星河の覇皇
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第八十三部第四章 戦線崩壊その三十六
撤退に移る彼等も食事を摂った、戦闘中でも食事は必要なことであり彼等はその食事をしかと摂りいざという時に備えていた。
だがティムール軍の撤退は容易ではなかった、それでだった。
ある艦隊司令は苛立ちを感じて言った。
「よりだ」
「はい、防衛施設の将兵の収容は終えました」
「物資の収容も」
「それならですね」
「これより」
「撤退だが」
それでもというのだ。
「急ぐのだ」
「はい、それでは」
「今よりですね」
「艦隊の動きを速め」
「そのうえで」
「撤退に移るのだ、遅い」
司令はこうも言った。
「さもないと撤退出来なくなるぞ」
「承知しております」
「では今はです」
「何とか撤退まで持ち込みます」
「この状況でも」
「そうします」
「そうするのだ、出来るだけ多くの者がだ」
将兵達がというのだ。
「撤退する様にするぞ」
「承知しておりますが」
「しかし敵も肉薄しております」
「今撤退に移ってもです」
「中々容易ではないかと」
「まずは艦の向きをそのままにしてだ」
艦隊のそれをというのだ。
「間合いを離す、そしてだ」
「それからですね」
「一気にですね」
「艦の向きを変え」
「そしてですか」
「そうだ、全速力で撤退するのだ」
そうするというのだ。
「いいな」
「既に他の艦隊もそうしています」
「ではですね」
「我々もですね」
「そうする、今この宙域にいるのは当艦隊だけだ」
このこともだ、司令は話した。
「他艦隊はいない、ならだ」
「尚更ですね」
「もうここは、ですね」
「撤退しますね」
「それに移りますね」
「他の艦隊がいれば当然だ」
その場合はというと。
「彼等の援護をしてだ」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「撤退に移りますね」
「そうしますね」
「そうするが」
しかしというのだ。
「幸か不幸か最初から今までだ」
「この宙域にいるのは我が艦隊だけです」
「それならですね」
「この度はですね」
「撤退に移りますね」
「用意が出来次第」
「そうする、そしてだ」
そのうえでというのだ。
「いいな」
「はい、生き残りますね」
「何としても」
「そうしますね」
「死ねば天国に行ける」
司令もこの言葉を出す。
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