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ドリトル先生と山椒魚

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第六幕その十二

「そうしたものばかり食べることはね」
「よくないですね」
「そうだよ、誰が何を食べてもいいことはいいことでも」
「栄養バランスは考える」
「そうすべきだよ、あと日本の立場がある人は基本質素だね」
 先生は激辛の焼きそばのその辛さを味わってでした、そうしてから梅酒を飲んで両方を楽しんでから言いました。
「おおむね」
「そういえばそうだね」
「お食事はかえって栄養バランスが心配になるレベルで」
「贅沢三昧なんてね」
「ないよね」
「そうだね、ないね」
 実際にと皆に言います。
「皇室になると」
「凄いよね」
「驚く位質素で」
「何処かの国の独裁者と大違いだね」
「日本では皆質素だよ」
「ああいうのを清貧と言うんだね、立場があるからこそ身を慎む」
 そうするというのです。
「いいことだよ、むしろ日本では立場ある人が贅沢に耽ると」
「よく思われない」
「そうした国だね」
「普通の人が遊んでもいいけれど」
「立場ある人も多少ならいいけれど」
「贅沢に耽るとね」
「それは品がないとも思われるんだ」
 立場ある人が贅沢に耽ると、です。
「江戸時代のお殿様だってそうだったし」
「というか江戸時代の藩って殆どお金なかったしね」
「幕府だってね」
「幕府の歴史って二百六十四年あって百五十年は赤字の話ばかりだったし」
「贅沢なんてね」
「維新の人達もね」
 この時代の人達もというのです。
「伊藤博文さんなんてね」
「ああ、あの人ね」
「もう衣食住適当過ぎて」
「周りが驚く位だったし」
「山縣さんはお家には凝っても」
 それでもというのです。
「あくまでだよ」
「生活は質素だったんだね」
「贅沢なんて好きなだけ出来る立場でも」
「そうした暮らしだったんだ」
「お食事なんかね」
 それこそというのです。
「あまりにも質素だってね」
「言われる位だったんだ」
「好きなものを食べられても」
「それでも」
「その伝統が今もあってしかも忙しいせいか」 
 それでというのです。
「日本の立場ある人はね」
「インスタントとか冷凍食品が多くて」
「かえって栄養バランスが心配になる」
「そうなのね」
「そうなんだ、幾ら忙しくてもバランスよく食べて欲しいね」
 先生は心から思いました。
「贅沢に溺れないことはいいことでも」
「そうだよね」
「ちゃんと食べて欲しいね」
「何とかね」
「そうして欲しいね」
「うん、けれどインスタントも程々ならいいよ」
 今も焼きそばを食べつつ言います。
「それもまたね」
「そういうことだね」
「じゃあ今はインスタントの焼きそばを食べて」
「そのうえでだね」
「梅酒を楽しむよ」
 言いつつそちらも楽しみます、先生はインスタントの焼きそばも食べて梅酒も飲んで楽しむのでした。 
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