を宿した触手が虎視眈々と狙っている。極上の「雌」を求める「雄」としてのごく自然な欲求が、その蠢きに現れていた。

 ――だが、そんな時であろうと。触手の粘液を全身に塗り付けられ、貞操を脅かされながらも、武器を手放すことなく反撃の機会を伺い続ける者達がいた。

「妹同然の子達に……よくも、こんな酷い真似をしてくれたわね。……お姉さん、ちょっと本気で怒っちゃったわ」

 そのうちの1人である褐色肌の爆乳美女――エメラダ・リンネアは、柔和な青紫の瞳をスゥッと細め、M79グレネードランチャーの銃口をプロトタイプγに向けている。警官隊の遺品を独自にチューンナップして射程を強化している彼女の愛銃は、青緑の怪人を確実に捉えていた。

 ゆるふわな黒髪のロングヘアを靡かせ、首に掛けた銀色のロザリオを揺らしている彼女は、白のYシャツの上に茶色のジャケットを羽織り、青系のジーンズや茶色のブーツを履いている。
 その内側に隠された褐色の肌は今、ぬるぬると蠢く触手に這い回られていた。Hカップの爆乳や、60cmのくびれたウエストに反した96cmの巨尻をはじめとする、彼女の美しく豊穣な柔肌全てが今、触手に舐め回されそうになっているのだ。

 自身がそのような状況だというのに、彼女はそれでも自分の貞操より、妹分である他のメンバー達のために怒っているのである。
 だが、決して自分の純潔を軽んじているわけではない。それを捧げたいと想う相手がいるからこそ、エメラダは静かな怒りに燃えているのだ。

(……いつか「あの人」に、もう一度会う時まで……私は、絶対にっ……!)

 ――半年前に起きたエンデバーランド事件。エヴァと同様にその現場に居合わせていた当時のエメラダも、ノバシェードの戦闘員達には歯が立たず、豊満な肉体を組み敷かれ貞操を穢されそうになっていた。
 そこに颯爽と現れ、戦闘員達を蹴散らしてエメラダの窮地を救ったのは――ヘレン・アーヴィングに出逢う直前の「仮面ライダータキオン」こと、森里駿(もりさとはやお)だったのである。

 専用のバイクを巧みに乗り回し、黒のロングコートを靡かせて、嵐のように戦い風のように去る。そんなタキオンこと駿の逞しい背中に、強い雄を欲する女の本能を呼び覚まされたエメラダは――それ以来、1日たりとも彼の背中を忘れたことがなかった。

 もう一度彼に会いたい。あの仮面の下に隠されている、本当の顔を知りたい。本当の名前を、素顔を知りたい。その人柄も、過去も、全て。
 「仮面ライダー」の1人であること以外は、何も分からない。だからこそ激しく燃え上がる恋心に、人知れず身を焦がして。エメラダは今に至るまでずっと彼を想い、熟れた肉体を持て余す日々を過ごしていたのである。いつも母性的で穏やかな彼女が、裏ではそんな情熱的な恋に燃えていることなど、解放戦線の少女達には知る由もない。

「許せないのよ……あなたのような輩は、特にッ!」

 そんなエメラダにとって、自分や妹分達の命や貞操を脅かす存在は、例えどれほど強大な敵であろうとも決して許すわけには行かないのだ。全身を触手に絡め取られながらも、彼女は強引にM79を構え、プロトタイプγに一矢報いようとしている。

「……あはぁうっ!?」

 だが、その前に。M79の銃口が自分に向けられていることに気付いたのか、怪人の触手はエメラダのブラジャーに触れ、その「隙間」に潜り込もうとしていた。ジーンズの下に隠されていたTバックのパンティも、絡み付いてきた触手にずり下ろされそうになっている。このままでは、安産型の褐色巨尻も触手に狙われてしまう。
 その感覚に短い悲鳴を上げるエメラダだったが、それでもM79は決して手放さない。柔肌に触れられた感触に眉を顰めながらも――彼女は動じることなく、引き金に指を掛けるのだった。

「……んっ、くぅうっ……!? ちょっと、おいたが過ぎるわね……! いい加減に……くたばりなさいッ!」

 次の瞬間、エメラダのM79が火を噴き――その銃口から発射された硫酸弾が、プロトタイプγの顔面に命中する。その弾頭から飛び散った強力な硫酸が、怪人の生体装甲を溶かし始めていた。青緑の外殻がどろどろに溶け落ち、その下の内部組織が剥き出しになって行く。

 プロトタイプγの弱点は、フィロキセラタイプの怪人としてはあまりに脆弱な生体装甲にある。それでも通常兵器に対してはある程度の耐性もあったようだが――硫酸によってその装甲も溶かされてしまえば、無防備な内部組織を守るものはもう何もない。

 炸裂弾を何発撃ち込んでも怯まないのなら、まずは硫酸弾でその「鎧」を排除する。そのエメラダの読み通り、苦悶の声を上げてのたうち回るプロトタイプγは、完全に隙だらけになっていた。

「でかしたエメラダッ! ……よくも好き放題に弄んでくれたな、この化け物がッ!」

 ならば、この好機を逃す手はない。その一心でステアーAUGを構え直した朔夜は、返礼と言わんばかりの弾雨を浴びせていた。
 褐色の柔肌を這い回る触手の感覚に苛まれ続けて来た彼女は、積もりに積もった怒りをここぞとばかりに爆発させている。誰にも触らせたことなどなかったFカップの乳房に残る粘液の感触が、その怒りを倍増させていた。

「爆ぜて死ね女の敵ッ! 粉々になりなぁあッ!」
「……皆をいたぶってくれたお礼だよ、ありがたく受け取りなッ!」

 無論、怒り狂っているのは朔夜だけではない。リリエラのM203グレネードランチャーも、ここぞとばかりに火を噴いている。そんな彼女の傍で触手に絡め取られていたカミラも、怒りを露わにしてサコーM75フィンライトを撃ち続けていた。

「今度こそ完全にくたばりなさいッ……! このッ、ド変態クソ野郎ぉおおッ!」

 触手に囚われてもなお愛銃を手放さず、虎視眈々と反撃の機会を狙い続けていた彼女達4人は、ここぞとばかりに集中砲火を浴びせて行く。やがて、ニッテをはじめとする他のメンバー達もその猛攻に加勢し、全員の火力を叩き込む一斉射撃が再開されていた。硫酸弾によって装甲を溶かされ、グロテスクな内部組織を剥き出しにされた怪人の全身に、銃弾と榴弾がこれでもかと撃ち込まれて行く。
 生体装甲を失って力尽きたプロトタイプγが完全に沈黙したのは、それから間も無くのことだった。それに伴って触手も自然に消滅し、ニッテ達はようやく滑った触手から解放される。

「はぁっ、はぁあっ、んはぁあっ……!」
「た、助かった……! もう最悪、ほんっと最悪……! 戦闘員どころかブラもパンティも、コイツの粘液でびっしょびしょじゃんっ……!」
「ただでさえロクにシャワーも浴びれてないってのにっ……! 殺す、マジで殺すっ!」
「もう死んでるでしょ、諦めな」

 絶命後、機密保持のため死体を残すことなく溶解して行く青緑の怪人。その最期を見届けた解放戦線の女傑達は、艶かしく息を荒げて肩と乳房を上下に揺らしていた。全身に滲む濃厚な匂いの汗が、肌に纏わり付いた粘液を落としている。戦闘服の下に隠されている蠱惑的な下着にも粘液を塗り付けられてしまっていたらしく、その滑った感覚に女傑達は揃って眉を顰めていた。

 気色の悪い怪物の触手に身体中を舐め回され、下着にまで粘液を塗りたくられる……という人生最悪の体験をしてしまった彼女達の多くは、諸悪の根源たるプロトタイプγに激しい憎悪を向けている。だが、その当事者である怪人のボディはすでに泡と化し、彼女達はこの怒りをぶつける先を見失っていた。

 ――だが、それは一時的なものに過ぎない。彼女達はその後すぐに、この住宅街を抜けた先にある市長公邸の方角へと視線を向けていた。
 怒りの矛先に困る必要などないのだ。その憤怒は全て、このテロを引き起こしたノバシェードにぶつければ良いのだから。

「……かなり手こずったが、ようやく制圧完了だな。まさか、フィロキセラタイプまで出して来るとは思わなかったぞ……。銃弾を凌げない程度の装甲だったおかげで命拾いしたな、ニッテ」
「そうね。……でも、予定よりもかなり遅れてしまったわ。何とか取り返さないと、市長公邸に辿り着く前に警備を固められてしまう」
「あぁ、急がなくてはなるまい。……皆、私達に立ち止まっている時間はないのだ! そんなクズに構っていないで、直ちに出発するぞッ!」

 その一心の下に集まった女傑達が纏まって行く様子を見守りながら、ニッテとヴィクトリアは深く頷き合い、仲間達に出発を指示する。
 プロトタイプγの出現によって戦闘が長期化してしまった上、その怪人を倒すためとはいえ派手に暴れ過ぎてしまった。それに加えて、思わぬ「拘束」で悲鳴まで上げてしまったのだから、これまでのような潜入行動は今後難しくなる。事態を把握したノバシェードが警戒を強化する前に市長公邸に向かわなければ、救出の機会が失われてしまうだろう。急がねばならない。

「行こう、皆。まだ……終わりじゃないわ」

 これまでの怒りは全て、この先に待ち受けているノバシェードの残存戦力に注ぎ込めば良い。オーファンズヘブンの未来を賭けたこの戦いはまだ、始まったばかりなのだ。
 その意図を込めたニッテの言葉を耳にしたメンバー達は、それぞれの愛銃に次の弾薬を再装填(リロード)しながら、渋々とリーダーの後に続くように歩き出して行く。中には去り際に、プロトタイプγが消えた後に残った泡を踏み付けている者もいた。

「……」
「どうした?」
「いや……あいつら(・・・・)、ちゃんと無事にこの街を出られたのかな……って」

 そんな中。物憂げな表情で先頭を歩くニッテの横顔を覗き込み、エヴァが小首を傾げる。彼女に声を掛けられたニッテは、後ろ髪を引かれるような貌で、避難民キャンプの廃ビルが在る方角に視線を向けていた。
 解放戦線にとって、今は猫の手でも借りたいほどの苦境だというのに。それでもニッテは、異邦人達をこの戦いに巻き込みたくないという優しさで、新世代ライダー達を遠ざけようとしていたのだ。

「……全く。どこまでもお人好しなリーダーですね。まぁ、そんなニッテだから皆も付いて来てくれるんでしょうけど」
「ふっ。創設当初からニッテのことが心配だからと、仲間集めに奔走していたレンが言うと重みが違うな?」
「ちょっ……ヴィクトリア、余計なことは言わないでくださいっ!」
「そう言うヴィクトリアだって、ニッテが解放戦線の活動資金に困った時は、実家のへそくりを叩いてたじゃないか。ファルツ家の数少ない遺産を、さ」
「う、うるさいぞエヴァ! 私はファルツ家に名を連ねる者として、ノブレス・オブリージュを完遂しただけだっ!」

 ニッテの優しさに惹かれ、集まり、解放戦線を纏め上げてきた主力メンバー達はきゃあきゃあと言い合いながら歩みを進めている。
 後方を進む他のメンバー達が生暖かくその様子を見守る中、ニッテは微笑を浮かべて愛銃を握り締めていた。

(うん……大丈夫。このメンバー達なら、きっと……いえ、絶対に大丈夫。あいつらの力に頼らなくたって、私達なら必ず市長を救い出せるわ。私は、そう信じてる)

 それが如何に甘い考えであるかなど、知る由もなく――。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧