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ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~

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SAO:アインクラッド~神話の勇者と獣の王者~
  2つのユニークスキルを持つ男(前編)

 
前書き
 今回はほぼオリジナル話です。 

 
 七十四層の迷宮区を出ると、浮遊城の外では太陽が沈み始め、アインクラッド第七十四層は夕焼けに包まれてオレンジに輝いていた。

「いや~疲れた疲れた!」
「とーぜんよ。突っ走りすぎなのよセモンは。七十五層のアクティベートの時に出てきたモンスター、全部一人で倒しちゃったじゃない」
「いいじゃん別に。結果的に早く着いただろ?」
「まぁ……そうだけど……」

「キリト、調子はどうだ」
「ああ……大分戻ってきた。今ならモンスターが出てきても倒せそうだぜ」
「もう……無理しないでって言ったでしょ」

 キリト達は七十四層の主街区を目指して歩いていた。今後のために、転移結晶を少しでも温存するべく、主街区に設置された転移門を使うためだ。

「それにしても、何か静かだな。もうちょっとモンスターとか出てくるかと思ったんだが……」
「そうよね……。下位のリザードマンくらい出てもおかしくないのに……」

 セモンとコハクが、どこか警戒したように言う。

 直後。

 キャリィンッ!!と涼やかな音を立てて、地面に奇妙な物体が突き刺さった。

 大きさは大人の貫手ほど。純白のプラスチックめいたプレート。包丁の様に先細りになっている。

 そして、その輪郭を、緑色のクリスタルの様な、半透明の刃が覆っていた。

 ――――投剣。それも、みたことの無い種類の。

 だが、セモンを始める《聖剣騎士団》のメンバーには動揺が走った。

「な……!?これって……」
「うそ、でしょ!?なんで、なんでこんなところに!?」

 ハザードは剣が飛んできた方向をにらむと、叫んだ。


「出てこい!!そこにいるんだろう!!何のつもりだ!!」


 ハザードの声は虚空に消え、直後……


「あははははは!!あっはははははははははは!!さすがだねハザード!!僕を見つけられるようになったんだね!?前は気配にすら気づいてなかったってのに!!あはははははは!!」

 そして、崖のうえの森林から、その男が飛び降りる。


 金色にもにたオレンジ色の髪の毛。傷のようなものでひきつった顔。両目は意地悪そうに輝いている。

 背中には二本の大剣が、クロスされて吊られている。

 そしてそのカーソルは……毒々しいオレンジ。

「シャノン……!!」

 セモンが忌々しげにその名を呼ぶ。

「やぁセモン、ハザード、コハク。それにそっちは《閃光》アスナさんに《二刀流》使いの《黒の剣士》キリト君だね」
「な……その名前を……!?っていうか、何でユニークスキルの事……」

 《黒の剣士》。

 かつてキリトにつけられていた二つ名。それは最強の剣士の称号だった。

「ん?ああ、何でユニークスキルのこと知ってたか?ボス戦、観てたんだよ。君がこの名で呼ばれてた頃から興味があったんだよね~。ホントはギルドに誘おうかと思ったんだけどさ。僕らのギルドはユニークスキル使いだけって決めてたから。正直、君が《二刀流》を手に入れることができたという事実に驚いている」
「……その口ぶり、ユニークスキルの出し方を知ってるみたいだな」

 キリトが鋭く指摘すると、シャノンは肩をすくめて薄く笑った。

「まさか。僕だってそんなにカンがいいわけじゃない……それよりさ、関係ないんだけど知ってるかい?今のポーズ。ほら、肩をすくめて薄く笑うっていうやつ。あれ、アーサー王の息子のモードレッドが広めたらしいよ。『グヴィネヴィア王妃に対する遠回しの罵倒』だってさ」
「は……?」
「ほんとに関係ないな」

 突然の本当に関係がない話にあっけにとられる一同。

「いや~ホントすごいよねモードレッドって。彼には父親のアーサー王ほどの王の器は備わってなかったけどさ。人を洗脳したり自分の仲間に引き入れたりする『指導者』としての器はきっとアーサーより高かったよね」
「そこまでにしてもらおうかシャノン」

 ぎゃりん、と音が立って、ハザードがシャノンに漆黒の大剣を突きつける。

 キリトが初めて見る、ハザードの武器。その大剣は、半透明に透き通っていた。

「《バステトズ・プレシャス》……まだそれを使っているのかい?ハザード」
()()にはガタが来ちまったからな。こいつは二代目……《バステトズ・プレシャス/ブレード》だ」
「へぇ……名前を引き継ぐ、なんて機能があるんだね。僕の剣もそろそろ新調しようかな。当然インゴットは再利用で――――っておおう!?」

 ハザードだけでなく、セモンまでもが《草薙の剣》を構えてシャノンの首にあてがう。

「何をしに来た!!今更……今更何の用だ!!」

 シャノンはにやりと笑うと、簡単だよ、と言った。

「キリト君と、デュエルがしたい」
「な……?」
「もちろん、デュエルじゃない殺し合いでも大歓迎だよ。だけどさ、キリト君も死にたくないでしょ?僕も死にたくないし?だったら半減決着でさっさと勝負決めた方がよくない?」
「いや……そうじゃなくて……」

 キリトは話がつながらないことにいら立ち始めていた。

「なんでキリトとデュエルがしたい」

 代わりにハザードが問う。

「ああ、そういうこと。簡単だよ。《二刀流》がどれだけ強いのか知りたい。誰だって新しいものに興味はあるよ」

「キリト君、駄目だよ。無理しちゃ………」
「――――分かった。デュエルだ」

 すると、セモン達が息をのむ。

「本気なの!?キリト!」
「おいおい……」

 コハクとセモンが口々に言う。

「俺も、あんたの実力が見てみたいからな」
「決まりだね。じゃあ勝負だ。僕の……《太陽剣》と《帝王剣》と、君の《二刀流》の」


 シャノンが宣言通り、ウィンドウを操作する。キリトの視界に、【Syanonnからデュエルを申請されました。受諾しますか?《Yes/No 》】の表示。《Yes》を選び、決着オプションは《半減決着》を選択。

 キリトが武器を構えると、ハザードがキリトに耳打ちした。

「キリト、気をつけろ。あいつには……ノーダメージでは勝てない。いかにして受けるダメージを少なくするかを考えろ」
「え?」


 直後。

 
 《デュエル!!》の文字が、閃いた。 
 

 
後書き
 ちょっと書き換えました。 
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