【魔法少女リリカルなのは】魔導師を辞めた高町家の男
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一話 出会い
前書き
隼人のパパ生活、始まります。
地球の海鳴市に戻ってきてだいぶ時間が経った。
その間に、久しぶりに姉の高町桃子に会ったり、姉の子供たちと遊んだりした。
結構、可愛い子ばっかりでよかった。
姉の桃子はお腹の中に三人目の子供を身ごもっており、もう少しで生まれるとのこと。物凄く楽しみだ。
それだけではないぞ。
俺は、使い道がなかった今までの給料を殆ど、ある事に使ったのさ。
それは、駅前の商店街に三階建ての一軒家を買ったのだ。更に、一階を大改造して、喫茶店にしてみた。
何故、そうしたのかと言うと、地球に帰ってきたのは良いが、甥達と遊ぶ事しかなかったので、人の役に立ったり、満足させたりする事ができるような事を探してみれば、喫茶店を開いてはどう?と姉の家族に言われて、そうすることにした。
料理を作るのは得意だったし、そんなに問題はない。
ケーキとかも、こつこつと練習していたら、我流のケーキが次々と完成していった。
今では、海鳴市では誰もが知っている喫茶店で有名な『翠屋』となった。
近くに、小・中・高の学校があり、学校や部活帰りの生徒さん達はみんな常連さんになった。
まさか、男一人の喫茶店がここまで人気になるとは思ってもいなかったよ……。
「お兄さーん!注文お願いしまーす!」
店に来てくれた学校帰りの女子生徒さん達に呼ばれたので行く。
「ご注文は何でしょうか?」
「え、えっとぉ……チーズケーキが四つとオレンジジュースも四つでお願いします」
「畏まりました、少々お待ちください」
言われた注文をすぐにカウンターを抜けて厨房へと入り、言われた品を全部一気に先程のグループへと持っていく。
「ねぇねぇ、何時見てもカッコイイよね!」
「うんうん、私あの人なら私の初めt」
「言わせないよ!!てか言っちゃダメだよ!!」
「イケメンのエプロン姿とか、私得……うふふ」
「一人で何でもできる男の人とか、結婚したら凄い愛されそう」
「むしろ、愛しすぎて愛が身体から溢れちゃうかも!」
意味がよく判らない事を最近の女子学生は良く言うようになったな。
時代の変化って恐ろしいな。
ていうか、上から二人目の人は何を言おうとして止められたのかがさっぱりだ。
まぁ、こんな感じで俺の喫茶店は上手い事繁盛しているのさ。
前に姉の家族らがうちの店に来て、みんな美味しそうに食べてくれていた事が何より嬉しかったな。
とりあえず、俺は地球で大成功を遂げたわけだ!
ある日のこと。俺は、喫茶店を閉めて、店の中を掃除をしていたらいきなり店の扉を開かれた。
もう閉店時間は過ぎているから、残念だが帰って貰うか。
「すいませんが、もう閉店………士郎さん?」
俺の目の前にいたのは血相を変えた俺の姉の夫、高町士郎が小さな赤ん坊を抱いて立っていた。
なんだ、その赤ん坊は!?誘拐したのか?まさか、こいつ!!
「で、何の用ですか?」
士郎さんに限って、誘拐なんてありえない。
正義感溢れるこの人が自ら犯罪を犯すなんて思えないね。
「隼人君に一生の願いを言いに来たんだ」
「俺に?まぁ、いいけど」
士郎さんは抱いている赤ん坊を俺の方に持ってきた。
状況がいまいち伝わってこない。
もしかしてあれか?『実は、この子は貴方と私の子なの!』って奴なのか?
いやいや、相手は士郎さんだ、男だ。んなわけねえよ。
じゃあ、あれか。桃子姉ぇとやったのバレたのか?
………やってないからな。昔の彼女と一回やっただけで他に誰ともやってないからな!
じゃあ、何だよ?
「どういう事だ?」
「この子は、この前産まれた娘だ」
「娘って、桃子姉ぇ産んだのかよ!速く知らせてくれよ、パーティー開いたのに」
「まぁ、いろいろあってな。報告が遅れたんだ」
「いろいろって何だよ?」
士郎さんの目が真剣になった。
もしかして、士郎さんが前に言ってた仕事の事が原因ってことなのか?
「仕事の都合でな、ちょっと厄介な事に巻き込まれて……俺たちは日本に居られなくなった。恭也と美由紀達は大丈夫だが、その子はなのはだけは何も関係がないんだ。だから、隼人君に預けるのが一番安全だと思って、頼む、俺の一生の願いだ。なのはを俺たちの代わりに育ててやってくれ!君しか信用できる人はもういないんだ!頼む!!」
こんな士郎さん初めて見た。
一つの頼みの為にここまでして必死になっている男の姿を。
なのはちゃんかぁ、良く見てみれば桃子姉ぇにかなり似ているな。顔もだが髪の色とか瓜二つじゃないか。ていうか、俺も栗色の髪だから一緒じゃん。
で、だ。どうする?
なのはちゃんの面倒を見るか見ないか。士郎さんは冗談を言う様な人間じゃない。だから、嘘ではないだろう。
今の暮らしには余裕があるから大丈夫だな。
仕方ない。
「わかった。俺が責任を持ってなのはちゃんを育てるよ」
「本当か!?」
「あぁ、但し条件がある」
「なんだ?」
「一回だけで良い、一分だけで良い、家の外からこっそり見るだけで良いから必ずなのはちゃんが成長した姿を見に来い。本当の父親ならできるだろう?お父さん」
「あぁ!いつか必ず戻って来る。だから、なのはを頼む」
そう言って、士郎さんは店から出て行った。
士郎さんと桃子姉ぇの娘、なのはちゃんを俺に引き渡し。
「ほーら、なのはちゃん俺が今日から新しいお父さんだ」
眠っているなのはちゃんを抱いて、その温もりを感じる。
その時に、あるものも感じてしまった。
「魔力反応……それもかなりの量……」
赤ん坊のなのはちゃんから将来有望な魔導師の力を感じた。
もしかすると、俺はまた魔法に関わってしまうのかもしれないな。
だって、もう嫌な予感がする。
だが、今はもう俺がなのはちゃんの父親だ。
絶対に守ってみせる。
なのはちゃんを抱いて、俺は新たな誓いを立てた。
心臓の方はだいぶマシになってきたから少しくらいなら大丈夫かもしれない。
奇跡が起こるのなら、リンカーコアが治るかもしれないな。
そうなったら、もう一度、管理局に入って仲間とまた世界を守っていきたいな。
「ふぇ、ふぇえええええええええん!!!」
「ちょっ!?いきなりどうしたんだ?なのはちゃん!」
急に泣き出したなのはちゃんを必死に泣きやませる事にその日は終わった。
子供育てるのにこんなに苦労するなんて思うのはだいぶ先の話になるだろう。
「ふぇええええええええええええええええええええええええん!!!」
「頼むから泣きやんでくれえええええ!!」
後書き
お読みくださり、ありがとうございました。
ページ上へ戻る