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ガラスの靴のないシンデレラ

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第二章

「予想していたのと全然違ったわ」
「どう違ったのかな」
「いや、まずね」 
 美帆は宮田と一緒にテーブルでワインを飲みつつ話した、つまみはナッツ類にサラミにチーズである。
「継母じゃなくて継父で」
「義姉二人はいてもね」
「三人共憎めなくて」
「愛嬌あったね」
「それでカボチャの馬車も鼠の御者も出なくて」
「魔法使いもね」
 宮田も飲みながら応えた。
「出ないね」
「王子様は出てもね」
「王子様の周りがいい活躍して」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「ガラスの靴もね」
「出ないね」
「いや、あんなシンデレラあるのね」
 美帆はワインを飲んで赤くなった顔で言った。
「想像していなかったわ」
「僕も最初そのあらすじ読んだ時はこんなのあるんだって思ったよ」
「シンデレラで」
「実はシンデレラって世界中にああしたお話あるし」
「そうなの」
「そうした作品の一つが童話のシンデレラで」
 それでというのだ。
「別にああでもね」
「いいのね」
「そうみたいだよ、歌劇の方はやっぱり童話を元にしていても」
 そのことは事実でもというのだ。
「ああしたシンデレラもある、それで面白かったよね」
「あらすじも音楽もね」
 美帆は純粋な笑顔で答えた。
「名作だったわ、歌手の人達もよかったしね」
「日本のオペラ歌手もいいよね」
「そう思ったわ、またあの作品はね」
「観たいかな」
「そうしたいわ、ああしたシンデレラもあることは」
 また言う美帆だった。
「覚えておくしね」
「そう、ガラスの靴とかがなくてもね」
「シンデレラはシンデレラね」
「そうなんだよ」
 宮田は笑顔で言った、そして暫く経って彼女にハイヒールをプレゼントした、この時彼はこんなことを言った。
「ガラスの靴でなくていいかな」
「そんなシンデレラもいるでしょ」
 これが美帆の返事だった、そしてそのハイヒールを笑顔で履いたのだった。


ガラスの靴のないシンデレラ   完


                    2023・4・18 
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