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仮面ライダーAP

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特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第4話

 
前書き
◆今話の登場怪人

速猟豹風(はやかりひょうか)/タパルド
 戦後、イギリス軍兵士と日本人女性との間に産まれたハーフの女傭兵。現在は徳川清山が運営する傭兵会社に所属しており、タパルドと呼ばれる怪人として戦っている。当時の年齢は26歳。
 ※原案はただのおじさん先生。

間霧陣(まぎりじん)/カマキリザード
 山城の元部下に当たる神風特別攻撃隊の生き残りであり、戦後の日本に馴染めず連続殺人事件を起こし、死刑判決を受けた元脱獄囚。現在は徳川清山が運営する傭兵会社に所属しており、カマキリザードと呼ばれる怪人として戦っている。当時の年齢は48歳。
 ※原案は神谷主水先生。
 

 

「……総員、攻撃開始。お望み通り、1人残らず仲間達の元へ送ってやれ」

 人の心を捨て、羅刹に落ちた人間兵器――改造人間の傭兵(サイボーグ・マーセナリー)
 その群れが動き出したのは、彼らの背後に立つエインヘリアルが「突撃」を命じた瞬間であった。

 首魁の徳川清山、実戦リーダーの羽柴柳司郎に次ぐ、組織の「No.3」である彼の指示に応じて動き出した怪人達は、各々の「異能」を駆使した殺戮を開始する。

 それは、国防軍の所業に対する「意趣返し」でもあった。
 無辜の村民を虐殺した彼らに対する、然るべき「報い」を実現させる。ただそのためだけに、彼らはその異能を振るうのだ。

「は、速いッ! この女、速過ぎるッ! 弾が……弾が当たらないッ!」
「……遅いねぇ。呆れるほど遅い。あんた達、当てる気あるわけ?」

 チーターを模した生体装甲で全身を固めた、獰猛な女傑――タパルドこと、速猟豹風(はやかりひょうか)
 突撃銃の弾雨を掻い潜り、目にも留まらぬ速さで歩兵達の懐に飛び込んだ彼女は、手足の鉤爪で彼らの肉体を矢継ぎ早に切り裂いて行く。

「ぐぎゃあぁあッ!?」
「殺し合わなきゃ生きて行けないような世界に居る奴らが……『外』の連中を巻き込むんじゃあないよッ!」

 ミサイルイナゴ――橋部一雄と同じく、戦後に生まれた混血児である彼女は、その日本人離れな美貌故に謂れなき差別に晒され、居場所のない人生を過ごしてきた。

 そんな彼女が独りで生きて行ける場所は、人種など問われない力だけの世界にしか無かったのである。
 そうして傭兵となり、改造人間となった彼女だからこそ――謂れなき者達を戦火に巻き込んだ国防軍が許せなかったのだ。

 だが、いかに改造人間と言えども少人数で大勢の歩兵に挑むからには、多少の被弾は避けられない。すれ違いざまに兵士達の首を刎ね飛ばしたタパルドは、着地に伴う減速の瞬間を狙われ、一斉射撃を浴びてしまう。
 それでも、彼女の生体装甲には傷一つ付かない。その頑強さに痺れを切らした1人の兵士は、勢いよく銃床で彼女の背を殴打する。

「ぐおッ……!? こ、この女の鎧は……ぐはぁッ!」
「……汚い手で私に触らないで。『痛い目』に遭うだけだから」

 しかし、その一撃は通ることなく――逆に衝撃を跳ね返され、大きくよろけた隙に斬り付けられてしまうのだった。
 タパルドの鎧は反応装甲(リアクティブアーマー)に類する機構も兼ね備えている。生半可な打撃は、逆効果となるのだ。

「得意とする接近戦に持ち込んでおいて……背後を取られるとは何事だ、速猟。油断するなよ、速さに特化したお前の装甲は俺達の中では『最弱』なのだからな」
「……ふん、言われなくたって分かってるわ。あんたこそ、さっきから何発も食らってるじゃない。少しは避ける努力もしたらどうなの?」
「俺は良いんだ、お前ほど脆弱な装甲ではないのだからな」

 そんなタパルドの「油断」を嗜めているのは、2足歩行のオオトカゲを想起させる凶悪な面相の怪人――カマキリザードこと、間霧陣(まぎりじん)であった。カマキリのような刀状になっている彼の両腕は、暗夜の中でも妖しい輝きを放っている。

「……そうだな? 山城大佐」
「あぁ。……お前は昔から、実にしぶとい男だった」

 神風特別攻撃隊の生き残りであり、山城一の部下でもあった彼は、戦後の日本に馴染めず連続殺人事件を起こした死刑囚でもある。
 死に場所を求めていた山城と共に徳川清山に拾われ、改造人間の傭兵(サイボーグ・マーセナリー)となった彼は、変わり果てた姿で「戦争の続き」を堪能している。

「ひぎぁああッ!」
「無抵抗の相手を殺しておいて、悲鳴だけは一丁前だな。……お前達のような輩は、いい加減殺し飽きたぞ」

 戦後の混乱に乗じて弱き者達を食い物にしてきた、法で裁けぬ悪人達。そんな者達ばかりを次々と殺して来たカマキリザードにとっては、この兵士達も「同類」であった。

 タパルドを遥かに凌ぐ強靭な外皮は、突撃銃の弾丸を何百発浴びてもかすり傷一つ付いていない。
 彼はその弾雨を中を悠然と闊歩し、外観とは裏腹な機動力を活かした踏み込みで、一気に間合いに飛び込むと――両手の刃で、次々と兵士達を斬り伏せて行く。

「……ふん。それにしてもティーガーIとは、また随分と懐かしい代物を持ち出して来たものだな」

 歩兵達を細切れに切り刻んだカマキリザードは、第2次大戦時から運用されている旧ナチスの重戦車――ティーガーIの現地改修車を「鹵獲」していた。どうやら、ケルノソウルの火炎放射にも耐えられる戦車が1台だけ残っていたらしい。

「だが、ソコロフの炎にも耐える防御力については申し分ない。……俺達が『有効』に使ってやろう」

 ――国防軍が保有する装備としては最も上等な戦車であるそれは、後に羽柴柳司郎が搭乗する「タイガーサイクロン号」の基盤となる、悪夢の原石であった。
 
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