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星河の覇皇

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第八十三部第四章 戦線崩壊その四十二

「他の提督達がだ」
「ティムール軍を攻め」
「そして勝つ」
「そうしていくのですね」
「シャイターン主席に誰も勝てないなら」
 それならばというのだ。
「足止め出来る者が足止めをしてだ」
「そしてですね」
「その間に他の提督が率いる軍で敵軍を攻め」
「そして勝つ」
「そうしていくのですね」
「しかもティムール軍は既に数では劣勢にある」
 このこともだ、アッディーンは指摘した。
「シャイターン主席に向かう私の直率戦力は第一軍だけでいい」
「閣下ご自身が率いられる」
「その軍だけで宜しいのですね」
「そして他の軍で」
「ティムール軍を攻めていきますか」
「そうだ、ティムール軍を破り」
 シャイターンが率いていないティムール軍をというのだ。
「そしてティムールの星系もだ」
「掌握していきますね」
「その都度」
「そうもしていきますね」
「それが私のこれからの戦略だ」
 ティムールとの戦争のというのだ。
「いいな」
「敵軍最強の戦力を足止めし」
「その間にこちらは勝利を稼いでいく」
「そして最後はですね」
「敵の戦力を」
「完全に奪うティムールにはシャイターン家がいるが」
 優れた者が多いこの一族がというのだ。
「しかしオムダーマンには私と優れた司令官達、参謀達がいる」
「はい、そうしてです」
「我々はこれまで勝ってきています」
「西方統一、南方攻略、ハサンとの戦争においても」
「そして今この戦争においても」
「彼等はシャイターン主席には流石に太刀打ち出来ないが」
 天才的な采配を見せる彼にはというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「ティムール軍の軍司令達には勝っている」
「左様ですね」
「そうだ、だからだ」
 それ故にというのだ。
「ここはだ」
「閣下ご自身がですか」
「シャイターン主席と戦われる」
「そしてその間に」
「他の提督の方々が勝たれれば」
「問題はない、二十戦してだ」
 そうしてというのだ。
「一引き分けで他は勝利だったとする」
「圧勝ですね」
「十九勝です」
「敵はかなりのダメージを受けています」
「惨敗と言っていいまでに」
「そうだ、だからだ」
 それ故にというのだ。
「ここはだ」
「それを目指しますね」
「シャイターン主席の軍以外に勝利を収める」
「その様に」
「シャイターン主席の弟殿達も優れている」
 アブーとフラーム、彼等もというのだ。
「事実な、そして提督達もだ」
「決して無能ではありませんね」
「むしろ標準以上の資質の御仁ばかりです」
「無能な者がサハラで軍司令までなれるか」
「その途中で戦死するのがオチですのね」
「誰もが優秀だ、しかしだ」
 それでもというのだ。 
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